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森田想、18歳でレッドカーペットを歩く注目女優に。中学生でメインキャストになれなかった悔しさから奮起「すべてがいい経験」

2013年、13歳のときに『映画 鈴木先生』(河合勇人監督)で映画デビューした森田想さん。

2018年、『アイスと雨音』(松居大悟監督)で初主演をつとめ、映画『タイトル、拒絶』(山田佳奈監督)、連続テレビ小説『エール』(NHK)、『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系)に出演。2023年、映画『わたしの見ている世界が全て』(佐近圭太郎監督)でマドリード国際映画祭外国語映画部門主演女優賞受賞。

現在、映画『辰巳』(小路紘史監督)が渋谷ユーロスペースで公開中の森田想さんにインタビュー。

 

◆小さい頃から目立ちたがり屋

東京で生まれ育ち、小さい頃から目立ちたがり屋だった森田さんは、小学校1年生のときに母親の勧めで養成所のオーディションを受けて事務所に所属、子役として活動をスタートしたという。

「養成所では、ダンス、タップダンス、歌という感じでレッスンがあって、お友だちもできて、土曜日か日曜日にレッスンに行ってという感じでした。結構自分も好きでレッスンに行っていたかなと思います」

――子役のお仕事はわりととすぐに入ったのですか?

「はい。CMが多かったですね。一番最初はUR賃貸住宅のCMをやらせていただいて、そこからは結構広告が多めで、あとは事務所の方の幼少期をやらせてもらったりしていました」

――オーディションにも結構行かれていたのですか?

「はい。たくさん行きました。ちっちゃい頃は本当にたくさんオーディションに行きましたね」

――最初に出演された映画は『映画 鈴木先生』ですか?

「そうだと思います。『鈴木先生』もちょっとカットされちゃったんですけど、(土屋)太鳳ちゃんが優しかったことだけ覚えています(笑)。カットされたと言っても、こっち向きのカットがなくなったぐらいなんですけど、そのときはそういうことも知らなかったので、『私いなくなっちゃった』みたいな感じがしたんだと思います」

森田さんは、中学生のときに映画『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』に出演。この映画は、亡くなったひとりの男子中学生の殺害の嫌疑を告発状によってかけられた問題児をめぐり、前代未聞となる子どもによる子どもだけの校内裁判が行われる様を描いたもの。

――1万人も応募者がいたそうですね。

「はい。1年間くらいオーディションをしていたので、思い出もいっぱいありますし、友だちもいっぱいできました。仲良くなった友だちも、次のオーディションのときにはいないということもありました。落ちちゃった子には連絡もできないし…。

でも、参加して良かったと思っています。本当に学ぶことが多かった。撮影用語とか、そういうことから全部教えてもらいました。フィルムで撮っていたので、撮影のときはすごく緊張しました。やっぱりフィルムを無駄にしちゃいけないから、すごく集中してやるということを教えてもらいました」

――今はデジタルが主流ですから、フィルムを経験できたことは貴重ですよね。

「本当にいい経験でした。昭和感も残っている雰囲気で、私はすごく好きだし、勉強させてもらいました」

――撮影で印象に残っていることはありますか?

「やっぱり裁判の体育館のシーンです。すごく暑くて、人数も本当にたくさんいて。私たち以外にも同い年ぐらいのメインキャストみたいな方もたくさんいらっしゃって。

その人たちと毎日撮影所に行って、大きいスタジオで体育館のシーンをやって、隣の大きいスタジオが全部控え室、準備場だったんです。そこもすごく思い出深いですね。毎日あそこに通って、大きいとこから大きいとこに移動して。それで休憩を取って…本当に学校みたいな感じでした」

――出来上がった映画をご覧になっていかがでした?

「客観的にはまったく見られなかったですね。ストーリーも自分が演じてないところも、オーディションのときに全部の役としてやっていたので、もしかしたら自分ができていたかもしれない役だったりするから、結構最初のほうは悔しさもかなりありましたが、おもしろい映画だったなと思っています。

メインキャストの役をもらうことができなかったのはかなり悔しかったし、もっと頑張らないとダメだと思いました。でも、それがあの年で知れて良かったかなと思います。すべてがいい経験になっていますね」

※森田想(もりた・こころ)プロフィル
2000年2月11日生まれ。東京都出身。2018年、『アイスと雨音』(松居大悟監督)で映画初主演。映画『タイトル、拒絶』、映画『放課後ソーダ日和 特別版』(枝優花監督)、映画『朝が来る』(河瀬直美監督)、映画『愚鈍の微笑み』(宇賀那健一監督)、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)、『ワンモア』(メ~テレ)に出演。「大和ハウス工業」かぞくの群像『青音』篇のCMやテレビ朝日のPR「未来をここからプロジェクト」にも出演。ヒロイン役をつとめた映画『辰巳』が公開中。

 

◆初主演映画は74分間ワンカットで撮影

中高一貫の芸能コースのある学校に進んだ森田さんだが、高2と高3の2年間は一般コースを選択したという。

「高2と高3は、一般コース、勉強するコースに入ってちゃんと学生生活を楽しんだという感じです」

――一般コースに行って馴染めました?

