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冨士眞奈美、共演した寺田心の“好きなタイプの女の子”回答に「泣けちゃうわ」

©テレビ朝日

1956年にドラマ『この瞳』(NHK)で女優デビューし一躍清純派人気女優になったが、ドラマ『細うで繁盛記』(日本テレビ系)で意地悪な小姑役を演じ、清純派女優から“憎まれ役”にイメージチェンジした冨士眞奈美さん。その強烈なキャラが話題を集め、憎まれ役が人気者になるという新しいパターンに。ドラマ、CMに引っ張りだこになる。

文学少女だった冨士さんには“清純派女優”時代から執筆依頼もあったが、清純派のイメージもあり、書きたいことを書く勇気がなかったという。それが『細うで繁盛記』がきっかけで汚れ役もできるようになり、物を書くことにチャレンジすることに。

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◆女優を引退したら清々した?

-小さいときにはよく病気をされていたそうですが、丈夫になられたのはいつ頃からですか-

「女優になってから丈夫になったの。高校のときはまだダメでヒョロヒョロだった。母がいつも朝、『お昼の休み時間に購買部で牛乳を一本買って飲んでね』って言ってましたよ。そのぐらいダメだったんだけど、女優になったら病気になっている暇がないんだもの。『あなたの病気はスケジュールに入っていません』って言われちゃうの。

あの頃は映画が全盛で、父が病気になってから映画にいっぱい出るようになったんだけど、『お父さんの病気はスケジュールに入っていません』って言われてね。私は父の死に目に会えなかったの」

-昔は「芸能界で仕事をするなら親の死に目に会えないと思え」なんて言われていましたね-

「そうなの。今とは違って、それが当たり前の時代でしたからね」

主役から汚れ役までこなし、抜群の演技力で人気女優となった冨士眞奈美さん。しかし、1974年、脚本家の林秀彦さんとの結婚を機に女優業を引退。エッセーや小説の執筆、対談などの活動のみを続けることになる。

-ご結婚されたと同時に女優業を引退されましたね-

「辞めました。家までプロデューサーの方が来てくださって、『そろそろ仕事をしても良いでしょう?』っておっしゃってくださったりしたんですけどね。続きもののドラマがあったりしたんだけど、それをやったら家のなかがめちゃくちゃになっちゃったりして、きっと家庭生活が続かないと思ったの。子どももまだちっちゃかったしね。だからみんな断ったんだけど、良い映画もずいぶんありましたよ」

-結婚したら女優を辞めるというのは、最初から決めていたのですか-

「辞めようと思ったんですよ。夫には雑文を書くこと以外、仕事は一切認められなかったの。ほかのきれいな女優さんは好きだけど、妻が女優っていうのは気に入らなかったんだと思う。

脚本家だから女優のために書くとか、好きな俳優さんのために書くということはするけれど、自分の妻が女優というのはイヤなのよね。私、忖度(そんたく)したわけ(笑)」

-女優を引退するのはイヤだとは思わなかったんですか?-

「思わなかった。何か清々していた。目覚ましをかけて起きないですむし(笑)。子どもは小さくて可愛いしね。PTAの幹事になって、PTAの広報部の副部長をやったりしていたのよ。学校で講演の講師の先生とかが来ると、今まで自分がされていたことを広報だからやるのね。

『講師の先生は〇〇先生です。よろしくお願いします』とか言ってね。とても楽しかったわよ(笑)。運動会でドッジボールとかをやるんだけど、からだが弱かったくせに子どもの頃からスポーツが好きだったからすごく上手なの」

結婚後はエッセイや小説の執筆などの活動をメインにしていた冨士さんだったが、1984年に離婚すると本格的に芸能活動を再開。女優、俳人、エッセイストとマルチな活動を続けている。

-冨士さんの文才は新聞記者だったお父様譲りでしょうね-

「いつもいつも書いている父の後ろ姿しか見てないし、書くことは昔から好きだったわね。父が若いときに文学青年だったから、納屋みたいな離れに本がいっぱいあったのね。だから本はよく読みましたよ。母も結構好本を読むのが好きだったから雑誌もいっぱいあって、連続物とかも全部取ってあるから夢中で読んでいたわね。

