テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
未来をここからプロジェクト
menu

オジェがトップ浮上!トヨタは今年もトラブルに苦しむ【WRC:ラリー・メキシコDAY3結果】

現地時間の3月10日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦「ラリー・メキシコ」のデイ3(SS11~SS19)が行われた。

結果は、1位セバスチャン・オジェ(フォード)、2位クリス・ミーク(シトロエン/1位から35秒9遅れ)、3位ダニ・ソルド(ヒュンダイ/同46秒8遅れ)、4位アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ/同1分28秒4遅れ)、5位セバスチャン・ローブ(シトロエン/同2分19秒7遅れ)となっている。

この結果が出るまでのSS11からSS19までは波乱万丈で、WRCを制することの難しさを証明する1日ともなった。

©WRC

朝8時33分にスタートするSS11、走行順番は前日順位の逆順で、リバースオーダーと呼ばれる方式で行われた。

1番手はティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)、2番手ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)、3番手ミケルセン、4番手オジェ、5番手ミーク、6番手オット・タナック(トヨタ)、7番手ローブ、8番手ソルドの順だ。

前日7位だったヌービルは1位から2分以上遅れているが、前日6位だったミケルセンから1位のソルドまでは31秒7差と、上位陣には順位の変動が予想された。また、スタート前の気温は12度、日中は28度までの上昇が予想されていたが、実際はそれ以上に暑さを感じる1日で、北欧出身ドライバーたちにとっては身体的にこたえる1日となった。

いきなり波乱が発生したのは、SS11。最初に出走したヌービルがスタートから800メートルの時点でマシンが止まってしまったのだ。

どうやら水場を走り抜けるときにトラブルが発生。その後も、ゴール地点まで7kmを残したところで“スローパンクチャー”と呼ばれるタイヤから徐々に空気が抜けていくトラブルに見舞われてスピードを出せず、SS11はトップから2分3秒7遅れと完全に争いから脱落してしまった。

さらに、トヨタのタナックが突然のスロー走行。オンボード映像では2速と3速しか使われず、時速60キロ以下という明らかにトラブルの状況。ゴール時点でトップから2分46秒4も遅れ、タナックは「なにが起きたかまったくわからない。たぶん20馬力くらいしかないマシン状態だった」と語った。その後チームからリタイアが発表され、前日3位だったタナックが脱落という結果に。

©WRC

ここでは前日2位のローブがステージトップを獲得し、総合でもトップに浮上。そのままSS12・SS13も総合トップを守り、伝説の王者の優勝も見え公式テレビの解説者たちも多いに盛り上がり、ローブ紹介時に「マエストロ」と呼称した。(ちなみに「マエストロ」とはスペイン語やイタリア語で指揮者や巨匠などといった意味があり、偉大なドライバーに敬意を示した格好だ)

だが、SS14でそのローブに左前輪のパンクトラブルが発生。すぐにタイヤ交換したが、SS14タイムはトップから2分23秒7遅れ、優勝争いから脱落してしまった。ステージ終了後にローブは、「走行ライン上に石があったんだ。パンクは予想外だったよ」と状況を語った。

そして、ローブとトップを争っていたソルドもSS14でトップから30秒遅れてしまう。ソルドもまたタイヤトラブルに見舞われていた。「走り出してすぐに小さな石を踏んだようでタイヤにトラブルが発生し、そのまま最後まで走り続けるしかなかったんだ」と悔しがった。

午前中に上位陣にトラブルが続出していくなか、圧倒的な速さを見せたのが現在の王者オジェだ。SS13からSS16まで4連続ステージトップを獲得し、他もすべてトップ6以内にまとめる速さと安定を見せつけ、トップへ浮上した。ミークもSS12とSS18でステージトップを獲得するが、オジェの速さには届かず、差を広げられる結果となった。

©WRC

トップのオジェは、「今日は昨日よりグリップを感じる。滑りやすいステージも自分の限界で走ったよ。午前中から良いリズムで走れていると思ったし、午後も良い感じで完璧な1日だったと思う」と現役王者の貫禄を見せている。

トヨタはタナックが脱落したことで、最高順位はWRC2マシンにも遅れる形で総合9位にラトバラ、12位にエサペッカ・ラッピ、そして14位にタナックという結果に。

トヨタとしては、昨シーズンでトラブルに苦しんだラリー・メキシコの克服を目指してきたが、今年も暑さと高地に苦しまされることとなった。

©TOYOTA GAZOO Racing

しかしデイ3の中身を見ると、ラトバラがSS13と14、ラッピがSS12と19でそれぞれステージ3位を獲得。SS14の走行後、公式テレビから「すでに上位進出が難しいなか、激しく攻めている理由は?」と問われたラトバラは、暑さに顔を真っ赤にしながら、「ターゲットは僕の前のマシンに追いつくことだ。それが4分差であっても僕たちは攻め続けなきゃいけない」と闘志を失わないエースの姿を見せた。

ラリー・メキシコもいよいよ最終日を残すのみ。デイ4は、SS20からSS22が行われる。SS2の現地スタート時間は午前8時18分(日本時間は午後11時18分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

はてブ
LINE
おすすめ記事RECOMMEND