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「91%が見逃すカウント」から衝撃のホームラン ロッテ・西川史礁の“覚醒の一打席”を生んだ異例の打撃改革

7月28日(火)・29日(水)に開催される『マイナビオールスターゲーム2026』。パ・リーグ外野手部門のファン投票で第2位の票を集め、見事初選出を果たしたのが西川史礁(23歳)だ。

2024年にドラフト1位で入団し、歴代の右の強打者が背負ってきた球団の特別な背番号「6」を託された西川。その期待に応え、プロ1年目の2025年は打率2割8分1厘、リーグトップとなる27本の2塁打を放つ活躍を見せ、新人王に輝いた。

真価が問われるプロ2年目の今シーズン、西川の進化を象徴する“至極の一打席”がある。テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、球界の未来を担う逸材・西川史礁のバッティングの神髄に迫った。

◆「ノースリー」から放った覚醒の一撃

2年目の今シーズン、4月には7試合連続ヒットや試合を決める決勝打を放つなど、2年目のジンクスを感じさせないスタートを切った西川。しかし、結果を出し続けるのは容易ではない。5月に入ると、6試合で26打数1安打と打撃不振に陥った。

「1試合・2試合ノーヒットだったらまだ耐えられるんですけど、3試合・4試合と続くと焦りが出てきます。シーズン序盤はストレートを弾き返す打率が低かったし、それだと(打率が)落ちていくのはわかっていました。ストレートを打ち返せるタイミングじゃないと変化球も打てないですし」(西川)

不振の理由は、本来得意であるはずのストレートが打てなくなったことだった。バッティングのタイミングがズレることで変化球でも崩され、思うような打撃ができなくなっていた。

しかし、ある打席をきっかけに打撃不振を払拭する。それこそが、西川の“至極の一打席”だ。

「オリックス戦でホームランを打った打席が、プロに入って初めてホームランを打とうと思って打てた打席でした」(西川)

5月15日のオリックス戦。3対3の同点で迎えた7回裏。2死一・二塁のチャンスで打席が回ってきた。

相手はストレートが武器のオリックス・山﨑颯一郎。カウント3ボール・0ストライク、いわゆる「ノースリー」から、西川は打てなくなっていたストレートを弾き返し、スタンドへと叩き込んだ。

サブロー監督はこの打席を高く評価する。

「(選手たちは)子どもの頃から『ノースリーは待て』という習慣がついているので、手が出ない選手が多いんです。僕は去年からノースリーカウントは『絶対振れ』のサインを作ろうかなと思ったぐらい、ずっと(振れのサインを)出していたんですけど、誰も振ってくれなかった。今回初めて史礁が打ってくれたので良かったし、クリーンアップらしい打者になってきたと思います」

サブロー監督が評価したのは、ノースリーからの積極的なバッティング。データを見ても、昨シーズンの全選手において、ノースリーから4球目を振らなかった割合は、およそ91%(見逃し:59.7%、四死球:31.4%)。それに対して、安打や空振り、ファウルを含めて振っていった割合は9%にも満たない。

西川の打席は、2死一・二塁という、凡打を打てば無得点で終わる場面だった。後ろに4番も控える状況でありながら、打ちにいったホームラン。これは、今季のチーム全体にとっても「ノースリーから放った初安打・初打点」という貴重な一打となった。

◆異例の「93cm長尺バット」が生んだ劇的変化

ではなぜ、あの場面でノースリーから打ちにいくことができたのか。

「(去年までは)ノースリーから打ちにいく勇気はなかったんですけど、今年はそこを変えて、(この打席は)自分が決めたいと思っていました。自信もありましたし、ストレートがくると思っていたので、真っすぐでホームランを狙っていました」(西川)

「ストレートでホームランを狙える自信があった」。その裏付けとなったのが、前日の5月14日。試合前のバッティング練習で、今シーズン初めて赤いバットを手にしていた。

実はこの赤いバット、長さはおよそ93cmもあり、試合で使うバットより8cmも長い。その意図を西川は次のように明かす。

「(右肘が)自分のお腹についてきて回って当たればいいんですけど、(状態が)悪くなると右肘も身体から離れていく。そのぶんバットの軌道は遠回りしますし、インコースのボールも芯で捉えることができなくなります。長いバットを扱えるようになると、そのぶん短いバットの扱いがめちゃくちゃ楽になってくると思う」

右肘が身体から離れないように、より操作性が難しい長いバットで意識付けをする。そうすることで、短いバットを試合で振る際に扱いやすくなるという。

この効果はすぐに結果として表れる。その日の夜の日本ハム戦、第3打席のことだ。

ストレートに球威のある日本ハム・細野晴希から、今シーズン第2号ホームランを放った。打ったのは、インコース150キロのストレート。右肘を身体から離さず、畳んだ状態でバットを振ってみせた。

◆西川が語る理想のバッティング

さらにもうひとつ、西川がこの打席のポイントとして挙げたのが、「左足が着地した時の身体の向き」だ。

「左足が着地するまで、上半身がキャッチャー方向を向いている状態をキープしたい。去年まで(悪い時)は、自分の胸椎の位置がホームベースぐらいを向いている状態でした。左足の着地までに身体が開いてしまうと、(身体を)回旋した中でバットがうまく当たらない」

理想とするのは、左足が着地した時に胸がキャッチャーの方を向いている。つまり、身体が開いていない状態。左足が着地した時に身体が開くことなく、右肘を身体の近いところでバットと回旋させる。これこそが西川の理想のバッティングだ。

ノースリーから叩き込んだあのホームランも、この技術に裏打ちされたものだった。

「右肘が(身体の近くに)ついてきて回れるというのが理想。(身体を)開かないイメージが大事になってくる。前日にその意識でホームランを打てたぶん、(ノースリーから打った)このホームランも同じ意識で実行できたと思います」(西川)

この2試合連続ホームランを皮切りに、ストレートの打率は大きく向上。交流戦では打ちに打って、12球団トップタイの安打数をマークした。

それでも西川は歩みを止めない。好調であっても、試合後は必ず室内練習場で居残り練習を行う。

「相手バッテリーは自分の状態やタイミングを崩してきます。試合が終わった後は崩されている状態なので、ちょっとでもスイングして修正して帰ります。それがあるから次の日につながる」(西川)

結果に左右されることなく、実際の打席をイメージしながら自分の理想のスイングを追い求める。プロ2年目のジンクスをものともしない西川は、今シーズンの目標を次のように語る。

「今年は首位打者を目標にずっとやってきたので、打率としては3割以上は絶対打ちたいです。ホームランも去年は3本で終わってしまったので、今年はなんとか2桁以上は絶対いきたいなと」

そして、「将来的にどんな打者になりたいか」という問いに、力強い眼差しで言い切った。

「もちろん三冠王。打率・ホームラン・打点を全部残せるのがいちばん理想のバッター像ですし、そこを達成できるように、どんどん成長していけるように、自分で考えながらやっていきたいです」

番組情報:『GET SPORTS

毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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