小説も菊池寛、久米正雄、広津和郎とか、そうそうたる人が書いていたから、続けて読むと面白いのよ。納屋にはお餅とか食べ物も入っているから、それを食べながらずっと読んでいたわね」

©テレビ朝日

◆お気に入りは大谷翔平選手、メジャーリーグに合わせて夜型の生活に

-子どもの頃は男の子に混じって野球もやっていたそうですね-

「そう。からだが弱くてすぐに具合が悪くなるくせに野球やドッジボールが好きでね、ずっとやっていました。『野球少年』が愛読書。野球は大好きだったの。今もそれは続いている。だいたいのスポーツは好きだし、オペラも好き」

-大谷翔平選手がお気に入りだとか-

「大谷選手は誰だってお気に入りでしょう?実力があるし、背も高いし、ハンサムだし(笑)。でも、また岩手県で佐々木朗希君という若いピッチャーが出てきてね。大船渡高校の3年生で、この間163km出したの。彼も背が高くてハンサムなの。岩手県ってハンサムが多いのかしらね(笑)」

-スポーツ選手もルックスが良い人が多くなりましたね。メジャーリーグはいつ頃からご覧になっているんですか-

「野茂(英雄)さんのときから。野茂さんのときにはまだラジオしか聞けなくてね。いつも朝4時頃から中継が始まるの。だから、ずっと起きて待っていて、小さなラジオにしがみついて聞いていたんだけど、あんまりおもしろかったから、とうとうNHKに電話をして、『衛星放送を入れるところ(部署)につないでください』って言って、工事の人に来てもらったの」

-アメリカで活躍する日本人選手も多くなりました-

「そうね。松井(秀喜)さんも好きよ。ヤンキースに入った頃、すてきだったわよ。いい顔していた。輝いてやる気満々の人って本当にいい顔しているのよ。

松井さんがメジャーリーグに行った当時なんて、州の名前もボストンの球団の名前も全部覚えていたんだけど、もう忘れちゃった(笑)」

-メジャーリーグの試合時間に合わせると、昼夜逆転の生活になってしまいますね-

「そうなの。完全に夜型の生活。お友だちもみんな私が野茂さんが好きだということを知っているから、アメリカに行ったときには野茂さんのTシャツとか、グッズを買ってきてくれるのね。

それで野茂さんがドジャース時代の背番号16番を付けて笑っている顔がプリントされているTシャツを着てね、ドラマに出ちゃったりしたの(笑)。お寺の和尚さんの奥さんの役だったんだけど、境内でピッチングの練習をする奥さんにしちゃってね。ボールを投げているの(笑)。やらせてくれたから、とてもうれしかったわね」

(C) 2018「ばあばは、だいじょうぶ」製作委員会

◆主演映画『ばあばは、だいじょうぶ』で天才子役・寺田心ちゃんと

昨年はドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)にアメリカ帰りの元女優・犬山小春役で出演。

自由奔放な言動が災いして日本のテレビ業界から事実上追放され、ハリウッドで女優としての再出発を目指すが断念。帰国後、やすらぎの郷で昔の仕事仲間と再会した後、投身自殺を遂げるという衝撃的な役を熱演。5月10日(金)には主演映画『ばあばは、だいじょうぶ』が公開される。

※映画『ばあばは、だいじょうぶ』
ちょっと気弱な小学生の翼(寺田心)は、両親と祖母・ばあば(冨士眞奈美)と4人暮らし。どんなときでも自分の味方をしてくれるばあばのことが翼は大好きだった。しかし、ばあばが認知症になってしまい…。

-寺田心ちゃんとすごくいい感じですね-

「心ちゃん可愛い。心ちゃんがね、『僕、撮影が終わって“ばあば”と会わなくなっても、どこかでバッタリ会ったら、“ばあば”って呼んでいいですか?』なんて言うから、本当は“ばあば”なんて呼ばれたくはないけど、あの子だったら可愛いから『いいわよ』って言ったの(笑)。

