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<バスケ>W杯で歴史的勝利も、見えた日本の“課題”。ホーバスHC「このスタンダードでは足りない」パリで勝つため必要なこと

<バスケ>W杯で歴史的勝利も、見えた日本の“課題”。ホーバスHC「このスタンダードでは足りない」パリで勝つため必要なこと

テレビ朝日のスポーツ情報番組GET SPORTSで、トム・ホーバス(バスケットボール男子日本代表HC)、渡邊雄太、南原清隆がスペシャル対談。

チームの中核を担ったキャプテン富樫勇樹、最年長・比江島慎、最年少・河村勇輝らの証言も加え、日本代表のワールドカップでの戦いを振り返った。

大会を検証することで浮き彫りになった日本の“希望と課題”とは――。

テレ朝POSTでは、対談の模様を前後編で特集。後編の本記事では、ワールドカップから見えた「日本バスケの未来」に迫る。

◆リードする展開で初めて体験した苦難

第2戦・フィンランド戦でワールドカップ初勝利(※2014年のワールドカップ移行後)をあげ、一気に勢いに乗ったホーバスジャパン。

つづくオーストラリア戦は敗れて2次ラウンド進出こそ逃したものの、順位決定戦1戦目のベネズエラ戦は逆転勝利。最終戦のカーボベルデ戦も80対71で勝利し、48年ぶりに自力で五輪出場をつかみ取った。

しかし、日本はこの最終戦で今大会初めての経験に見舞われていた。

最大18点差をつけて迎えた第4クォーター。7分以上も無得点が続き、3点差まで詰められたのだ。

南原:「カーボベルデ戦、18点リードしている状態で第4クォーターに入ってから7分間も無得点だった。これはどういうことだったんですか?」

ホーバスHC:「あれは大変でした。第4クォーターで7分ですよね。でも第3クォーターの最後の2分も点が取れなかったから(合計で)だいたい9分」

南原:「9分間も!」

なぜこんなにも得点が入らない時間が続いてしまったのか。実は、それこそが日本代表の課題だったという。

ホーバスHC:「あのとき日本は最初のほうにあまり攻撃していなかった。(リードしていたので)日本のペースがゆっくりになったんですよ。でもそれはうちのバスケットじゃない

これまで日本が目指してきたスタイルといえば、攻守を素早く切り替え、速いペースで攻める形。

しかし、第4クォーターは時間を使ってゆっくりと攻めようとしたため、ペースが悪くなった。これまでの速いペースと真逆の攻め方をしたことで得点が入らなくなったのだ。

南原:「やっぱり日本のバスケットってあるじゃないですか。アグレッシブにどんどん動く、スピードを上げていく」

ホーバスHC:「でも20点差もつくとゆっくり攻撃したいじゃないですか。日本は時間を使った攻撃はできないかなぁ。勉強になった」

渡邊:「逆転できたという経験もしたし、追い上げられたという経験もできました。ああいう試合をして勝ち切れたということが、今後自分たちにすごく影響してくると思います」

◆「ボールが止まってしまう時間帯がすごくあった」

パリオリンピックへ向け、課題が浮き彫りになった今大会。しかし、改善すべき点はほかにもある。

富樫:「オリンピックでは3ポイントシュートをかなり警戒してくると思うので、そういうときにどういうプレーをするか。3ポイントを打てているときは自分たちのリズムでいいんですけど、やっぱり打てなくなったときに困ってボールが止まってしまう時間帯がすごくあった」

渡邊:「(3ポイントシュートの)成功率がこんなに違う理由は、打たされているシュートなのか、自分が気持ちよく打ったシュートなのか、その違いだと思います。今の日本はまだ無理してでも打たなきゃいけない。気持ちよく打てないシュートがたくさんあったので、気持ちよく打てるか打てないかの差が一番大きいと思います」

選手たちが挙げていたのは、富樫が語った3ポイントシュートが入らなかった時の試合運び。

実際に決定率が最も低かったドイツ戦では、パスの出し先に困り、ボールが止まるシーンが見られた。そして、渡邉が言うように打たざるを得ない状況にされる場面も。

さらに、ホーバスHCは次の点を指摘する。

ホーバスHC:「スカウティング(分析)をしているので、ノーマークの状況は簡単に作れるんですけど、ノーマークの3ポイントの成功率は低かった。だからそこを直したい」

南原:「ノーマークの3ポイントもどんどん確率を上げていきたい?」

ホーバスHC:「そうです。ノーマークの3ポイントシュートだったら50%以上入るかなと思ったけど全然だった。だからそこを(改善したい)。みんなもうわかっていると思うから大丈夫。信じています」

今大会、ノーマークの3ポイントシュートを外すシーンが多数見られた。これらの課題を克服することが、勝ち続けるために必要になるという。

◆パリ五輪で勝つために必要なこと

そして、選手たちは1年後に迫ったパリへ向け、それぞれ決意を新たにした。

河村:「今やっているバスケットは特別なことは何もしていないですし、基本に忠実なスピード感あふれるバスケをさらに精度を上げる。それをすることだけが、世界の高いレベルに勝つために必要なことだと思っているので、この1年間しっかりと準備したいなと思っています」

比江島:「やっぱり(3ポイントシュートの成功率)40%を超えていくことが、トムさんが目指すバスケだと思うので、もっともっと確率を上げていきたいと思いますね」

富樫:「パリではどうこうというよりも、1人の選手としてこの1年間Bリーグでしっかりレベルアップして、代表につなげられるようにしたいなという思いだけです」

渡邊:「日本代表としてはまだ今回終わったばかりで、次パリ五輪ではどこを目指すかチームで全然決められていないですけど、将来的にメダルを取れるようなチームになっていきたいと思っている。日本がそれくらい強くなれるために、今自分ができることを日本バスケ界のためにやっていきたいなと思っています」

南原:「ご自身も言っていたじゃないですか、死ぬまで代表やりますって」

渡邊:「死ぬまでやります(笑)」

南原:「ホーバスさんはここからパリ五輪に向けて、どういったことをやっていきたいですか?」

ホーバスHC:「やっぱり本当にシンプルだね、僕は。『昨日より今日のほうがいいバスケをやろうよ』『明日もっといいバスケをやろう』とか」

南原:「これが日本のスタンダードだと?」

ホーバスHC:「今の日本のスタンダードはここです。でも来年のパリオリンピックは、このスタンダードでは足りないんですよ。だからもっともっと上手にならないと、細かいことを上手にできないといいバスケはできないと思っています。だからこれからです。間違いないです。これから」

南原:「これから日本のバスケットをどんな風に伸ばしていきたいですか?」

ホーバスHC:「来年のオリンピックでメンバーは変わるかもしれないし、わからない。同じメンバーであっても、気持ちなどは変わっている。でも僕の考え方は変わらない。日本のバスケはこれ。ベースの考え方は変わらない」

南原:「八村塁選手が来た場合もうちのバスケットをやってもらうって言っていましたね」

ホーバスHC:「本当に八村選手に来てほしいね。彼の力はすごい。ドライブもできる、3ポイントシュートも入る。本当に日本代表にぴったりフィットすると思いますよ」

南原:「ますます日本のバスケットボールが楽しみになってきました」

ホーバスHC:「楽しみです本当に。みんな信じてください」

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:25より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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