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Jリーグ、34年目の大改革「8月開幕」で何が変わる? 野々村チェアマン「5大リーグ入りも夢物語ではない」

Jリーグ、34年目の大改革「8月開幕」で何が変わる? 野々村チェアマン「5大リーグ入りも夢物語ではない」

ワールドカップイヤーを迎えた2026年、33年の歴史を紡いできたJリーグが大きく変わる。これまでの2月開幕から8月開幕へ変更する“シーズン移行”がついに実施されるのだ。

テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、新たな改革に取り組む野々村芳和チェアマンを直撃。選手時代ともにプレーした中西哲生がその狙いを聞いた。

◆10クラブから始まったJリーグ、33年の歩み

中西:「1993年に始まったJリーグも33年経ちました。野々村さんはチェアマンとして、ここまでの歩みをどう捉えていますか? 順調でしたか、それとも難しかったでしょうか」

野々村:「今思えばいろんな意味で順調だったと思います。ゼロから立ち上げた当初は、見ている人も関わる人も、プロのサッカーリーグがどんなものなのかわからなかったと思うんです。純粋なサポーターというのもほんの一部で、ほとんどの人がエンタメを見るファンみたいな感じ。

でも33年たって、今ではどんなに小さなクラブにも熱心なサポーターがついています。だんだん本物になってきたな、という実感がありますね」

1993年、日本初のプロサッカーリーグとして開幕したJリーグ。この時はまだ10クラブ、現在のJ1のみでのスタートだった。

“サッカーの神様”ジーコをはじめ、リネカーやリトバルスキーといった世界的スターも来日し、その熱狂は社会現象に。当時は点が入った時点で試合終了となる「Vゴール」や「PK戦」が採用されており、その過酷なルールゆえに数々の名シーンが生まれた。

その後、1999年にJ2、2014年にはJ3が発足し、クラブの数は51にまで増加。わずか10クラブから始まったJリーグは、34年目の現在、全60クラブを抱えるまでに規模を広げた。

野々村チェアマンは、この現状をどう見ているのか。

【映像】選手のパフォーマンスが変わる?野々村チェアマンが語る「シーズン移行」の狙い

野々村:「33年前は、国内でいかに成立させるかを第一に考えてきました。その間に世界はだいぶ先をいってしまったので、少し差をつけられたところはあります。ただ、先人のみなさんが作ってくれたベースがあるので、そのベースをもって世界と勝負できる体力はついたかなと考えています」

中西:「10年後や20年後、30年後のイメージはありますか?」

野々村:「よくサッカーの世界で5大リーグ (プレミア・リーグ、ラ・リーガ、セリエA、ブンデスリーガ、リーグ・アン)と言われますよね。今Jリーグはトップ10には入っているけど、5大リーグには届いていない感じ。でも10年後か20年後、その5大リーグにJリーグが入っているイメージが僕の中にある。現場で関わっている人たちも同じようなイメージを持っていると思うので、全然夢物語ではないと思います」

◆シーズン移行が選手のパフォーマンスを変える?

2026年、Jリーグは史上初の「シーズン移行」を行う。

これまでは2月に開幕し12月に閉幕していたが、今年からは8月に開幕して6月第1週で閉幕する。これは、5大リーグと開催期間がほぼ重なる。そこには、どんな意味があるのか。

野々村:「20年ほど前からサッカーの現場では『変えるべきだ』と言われていました。国内の地位を築いているうちは必要なかったかもしれませんが、世界と勝負し、マーケットで生き残っていくなら、シーズン移行をしないと難しくなっていくと思っていました。

何より、僕がいちばん感じていたのは、選手のパフォーマンスをもっと上げる環境を作らないといけないということです」

新たな日程では、8月開幕のため6月第2週から7月はシーズンオフになる。この変更は、パフォーマンスにどんな影響があるのか。

ヴィッセル神戸の武藤嘉紀は、「日本の夏は暑すぎるので、夏の時期にプレーしないことで、高いレベルをお客さんも楽しめると思うし、僕らもいいコンディションでプレーできる」と展望する。

鹿島アントラーズの鬼木達監督も「夏場はどうしても強度や集中力が落ちるので、(シーズン移行は)全チームが魅力あるサッカーを目指しやすくなる」と期待を寄せている。

野々村:「今までの日程だと、シーズン開幕時がコンディションのピークで、暑くなる5月・6月から疲労が蓄積し、8月・9月はどんどんパフォーマンスが下がって、最後涼しくなる頃に少し上がるという形でした。一方、ヨーロッパや他の地域のパフォーマンスは山なりの曲線を描くんです」

1シーズンのコンディションの変化について、Jリーグが出したデータがある。5大リーグがシーズン開始から徐々にコンディションを上げ、山なりの曲線を描くのに対して、J1は夏場、極端にコンディションを落としていた。

野々村:「選手たちのためにもJリーグの価値を上げるためにも、やっぱり山なりの曲線を描きたい。シーズンを動かすことで、平均して高いパフォーマンスになる可能性が高いので、そんな環境を作ってあげないといけないと思います」

シーズン移行で選手のパフォーマンス向上が期待される一方で、サポーターからは冬場の開催を心配する声が上がっている。

そこで新しい日程では、降雪などのリスクを避け、12月中旬から2月第3週までシーズンを中断する“ウィンターブレイク”を設けた。それでも、試合数は従来と変わらないという 。

さらに、リーグとしてこんな考えも。

野々村:「中断期間が明けてシーズンが再開されるまで地元で練習したいというチームのため、練習環境を整備することへの投資を考えています。屋内練習場やエアドームをつくったり、融雪の機材を導入したり、スタジアムを温かくしたり。冬にサッカーを見る環境・やる環境を整えるきっかけになればいいなと思っています」

