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ポップさとサスペンス色が入り混じった異色の刑事ドラマ『警視庁アウトサイダー』西島秀俊&濱田岳&上白石萌歌の芸達者ぶりに注目

ポップさとサスペンス色が入り混じった異色の刑事ドラマ『警視庁アウトサイダー』西島秀俊&濱田岳&上白石萌歌の芸達者ぶりに注目

<『警視庁アウトサイダー』レビュー 文:赤山恭子>

物語が動き出し、俄然面白くなる予感がしてきた警視庁アウトサイダー

本ドラマは、西島秀俊、濱田岳、上白石萌歌がクセの強いキャラクターに扮する刑事もの。3話まではこれまでのテレビ朝日刑事ドラマにない、コメディ要素の強いポップな構成というイメージだったが、4話の“ある一件”から一気にサスペンス色も入りまじり、怒涛の中盤戦へとなだれ込みそうだ。

警視庁の組織犯罪対策部、通称“マル暴”から飛ばされ桜町中央署刑事課に異動してきた架川英児(西島)と、同刑事課のエース・蓮見光輔(濱田)。任侠気質の架川に、冷静沈着な蓮見は反りが合わないが、ふたりは新米刑事・水木直央(上白石)の面倒を見ることになる。

1月26日(木)に放送された第4話では、架川の恩人である警視庁生活安全部の参事官・黒石元警視正が、アパートで自殺したという報せが。がく然とする架川だったが、黒石からは「あれは罠だ。君も気をつけろ」という手紙を受け取る。

黒石の死の背後には、暴力団“鷲見組”が絡んでいると気づいた架川と蓮見は、真実を求めて裏社会の大物・手嶌春(浅野ゆう子)の元へ。春の情報と交換条件で、ふたりは鷲見組の犬を知ることになる。しかし…それは、とんでもない人物だった。

◆ストーリーを表情豊かな演技で下支えする凸凹トリオ

「これまでにない、ちょっとはちゃめちゃだけど骨のある刑事ドラマを作ってみせようか」というテレビ朝日の気概を受け取る『警視庁アウトサイダー』。

アウトサイダーとは外部や余計な人という意味合いだが、架川・蓮見・水木の3人はそれぞれに事情を抱え、一般的な刑事からは、はみ出し気味。だからこそ、強いキャラクターが光り、ひいてはその演技が本ドラマのおもしろさを担っている。

ダブルのスーツにサングラス姿、SNSは絶対やっていなさそうな(マッチングアプリも知らない)時代錯誤な架川。そもそもスタイリッシュな西島が、ここまでひと昔前のおじさん刑事になれたことに拍手喝采を送りたいし、なりきりぶりは見事なもの。

架川の待ち受けは『はぐれ刑事純情派』の安浦吉之助(藤田まこと)。彼を師のように仰ぐ、ちょっといきすぎのキャラクター作りは滑稽さも否めないが、それでいて事件に熱心に取り組み、時にいい具合に勘を働かせるので、結果、絶妙な刑事像となっている。何より西島が生き生きと楽しそうに演じているのが、見ていても楽しい。

そんな架川にとってバディ的存在となるのが、濱田演じる蓮見だ。実のところ、彼は“蓮見光輔になりすましている何者か”であり、架川にだけはその事実を知られている。

架川と対照的に完璧な刑事然としている蓮見。彼の抱える背景やなりすましの理由は回を追うごとに明らかになっていったわけだが、光と闇のコントラストを演じ分ける濱田の芸達者ぶりが見事。少しの表情の変化で心象を伝える技術は、ドラマの見ごたえを底上げしている。

そして、何よりダークホース的に注目したいのが上白石。「刑事なんかになりたくなかった」とする水木を演じているが、実は父は警視庁副総監で彼女はサラブレッド。新人らしからぬ大胆さで、架川も蓮見も振り回し、ちょっとした潜入捜査も「演劇部だから役になり切ればできる」とキャラを豹変させながら、何だかんだこなしていく。

そもそも上白石は透明感のある役どころが似合う俳優だが、『KAPPEI カッペイ』ではコメディエンヌもばっちりはまることを証明してくれた。そんな上白石の新たな魅力ともいえるボケの詰まった芝居が堪能できるのも、本ドラマのポイントだ。

こうしたクセが強いながらも魅力的なキャラクターの動向を追っていくのが、本作の魅力。骨子となるストーリーラインを表情豊かな演技で下支えする3人のやり取り、凸凹トリオを愛さずにはいられない。

◆架川・蓮見・水木、3人が抱える“秘密”

本ドラマのキャッチコピーは「3つの正義、それぞれの秘密。」。当然、架川、蓮見、水木の3人を指しているわけだが、4話まで見たところ、一番“秘密”がわかりやすいのは蓮見だろう。

彼は敬愛する父の冤罪を晴らすために自分の名を隠し、他人になりすまして刑事になった男。蓮見の協力者や後ろ盾について、全貌はまだ見えてこない。

しかし、4話での“意外な犬”の正体を受けると、もはや誰もが何かの関係者である可能性があるように思えてくる。

一方、架川の正義や秘密はというと、いまだヴェールに包まれている。今はマル暴に戻るために点数稼ぎの刑事をしているわけだが、鑑識の仁科素子(優香)との古い仲や一切明かされないプライベートを考えると、5話以降、まだまだ過去のしがらみから何かが浮かび上がってきそうだ。

そして、水木の秘密は、やはり警視庁副総監・有働弘樹(片岡愛之助)の娘であるということ。これについては4話で間接的に架川にばれてしまったが、逆に水木も架川と蓮見の裏の顔やふたりの秘密を知ってしまう。

5話以降、水木がただの傍観者ではなくふたりに深く関わっていくことで、物語が大きく動き出しそうだ。

架川・蓮見・水木の3人がもつ正義により、彼らがどう暗躍していくのかに期待がかかる中盤戦。

現時点では顔見世程度だが、どう考えても裏の顔がありそうな与党・現職国会議員「友政党」の若きリーダー・小山内雄一(斎藤工)との絡みも出てくるだろうし、あっと驚く仕掛けがある…かもしれない。

刑事ドラマのおもしろさはベースにありながら、ポップさもなくさないという、緩急のバランスにも引き続き期待したい。

(文:赤山恭子)

※番組情報:『警視庁アウトサイダー
【毎週木曜】午後9:00~午後9:54、テレビ朝日系24局

※『警視庁アウトサイダー』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)

※動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」では、地上波放送終了後にドラマ本編を配信!

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