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「世界的に見てもこういう選手を知らない」萩野公介も驚く競泳界の新星。17歳の超天才型、“省エネ背泳ぎ”に衝撃

競泳界に、新たな才能が現れた。

今年3月の日本選手権で、個人メドレーの世界ジュニア新記録を連発し、初の日本代表入りも果たした小島夢貴(17歳)。

その泳ぎを見た歴代の王者たちは、こう舌を巻く。

「水と喧嘩しないというか、キャッチが柔らかいし、一つひとつのレベルが非常に高い」(萩野公介)

「すごく独特な子で、本当に“超天才型”だと思う」(瀬戸大也)

テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、2年後のロサンゼルス五輪で金メダルを目指す17歳の素顔と、挑戦の日々を追った。

◆「飽き性なので、ずっと自由形とかだと飽きちゃう」

愛知県にある私立豊川高校。早朝5時過ぎから、水泳部の練習は始まる。

プールサイドで体を動かし始めた小島はまだ眠そうだったが、ひとたびプールに入れば一瞬でスイッチが入った。朝と午後、合わせて3時間の猛練習。個人メドレーを専門とするため、4つの泳法で延べ10kmもの距離を泳ぎ込む。

過酷なメニューだが、本人はケロリとした表情だ。

「個人メドレーってキツイと思われがちなんですけど、練習はいろんな泳ぎをしてリラックスして、1種目に絞るよりは楽しめてるかなって。僕、結構飽き性なので、ずっと自由形とかだと飽きちゃうので、そこは性格にも合っていたのかな」

プールサイドには今年掲げた目標が並んでおり、その中には「気負わない」という文字があった。その真意をこう明かす。

「世界ジュニア記録とかを出して、ある程度注目はされるようになったと思うんですけど、それでも自分のペースで、自分の水泳をやるだけでいいかなって。気負う必要はない」

◆祖母の愛情料理と元代表の父から受け継いだ「夢」

頭の中は、いつも水泳のことでいっぱい。学校に持っていくカバンの中には、ほとんど水泳道具しか入ってないという。

そんな厳しい鍛錬の日々を送るなかで心安らげる場所が、高校近くにある祖父母の家だ。普段は寮生活をしているが、学校の許可を得て、毎晩食事を用意してもらっている。好き嫌いの多い小島のために、祖母は毎日メニューを工夫している。

「心がけていることは、食べてくれるものを作る。結局は夢貴の好きなものを作るっていうことですね」と微笑む祖母。この日も大好物のステーキなど、栄養たっぷりのメニューが食卓に並んだ。

「美味しいし、食べやすいです。おばあちゃんのご飯を食べるようになってから体重も増えて、しっかりした体を作ってくれたのはおばあちゃん」と小島は感謝を口にする。

実は、この家で育った小島の父親も水泳選手だった。自由形短距離で活躍した小島貴光さん。北島康介氏と同じ時代に日本代表として国際大会に出場した経歴を持つ。

そんな父の影響もあり水泳を始めた小島は、「小中学生の時には、市民プールへ行って泳ぎを教えてもらったり、今でも『ここがこうなんじゃない?』みたいな提案をしてくれます」と、父との絆を語る。

「夢貴」という名前は、父・貴光さんの一文字と、託された夢への思いから付けられた。

夢を託した貴光さんは、「自分がオリンピックに出られなかったので、その代わりじゃないですけど、『出られるように頑張る』みたいなことを言ってくれたことがあった。その時は、嬉しかったですね」と振り返る。

その思いは、小学生時代の作文にこう綴られていた。

「お父さんはオリンピック出場の夢は叶えることができなかったので、ぼくがオリンピックに出場して、お父さんと僕の2人の夢を叶える、絶対に」

◆世界が知らない“常識破りの背泳ぎ”

父親譲りの水泳センスに加え、祖母の愛情料理で逞しく成長した小島。そんな彼が世界ジュニア記録を連発できた大きな要因は、「背泳ぎ」にあるという。

個人メドレーの五輪王者・萩野公介氏は次のように分析する。

「普通だったら、(キックの際に)足が斜めになるんですけど、それをグイッて入れたりとか。世界的に見ても、こういうキックをする選手を僕は知らない。小島選手みたいなキックをやったら、誰でも速くなるというわけではないですよね。すごく独特だし、彼の中で持っている感覚やタイミングの取り方とかで、あのキックになっているんだろうなと思います」

極めて独特という小島の背泳ぎ。一般的な背泳ぎでは足を上下に打ちながら進むのに対し、小島は上下ではなく、横に蹴るようにして水を捉えている。

小島自身も「なんでそのキックで進むんだ?って、僕も不思議ではあるんです」と正直な思いを述べつつ、「自分のリズムがいちばん大切だと思っている。みんなよりあまりキックを打たない泳ぎをしていて、ストロークの数も少ない。個人メドレーは全部楽に速く泳ぐのが大事で、いちばんエネルギーを使わず泳げているのが背泳ぎなので、そこは自分がメインとしている個人メドレーで活かされているかなと思います」と、その合理性を明かした。

高校入学時から指導する堀江剛一監督も、「今、タイムがずっと伸びているので、変える必要はないかなと思う。あれが夢貴らしさと捉えています」と個性を尊重している。

◆専門外の背泳ぎで、パリ五輪代表を破る衝撃

周囲の理解にも恵まれ、個性を伸ばすことで急成長。唯一無二の武器を磨き上げた小島は、6月の日本選手権で新たな挑戦に向かおうとしていた。

「3月の日本選手権は個人メドレーで代表を狙いにいって、ちゃんと代表を勝ち取れた。6月の日本選手権では、経験として200m背泳ぎにも出ていいのかなと思いました」

自らの伸びしろを探るため、専門種目ではない「背泳ぎ単体」のレースへ挑んだのだ。

隣のレーンには、パリ五輪に出場した日本背泳ぎのエース・竹原秀一。レース序盤は竹原が先行したものの、100mの折り返しでリードを奪うと、最後は竹原を0.18秒差で抑え、1位でフィニッシュ。200m背泳ぎで見事初優勝を果たした。

レース後、「最後競っていて負けたかなと思ったので、ギリギリ勝てて嬉しかった」と安堵の表情を見せた小島。スペシャリストたちを倒し、底知れないポテンシャルを見せつけ、本命種目の個人メドレーにとっても大いにプラスとなる結果だった。

唯一無二の武器を持つ超天才型スイマーは、父が叶えられなかった夢の舞台を目指し、これからも進化を続ける。

「オリンピックの選考会で勝ち切らなきゃ意味がないですし、負けない心というか、焦らず、自分のレースができるようにしたい。自信があればいつでも自分の泳ぎができると思うので、もちろん金メダルを目指して練習していきたいです」

※大会情報:『パンパシ水泳2026 アメリカ・アーバイン』

8月11日(火)にオープンウォータースイミング、8月13日(木)に競泳が開幕

※番組情報:『GET SPORTS

毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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