◆「外貨を稼げない」課題の解決へ Jリーグが欧州基準へ近づく意義

さらに、海外リーグとシーズンが重なることで、サポーターからは移籍に関する懸念の声も上がっている。

「スター選手が若いうちから海外へ流出してしまうのではないか」
「シーズンが重なることで移籍の機会が増え、地元の有力選手がいなくなってしまうのではないか」

そんな不安に対し、野々村チェアマンはこう語る。

野々村:「シーズンが重なるから移籍が増える、というのはまったく関係ありません。むしろ今日本が抱えている一番の課題は『外貨を稼げない』ということ。価値ある選手が正当な金額で売れていないんです」

2025年、川崎フロンターレからイングランドの名門・トットナムに移籍した高井幸大。その移籍金は、Jリーグから海外へ渡った日本人選手の最高額となるおよそ10億円だった。

しかし、同じ時期にイングランド・プレミアリーグへ移籍した同年代の選手と比較すると、イタリア・セリエAから移籍した選手はおよそ52億円。さらに、5大リーグではないオランダから移籍した選手には、およそ75億円の移籍金が発生した。

野々村:「この課題を解決していくためには、売る側の日本サイドにも、世界のマーケットで勝負できる人材が増えていかないといけない。選手がヨーロッパを目指すのは、向こうのほうが売り上げもあって、良い選手が集まっているから。だとしたら、Jリーグがヨーロッパの基準に近づいていけばいい。

Jリーグにもヨーロッパや南米からいい選手がくるし、リーグのクオリティが上がって、『海外へ行かなくてもここで十分成長できる』と思われるような環境になればいい。そうなっていくと僕は思っています」

中西:「逆に、海外からスター選手を呼べる可能性も高まりますしね」

野々村:「それは大いにあります。選手を呼ぶためには、『お金』と『Jリーグって素晴らしい』という環境が必要です。30数年前、リネカーやベンゲルがJリーグに来ていたのは、Jリーグとイングランド・プレミアリーグの売り上げがほとんど同じだったから。もっといい環境で稼ぎたい、そう思った世界のトップ選手たちがJリーグを選んだわけです。同じような環境にしていけばいい」

Jリーグ開幕当初は、多くのスター選手が日本でプレーすることに魅力を感じていた。その当時のクラブ全体の売り上げを見ると、Jリーグはイングランド・プレミアリーグとほぼ同じ500億円。だが、今では差が大きく広がり、プレミアリーグがおよそ1兆2300億円に対し、日本はおよそ1700億円となっている。

再び、世界と肩を並べるJリーグへ。

◆今しかできない挑戦。今年限定の「百年構想リーグ」

シーズン移行以外にも新たな取組みがある。

シーズン移行による開幕の前、今年限定の特別な大会『明治安田 Jリーグ百年構想リーグ』が開催されている。

J1は20クラブを東西に分け、ホーム&アウェイ方式のリーグ戦で順位を決定。プレーオフラウンドは、東西の同じ順位同士が激突。ホーム&アウェイ方式で優勝を決める。勝ち点ごと、そして順位に応じて総額25.2億円の助成金が支払われる。

中西:「この大会が開催される理由はなんでしょう?」

野々村:「シーズン移行までの半年間何もしないわけにはいかないですし、今年はワールドカップイヤーでもあります。日本でプレーする選手もワールドカップに出場する可能性が十分にあるなかで、プレーの強度を保ちつつ、どう楽しんでもらうかを考えました。今までやったことがないものを表現するって、もう今しかできないんですよ」

中西:「引き分けがない完全決着というシステムは、以前おこなっていたPKのようですね。特にPKはワールドカップでも重要になってきています」

野々村:「最近のワールドアップでも常にPKが話題になりますよね。僕もいろんな人に『なんでPKをやらないんだ』と言われて、確かにそうだなと思っていました。どこかのタイミングでできないかと考えていたら、ちょうどこの期間があったので、Vゴールは体力的に難しくてもPKなら悪くないかと思って採用してみたんです」

中西:「優勝したら AFCチャンピオンズリーグエリートの出場権が与えられるのも、かなり魅力的ですね」

野々村:「本気で獲りに行くと思ってもらうため、何を用意するべきか考えました。チャンピオンチームがACLの出場権をもらえるというというのは大きな部分かと思います」

中西:「Jリーグのチームがもう一度ACLエリートを取れるようになってほしいですね」

野々村:「そうですね。本当にJリーグとしてできるサポートは全部しています。ACLに行くチームのチャーター機も出していますから」

中西:「やっぱりそれぐらいJリーグのチームがアジアのチャンピオンを取ることは重要ですか?」

野々村:「今、サウジアラビアがすごく投資をしていて、いいチームが多いんです。でも日本のチームもうまく戦えばやれないことはないと思います。そのためのサポートはするし、日本のチームが『すごい』と思ってもらえるような結果とパフォーマンスを見せてほしい。それが僕の一番の願いですね」

開幕から33年。世界と戦うための土台を築き上げてきたJリーグ。世界基準に合わせ、挑戦するシーズンが始まる。

野々村:「百年構想リーグは半年ですが、この半年と次の新しいシーズンは、Jリーグにとってすごく大事な時間になると思います。世界に挑戦する意味でも、いい準備になるといいです。

そしてこうして今世界へ挑戦できるのは、33年の積み重ねがあったからこそ。これまで関わってくれたいろんな人たちに感謝しながら、百年構想リーグをみなさんと楽しみ、新しいシーズンに入っていきたいです」

※『GET SPORTS』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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