「そうですね。そこの苦労はそんなになかった気がします。文化祭とかもしっかりやりましたし、楽しかったです」

2018年、森田さんは『アイスと雨音』で映画初主演を果たす。この映画は、現実と虚構、映画と演劇のはざまでもがきながら生きる若者たちの姿を74分間ワンカットで描いたもの。ある町で演劇の舞台が上演されることになり、オーディションで6人の少年少女が選ばれ稽古に励んでいたが、突然舞台が中止になってしまう…という展開。森田さんは森田想役を演じた。

「あの映画もオーディションでしたけど、制作過程的にも結構特殊というか、すごい急ピッチでやったオーディションで、次の日には合否が出て、その次の日には顔合わせをして、3日後にはリハーサルが始まって…という感じでした」

――オーディションは、プロアマ問わずということだったそうですね。

「はい。本当にすごく急ピッチだったので、その時期がとにかく空いている人というので、アマチュアというか、自分みたいに忙しくなかった人ができた映画だと思います。だから田中怜子ちゃんという女の子は大阪から来た子で、これを機にこの仕事を始めた子でした」

――74分間ワンカットで撮影すると聞いたときはどう思いました?

「最初の顔合わせのときに言われたのですが、『何を言っているんだろう?』って思いました。どうなるんだろうと思ったんですけど、松居(大悟監督)さんが舞台もやっている方だと聞いて。

私は松居さんのことを映画監督として知っていたのですが、舞台もやっていると聞いて頷けました。実際のリハーサルとかも毎日2週間やって、最後にリハーサル1日、最後のテスト1日、本番1日で撮ったので、成り行きでという感じでした」

――主演ですからほとんど出ずっぱりで、間違えるわけにいかないというプレッシャーはかなりあったのでは?

「実は1個だけ間違えているんです。間違えているというか、『間違えても続けよう』というコンセプトでやっていたので、そのまま続けました。劇場に1回入るというシーンがあって、紅甘(ぐあま)という女の子と2人で爆弾の話を私がするんですけど、その爆弾の話の例えがグチャグチャになっちゃって(笑)。わからなくなってしまったんですよ」

――見ていて全然違和感がなかったです。

「紅甘が『何?』みたいなことを言ってきたりしていましたけど、いいやと思って成り行きでそのまま続けたところはあります」

――監督は何かおっしゃっていました?

「とくには何も。私は『間違えた。ちょっとこんがらがっちゃった』みたいなことは言ったと思います。それこそ紅甘とかは気づいているので」

――リハーサル期間の途中で芝居を変えてくれと言われたこともあったそうですね。

「そうなんです。キャストの中で私だけ『いったん全部白紙に戻して、素の森田想として演じてほしい』って言われて。ずっとみんなで一緒にリハーサルしてきたのに、突然私の芝居が変わったので、みんなビックリしていました」

――難しかったシーンは?

「(青木)柚とのシーンの前が難しかったかな。ロビーで悩んだ記憶があります。難しかったですね。今思うとそれをよく理解できたなとも思うんですけど」

――初めての主演映画を撮り終えていかがでした?

「主演だと思ってやったわけではないんですけど、名前を一番最初にしていただいたので感動しました。渋谷ユーロスペースさんで上映してもらったし、あんなセリフ量をしゃべることも初めてだったので宝物みたいな作品。本当にうれしかったです」

――臨場感がありましたね。見ていてドキドキしました。

「下北沢の町のシーンとかもゲリラで撮影をやっているので結構緊張しました。知らない人の間を勝手に通ったり、車を待ったりとかやっていました。ワンカットだと室内だけでも大変なのに、外に出ていくわ、別の人が入るわっていうのがあって…よくやったなと思います(笑)。

あと、音楽とタイミングもMOROHAと合わせなきゃいけなかったし…。きっかけとかもあるので難しかったですけど、ただ変な話、あれをやっちゃったので、大抵のロングカットは平気になりました。10分とか全然余裕ですね(笑)。この間のドラマでも、本物のバンドの方と合わせるシーンもあったのですが、慣れていておもしろかったです。自信にはなったかもしれないですね」

――あの映画は、そもそも松居監督がやる予定だった舞台が流れて撮ることになったとか。

「そうです。舞台が中止になっちゃった怒りで作ったというのは本当です。ブチギレて作った映画です。だからもうブチギレた顔のまんまやっていました(笑)」

――作品が完成して監督には何か言われました?

「うれしがっていました。韓国の全州国際映画祭に一緒に行ったのですが、それもすごく喜んでくれて、その顔も見ていたので、参加できて本当に良かったなと思っています」

――東京国際映画祭でも上映されましたね。

「はい。自分が思い描いている晴れ舞台だったので、すごく充実していましたね。みんなで出られたのもうれしかったです」

――18歳でレッドカーペットも経験されて。

「はい。レッドカーペットを歩く夢が叶いました。周りの友だちが結構みんな忙しい時期で、高校生の時点で焦りとかもあったので、あの時点で『アイスと雨音』に出演できたのは良かったなと。友だちからも褒めてもらえたし、自分らしい作品だったのかなと思います」

『アイスと雨音』で注目を集めた森田さんは、映画『タイトル、拒絶』、『放課後ソーダ日和 特別版』、映画『踊ってミタ』(飯塚俊光監督)、連続テレビ小説『エール』、『先生を消す方程式。』など話題作に次々と出演することに。次回は撮影エピソードなども紹介。(津島令子)

ヘアメイク:齋藤美幸
スタイリスト:入山浩章

©小路紘史

※映画『辰巳』
渋谷ユーロスペースにて公開中
配給:インターフィルム
監督・脚本:小路紘史
出演:遠藤雄弥 森田想 後藤剛範 佐藤五郎 倉本朋幸 松本亮 亀田七海 藤原季節

東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門作品賞をはじめ、多くの映画賞を受賞した『ケンとカズ』の小路紘史監督の8年ぶりとなる監督作。裏稼業で働く孤独な辰巳(遠藤雄弥)は、元恋人・京子(亀田七海)の殺害現場に遭遇し、京子の妹・葵(森田想)とともに逃げる。最愛の姉を失った葵は復讐を誓い殺害犯人を追うことに。葵の復讐の旅に辰巳は同行することになるが…。

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