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「キレのあるボール」の”キレ”ってどういう意味?あの川上憲伸氏が明快解説

野球を観戦していると、ふと“素朴な疑問”が湧いてくることがある。

例えば「キレのあるボール」。野球界では良く耳にする言葉だが、そもそもここで言う“キレ”とは何だろうか?

また、プレー中にタイムをとるとき、内野陣がピッチャーに駆け寄る場面が見られるが、あの時間では一体どんなことが話されているのだろうか?

今回はそんな“素朴な疑問”を、元中日ドラゴンズのエースとして活躍し、メジャーリーグでもプレーした経験のあるテレビ朝日野球解説の川上憲伸氏に率直にぶつけてみた。

©テレビ朝日

◆「キレのあるボール」は“錯覚”を起こさせる

――“キレ、伸びのあるボール”は良く聞く言葉ですが、川上さんが考える“キレ”“ノビ”とはなんでしょうか?

川上:難しいですね… “キレ”とか“伸び”は良く出てくる言葉ですけど、僕らピッチャーから見ると、バッターに錯覚を起こさせるということが“キレ”とか“伸び”に繋がると思います。

バッターが目で見て感覚で「捉えた」というモノが捉えきれないことが、僕らからすると“キレ”がある、“伸び”があるということだと思っています。

特に真っ直ぐ(ストレート)に関してですね。それが生きると、他の変化球も有効に効いてきます。

―― “キレ”や“伸び”があるボールを投げるために、どんな練習をするのでしょうか?

川上:手先で投げない練習ですね。

投手と野手の投げ方で大きく違うのは、手先ではなくて、身体全体を使って体重移動をして、リリースポイントで最後に100%を迎えるという点です。そうすることで、より打者に近いボールを放てますし、それが良い投手の特徴でもあります。

――川上さん自身は、“キレ”や“伸び”を出すために、練習されていたことはありますか?

川上:下半身強化ですね。上体に頼ってしまうと、気づかないうちに“キレ”が無くなっていくという感じがあると思います。

――ピッチャーがタイムをとってマウンドに集まるときは、何を話していることが多いのでしょうか?

川上:投手にもよると思いますが、若手にとっては“間”が大事だと思っています。

あーだ、こーだ言っても頭に入ってこず、作戦どころではなかったりするので、若手投手に対してベンチからタイムがかかる時は、ほぼ“間”を取りにいっていると思います。

「1回落ち着けよ」とか「深呼吸しろ」とか、「守っている野手へ声かけてみろ」とか「2人で1つのアウトを取る意識で良いよ」とか、リラックスする話を持ってきてくれることが多いです。

ただ、僕もエースと呼ばれる立場になってからはそんな話は一切なく、入り球とか作戦的なことが中心になりました。長打打たれるより1ヒットはOKだから、インコースは無理にいかなかくていいなどですね。

◆フェイスガード、安全対策の意味だけではない?

――MLB投手の方が、投げ方が日本人より“個性的”に見えるのはなぜでしょうか?

川上:たしかに個性的にも見えるのですが、逆に言えば自分の特徴を生かしているということになると思います。

野球の世界は“いたちごっこ”で、ボールにバッターがどんどん慣れてくるので、慣れてない変化球を投げよう、慣れていない投球フォームをやっていこうと、そういう個性を作ろうとする雰囲気がアメリカではある気がしています。

また、MLBはアメリカではなく世界中の選手が集まってくる場所で、日本よりも断然多国籍な状態なので、指導者もこうしろ、ああしろというのが少ない世界なのかなと思います。

――フェイスガードは、なぜ最近流行っているのでしょうか?

川上:打者ではないので分からない部分はありますが、メジャーリーグの選手で折れたバットかボールが顔に当たって、大きなケガを負ったというケースが結構あったと聞いているので、安全対策の意味でつけている選手がいるのではないかと思います。

また、意外にサングラスのような形で、視界が狭まることでしっかり定まるという意味もあるのではないかなと思っていて、安全対策の意味だけではなさそうだなと感じています。

――やはり国際大会を経験して、メジャーリーグを目指したくなる選手は多いのでしょうか?

川上:これはほとんどの人が(その気持ちが)溢れるのではないでしょうか。

仮に良いピッチングで抑えたりすると、自分では意識していなくてもメディアで騒がれたり、国際試合だと必ずアメリカのスカウトが来るので、情報が流れていきます。

そうなると自然と、「メジャーリーグに行ってみたい」とかそういう気持ちになると思います。あの有名なバッターのバットをへし折ったとか、空振りを取れたとかになると、「俺は世界クラスにいけるかも」という気持ちが芽生えるのかもしれません。

――川上さん自身のメジャーリーグ挑戦の決め手は?

川上:2002年日米野球で、その年から取得したカットボールを投げて、バリーボンズのバットをへし折った時に「メジャーへ行きたい」と。

当時カットボールを投げる投手があまり日本にいなかったのですが、マリアーノ・リベラを見て「すごいボールを投げているな」と思って取り入れて、そのカットボールがどこまでメジャーリーグで通用するのか試してみたいと思いました。

◆今夜メキシコ戦での一球は「必ずシーズンに生きてくる」

――現役時代の自分が今回の侍ジャパンメンバーの技術をもらえるとしたら、どの選手のどんな技術がほしいですか?

川上:投手は、やはりスピードが一番大事だと思うので、今回でいうと一番球が速そうな山本由伸選手ですかね。ひょっとしたら160キロ出るんじゃないかと。

そういう次元のところに、いまだに憧れている部分はありますね。

――国際試合とプロ野球レギュラーシーズンのボールとの違いに戸惑いはあるものなのでしょうか?

川上:五輪で使うものは割と皆の手に馴染むものですが、WBCではメジャー球を使うとなると、力が発揮できない投手も出てきます。

練習の時から、メジャー経験のある人に話を聞くなど、かなり神経を使わないといけないと思います。

――今日3月9日(土)に行われる「侍ジャパンシリーズ2019 日本×メキシコ」は、選手にどのような影響をもたらすでしょうか?

川上:昔に比べて日本代表の集まりが、シーズン中・前にも増えてきていて、日本どうこうよりも、個人のモチベーションにとって良いことだと思います。

必ずこういう集まりでは、何か勉強して帰ろう、あの良い投手の何かを盗んで帰ろうと、勉強する姿勢が生まれるので、選手のレベルアップ、日本球界のレベルアップに繋がると思います。

投手に関していうと、この試合はプロ野球の今シーズンの活躍を大きく左右する試合になる気がします。ここで活躍できれば、勢いがついたまま、そのままシーズンに入れると思います。

今回、特に初めて侍入りした選手が多いので、ここでの1球は必ずシーズンに生きてくると思います。

『侍ジャパンシリーズ2019 日本vsメキシコ』

3月9日(土)よる6時56分~ テレビ朝日系列にて生中継

よる9時54分~ BS朝日にてリレー中継(※試合終了時はハイライト)

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