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侍ジャパン唯一の広島勢・小園海斗、首位打者をつかんだ“究極の打撃論”「バットの感覚はベンチの網で変える」

テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、自身初のWBCに挑む広島東洋カープ・小園海斗(25歳)を特集した。

昨季セ・リーグ首位打者に輝き、広島から唯一侍ジャパンに選出された小園。井端弘和監督就任以降、最多タイとなる5回の招集を受け、国際試合の打率は4割0分6厘という驚異的な数字を誇る。

日本を代表するヒットメーカーへと進化した小園の常識を覆す打撃理論に、野球解説者・古田敦也が迫った。

◆「わざとカウントを作る打席も全然あります」

古田:「去年首位打者を獲って、侍ジャパンにも入って、いわゆる日本を代表する選手になってきました。結果を残してきて、手応えはどうですか?」

小園:「だいぶ固まってきたというか、生き残る道はもう率を残すことだったので、確実に捉える練習をしたり、練習からしっかりヒット性の当たりを増やすことや確実に打つことを心がけて日々やっていました」

2019年、報徳学園高校からドラフト1位で広島に入団した小園。当時から「一日でも早く一軍の世界で活躍して、日本を代表するようなショートになれるように頑張りたい」と語っていた。

その言葉通り、高卒1年目から58試合に出場。6年目にはサードにコンバートされて出場機会を増やし、自身初の全試合スタメン出場を達成。そして昨シーズン、首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得した。

そんな小園に対して、まず古田が切り込んだのは「打席での粘り強さ」について。

古田:「劇的に改善したのは追い込まれてから。非常に粘りがあって、2ストライク後の打率が2割8分ぐらいあるなんて、本当にイチロークラスですよ」

小園:「いやいや(笑)。わざとカウントを作る打席も全然ありますし」

古田:「え? わざとツーストライクまで待つの?」

小園:「バッティングって日によって全然違うじゃないですか。『今日、普通に振りにいったら変な打球多いな』という日は全然ありますし、ファールを打っていて『もうこの形じゃ打てないな』という時もある。逆にツーストライクのほうがなんでも準備しますし、よりコンパクトに振れるので、そういうところも考えたりしていますね」

いきなり飛び出した「あえて追い込まれる」という驚きの理論。

そもそも小園は、初球から積極的に打ちに行くバッター。昨シーズン、1打席あたり平均で3球程度で勝負を決めていた。これは2年連続でリーグ最少の数字だった。(2025年は3.43、2024年は3.20)

しかし、調子が悪く、いつも通り振ったつもりでも思うように打球が飛ばない時は、あえて追い込まれるという。

追い込まれた状況では、あらゆるボールに対応しなければならないため、大きなスイングではなく、ミートを優先したコンパクトなスイングに切り替えざるを得ない。小園はあえて追い込まれることで、悪いスイングをコンパクトなスイングに矯正。そのほうが、追い込まれるデメリットを差し引いても、ヒットを打てる確率が高まるというのだ。

◆詰まっても、ヒットなら何でもいい

実際に昨シーズン、小園の2ストライク時の打率は2割7分9厘で12球団1位。追い込まれることをそれほど苦手にしていないことがわかる。なぜ、追い込まれてもヒットを打てるのか。

古田:「ちょっと崩されてもファウルで逃げたり、それは練習からしているの?」

小園:「練習から全然やりますね。ファウルを打ちに行く練習はあまりしないですけど、意識的に、追い込まれてからは詰まってもいいと思っています」

古田:「イチローもよく言っていたけど、レフト前に詰まったあたりでヒットを打つのは『技術なんです』って。それは実際あると思う。左バッターが『ファウルになってもいいや』ぐらいの感じで打ったり」

小園:「後ろに落ちた打球とかめっちゃ嬉しいです。ヒットはヒットなので。僕らはなんでもいいからまずは塁に出たい。詰まって落とすというのは、結構大事だと思いますね。『よっしゃ』って打ち取った詰まったボールがボテンと落ちると、(ピッチャーは)絶対嫌じゃないですか。バットってせっかく(当てる面が)たくさんあるので、全部使えばいいかなって思います」

古田:「詰まりの練習もやるんですか?」

小園:「全然やります。試合前のバッティングでも、やっているうちに『こうやったらいいのか』というのが見えてきます。ポーンって詰まってスライスしながらレフト前まで飛んだりしたら嬉しいです」

古田:「それも技術だよね」

たとえ詰まっても、ヒットなら何でもいい。それが、小園のヒットに対する考え方だ。芯に当てずともヒットにするために、練習からあえて詰まるバッティングをしている。これが粘り強さの要因であり、首位打者という結果につながっていた。

◆打席に立つ「意識」、バットを握る「感覚」も独特

さらに、打席に立つ際の意識も独特だという。

古田:「ピッチャーによって変えている部分って何かありますか?」

小園:「左ピッチャーは見やすいようにしていますね。ちょっと(スタンスは)開き気味で見ています」

古田:「開くと戻すのに時間がかかるとかは考えていない?」

小園:「僕はそのままですね」

古田:「同じ感覚なんだ。ピッチャーの投げる位置、リリースポイントはあまり気にならないほう?」

小園:「左は開いて見やすいじゃないですか。右は対角線上から来る感じなので、徐々に体が内側に入ってしまう。リリースに合わせてしまうと、バットが出てこなくなってしまう。それは嫌なので、右はピッチャーの右側から投げられていると思って待ったりしています。ちょっと難しいんですけど」

古田:「言っている意味が全然わかんない(笑)」

古田も理解が難しいという小園の感覚。右ピッチャーと対戦する際は、体が内に入るのを防ぐために、実際のリリースポイントではなく90度に近い角度から投げられるイメージを作っているという。

さらにもうひとつ、小園独自の感覚を明かしてくれた。

古田:「調子が悪い時に変えていることはあります? 僕なんかすぐ違うバットを持ってきたりするけど」

小園:「全然しますね。(バットを)持って『自分の(感覚)じゃないな』という時はあるので、わざとベンチの細い網を握って違う感覚にしたり」

古田:「は!? 違うものを握ってからバットを握ると、感覚が変わるってこと?」

小園:「ベンチの細い網を握った後にバットを握ったら、太く感じるじゃないですか。ちょっと(感覚)変わったかも、とか全然やります」

古田:「それは初めて聞いたな。重いバットを持って感覚を変える人はいるけど」

小園:「感覚的な問題なので、もう僕だけしかやっていないんじゃないかと思います。あんまり人には言ったことないですけど」

バットを握る「感覚」も独特な小園。古田がその打撃理論を掘り下げていくなかで、彼の非凡な野球哲学が明らかになった。

そんな日本のヒットメーカーは、いよいよ来月に開幕するWBCで、世界一をかけた舞台へ挑む。

小園:「勝ちに行く集団だと思うので、学ぶことも多いと思いますけど、もうやるしかない。プレッシャーが凄いので、負けないように準備していこうと思います」

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)