おばあちゃんの役はこれまでに何回もやったことがあるけど、タイトルロール(作品の題名になっている役柄)で『ばあば』って言われたのは初めてよ。でも、タイトルロールなら、オペラの『椿姫』とか『カルメン』と一緒じゃない?(笑)」

-撮影はいかがでした?-

「心ちゃんは本当のプロ。疲れたらどこでもすぐ寝ちゃうし、騒いでも何しても寝ているの。それで起こすと寝起きが良くてね。ぐずらないで、ちゃんとすぐに間違えないでセリフを言うの。すごいわよ。

例えば、私がうっかりして心ちゃんのセリフを飛ばしちゃったりするじゃない?そうすると、『僕のセリフが間にあるんだけどな』って言ってね。ちゃんと覚えているからやり直したのよ(笑)」

-しっかりしていますね。それにちょっと大きくなって-

「そうなの。おとなになっていた。でも、あの子は可愛いからね。今10歳で、6月に11歳になるんだけど、とても頭のいい子だから、可愛い芝居をしちゃうの。だから、この間久しぶりに会ったときに、『あなたは普通にしていて十分可愛いんだから、可愛いお芝居はしなくて大丈夫よ』って言ったんですけど、わかったかな。十分そのままで可愛いんだけど、プロだから芝居をしちゃうのよね」

-頭が良いから、周りが自分に何を求めているのかわかるんでしょうね-

「相当頭がいいからね。心ちゃんはお母さんとおばあちゃんと3人暮らしで、二人がとても大事なんですよね。『おばあちゃんとお母さんを楽にさせてあげたいから、僕一生懸命お仕事をやる。お母さんのために大きい家に住みたい』って言ってね。

それで『どんなタイプの女の子が好き?』って聞いてみたら、『お母さんを大事にしてくれる人』って言うのよ。泣けちゃうわ」

-まだ10歳なのに、すごいですね-

「お母さんが大好きなのね。普段だってお母さんに抱きついたりしているもの。だから『あなたさっきお母さんに抱きついていたでしょう』って言ったら、『抱きついているお芝居をしてたの。お芝居の稽古をしていた』って言うのよ(笑)」

-可愛いですね。劇中、白柴が出てきますが、冨士さんは大の犬好きだそうですね-

「そう。でも、あの犬は懐かなくてね、別撮りだったんですよ。飼い主さんがそばにいたんだけど、何をあげても全然懐かないの。私があげても食べないしね。予算がないから撮影慣れしたプロの犬は使えなかったの。だから、撮影場所の近所を探し回って、あの柴犬を借りたんだけど、飼い主の言うことしか、聞かないからね。大変だったのよ(笑)」

-冨士さんはずっと犬を飼っていたそうですね-

「猫が2匹と犬が一匹。去年のお正月に死んじゃったチワワは可愛かったんだけどね。また一匹新しいチワワがいますよ。近くに住んでいる娘のところにですけどね。娘は本当にもうネコっかわいがりしていますよ。

今年のお正月の俳句は『寝正月』というお題だったから、『ほっぺたに猫ひっついている寝正月』って作ったの(笑)。そしたら編集部の方が、『この句いいですね』って喜んでくださったの。娘のことなんだけど、私のほっぺたに猫が引っ付いているって思ったんでしょうね(笑)」

俳句歴は30年以上。ヤンキース時代の松井秀喜さんが満塁ホームランを打ったときには「天高し 総立ち ヤンキースタジアム」という俳句を作り、大谷翔平選手お題にした俳句「マイボーイ 礼儀正しく ラムネ飲む」も。すぐに作れてしまうところがすごい。テレビでのスポーツ観戦のスケジュールもビッシリだと目を輝かせて話す笑顔が華やかでバイタリティーにあふれている。(津島令子)

(C) 2018「ばあばは、だいじょうぶ」製作委員会

※映画『ばあばは、だいじょうぶ』5月10日(金)公開
監督:ジャッキー・ウー
出演:冨士眞奈美 寺田心 平泉成ほか
小学生の男の子の視点から認知症になってしまった大好きなおばあちゃんの姿を描く。