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試合中の“悲劇”乗り越え奇跡の復活。山梨学院の超大型二刀流「日本一への最後の夏」

投げては最速152キロ。打っては規格外のパワー。プロのスカウトも注目するドラフト1位候補の二刀流、山梨学院高校3年の菰田陽生(こもだ・はるき)。

2025年の夏、2年生エースとして挑んだ甲子園は準決勝で敗退。今年の春はキャプテンとして再び聖地へ帰ってきたが、守備中に相手選手と交錯し、左手首を骨折するという悲劇に見舞われた。大黒柱を失ったチームは、準々決勝で涙をのんだ。

そこから始まった復活への道のり。逆境に立たされながらも最後の夏を目指す菰田の挑戦に、テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』が迫った。

◆「初めての痛み。悔しい気持ちでいっぱい」

山梨学院高校の野球部寮。菰田の部屋を訪れると、机に向かって学校の課題に取り組んでいた。

「勉強はあんまり好きじゃないです。でも、逃げると後々苦しい思いもすると思うので」と、あどけない笑顔を見せる。

千葉の親元を離れ、野球部の寮で生活する日々。勉強は苦手だというが、ひとたびグラウンドに出ると、名門・山梨学院のキャプテンとしてチームを牽引する。

頭ひとつ抜けた身長は195cm。幼少期から体格は人一倍大きく、4560gで生まれ、小学4年生にしてすでに身長170cmに達していたという。チームメイトと並ぶと、その大きさは一目瞭然だ。

高校進学の際、山梨学院を選んだ理由を「自分の目標を達成することができる環境なので選びました」と、真っ直ぐな瞳で語っていた菰田。

目標である日本一を目指して甲子園に出場したものの、2年生の春は2回戦敗退。続く夏は準決勝で敗れ、頂点にはまだ手が届いていない。

新チームではキャプテンを任され、「春はチームとして日本一を狙う形でいって、試合が近づくにつれて徐々にチームが上がっていってる」と、手応えを口にした。

迎えた春のセンバツ。長崎日大との1回戦では、バッターとして高校通算38号となるホームランを放ち、その規格外のパワーを見せつけた。

しかし、5回の守備で悲劇が起こる。ファーストを守っていた菰田は、相手選手と交錯し、左手首を負傷。無念の途中交代に。その後、チームは勝利したものの、素直に喜ぶことはできなかった。

「初めての痛みで、ボールを捕る動きだったりが本当に痛くて、代えていただきました。悔しい気持ちでいっぱいでした」(菰田)

人生で初めてだったというその痛みは、左手首の骨折によるものだった。戦線離脱を余儀なくされ、優勝候補に挙げられていたチームは準々決勝で涙をのんだ。

◆野球ができない日々のなかで気づいたこと

センバツから2週間。菰田の姿は病院にあった。診断は全治3カ月。完治するのは6月末の予定だが、夏の大会が始まるのは7月。万全の状態まで戻るのだろうか。

担当医師は「山梨県大会から見られるのか、甲子園になるかは何とも言えませんが、まずは“ピッチャー菰田”がちゃんと投げられるようにすること。同時進行で、焦らずに“バッター菰田”も戻していければ」と、復帰までの見通しを語った。

野球ができない日々。それでも最後の夏は、刻一刻と近づいてくる。菰田は懸命にリハビリに励むことで、復活への望みに懸けた。

「いつ治るのか、夏に万全な状態で行けるのかという不安もあったんですけど、『夏、絶対戻るんだ』っていう気持ちでやっていました」(菰田)

5月、春季関東大会。菰田がいたのはグラウンドではなく、スタンドだった。公式戦での経験を積めないことに「夏に向けて周りと差がついてしまう」と焦りを募らせていたが、それでもキャプテンとして、ある大切なことに気づかされる。

「スタンドで応援させていただいたことで、チーム全員の気持ちが本当にわかるようになりました」(菰田)

試合に出られない選手の思いを身をもって知った菰田。キャプテンとして大きく成長する時間となった。

◆驚異的な早期完治「最後は何としても日本一を」

夏の大会まで1カ月を切ったある日。完治の予定まではあと2週間あったが、地道なリハビリの甲斐あって、予定より半月も早く完治した。

ようやく思う存分練習ができる――。喜びを胸に監督のもとへ報告に行った菰田。しかし、吉田洸二監督は愛情を込めてこう諭した。

「ちょっと水を差すようだけど、バッティングだけは本当に注意をしろ。我慢しろ。お前ぐらいの野球勘があれば、10日で戻るから。急ぐ必要はない。バッティングは本当に徐々に、意識をちゃんともってやりなさい」

バッターとしての復帰は、まだ慎重に進める必要があった。それでも手首が完治したことで、ウエイトトレーニングを本格的に再開。

「もう病院には行かないです。2.5カ月で治った」と、菰田の表情に明るい笑顔が戻る。

最後の夏に向けて、まずはピッチャーとしての感覚を取り戻していく。3日後にはプロ野球10球団、30人のスカウト陣が集まるなか、実戦のマウンドへ上がった。

「やっとマウンドに立てるという喜びもありましたし、ここから試合にも出られるっていうところで、夏に絶対万全の状態にもっていくんだという気持ちになりました」(菰田)

「ピッチャー菰田」は、1球目、2球目をファウルにして追い込むと、最後は変化球でセカンドゴロに仕留める。その後も2つの三振を奪うなど、3イニングを投げてノーヒットと圧巻のピッチング。球速は最速146キロを計測した。

降板後、菰田は室内練習場に向かい、今度は一心不乱にバットを振り込む。打者としても着実に復帰への道を歩み始めていた。

そして2週間後。ついにバッターとして3カ月ぶりに実戦復帰を果たした。復帰戦で見事なヒットを放つと、翌日にはフリーバッティングで衝撃の打球を連発。最後の夏に向けて、あとは勝負の時を迎えるだけだ。

これまで届かなかった日本一。突然の悲劇に襲われながらも、決して諦めることなく前を向き続けた。最後の夏で悲願を成し遂げるため、菰田は力強く決意を口にした。

「去年も今年もずっと悔しい思いをして負けているので、最後は何としても日本一を取れるように頑張りたいです」

※番組情報:『GET SPORTS

毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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