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<私のおじさん>パンスト相撲で泣かす“正統派”お仕事ドラマ。そして城田優のDキス

就職した途端、超過酷ロケで有名なバラエティー番組に配属されたポンコツ新人AD・一ノ瀬ひかり(岡田結実)の前に突如現れた「妖精」を名乗るおじさん(遠藤憲一)――。

©テレビ朝日

どうやらひかりにしか見えていない陽気で毒舌で性格サイアクな妖精のおじさんとともに始まった珍妙なお仕事ライフを描く岡田結実主演の金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』

1月18日(金)までに第1~2話が放送された本作について、小劇場特化型メディア「ゲキオシ!」編集長で、独自のドラマレビューも人気を集めるライター・横川良明さんに寄稿してもらいました。

テレビ史上、こんなにグッと来るパンスト相撲があったでしょうか。

©テレビ朝日

「3高」彼氏から婚約を破棄され、特に興味もやりがいもないまま番組制作会社に就職した新米AD・ひかり(岡田結実)の奮闘と成長を描くドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』。

第1話では、街中かけずり回って集めた小道具があっさり不要になったり、仕込んだはずのカレー屋さんにロケ当日行ってみたら定休日でピンチに見舞われたり。やることなすことすべて上手くいかなくて「辞めたい」ばかり口にしていたひかり。

けれど、「くだらない」作業の積み重ねの中にある、ほんの小さな喜びを見つけ、少しだけ気持ちが上向きになったところで第1話は終了。

1月18日(金)に放送された第2話では、お局アシスタントプロデューサー(AP)・馬場(青木さやか)の新人イビリが、ひかりの前に立ちはだかりました。

©テレビ朝日

議事録の書き方から言葉遣いまで、馬場から集中砲火を浴びるひかり。思わず「パワハラ 対策」で検索するなど完全ノックダウン状態…。

「若いってだけであんなにいじめてきて、理不尽です」と居酒屋で愚痴をこぼすも、そんなひかりのミスで番組ゲストである大女優・霞美良子(高橋ひとみ)の怒りを買ってしまい…というのが、今回のお話です。

◆青木さやかのAPが…トラウマを呼び起こすレベルでリアル

実は私、新卒で入社したのが番組制作会社でして。1年足らずの間ですが、ひかりと同じバラエティー番組のADをやっておりました。だからわかるんですけど、馬場ちゃんみたいなAPいる!

©テレビ朝日

ヨレッヨレのトレーナーに、「何日帰ってないの?」っていうボサボサ頭のADがそこかしこで死体みたいに転がっているなか、鉄壁メイクに高そうなブランドものの服を着て、ADとしゃべるときとタレントさんと話すときでは「声帯ふたつあるの?」ってぐらい声の変わるAPが、私のかつての職場にもおりました。

注意するときはまくし立てるように早口で。でも一応角を立てないようにしているつもりなのか、口調は穏やか、たまに乾いた笑い(でもそれに合わせて愛想笑いすると絶対に「なんで笑ってるの?」って冷たく切り返されるからこの世は理不尽)。

必ず最後に「わかる?」って聞いてくるんですけど、間違っても「わかりません」とは言えないので、あの念押し形式のお説教、本当やめてほしい

そんなトラウマが脳内でぞわぞわと甦りつつ、箸が転んでも怒られたダメADだった私も35になりましたわけで。気づいたらむしろひかりより馬場ちゃんの気持ちの方が「わかる~」ってなってるから人生は不思議。

これがこのドラマのいいところで、お話としてはひかり目線なんだけど、働く人それぞれの共感のツボを腕のいいマッサージ師ぐらい的確に押してくる。

◆「お局」だって、最初から「お局」だったわけではないのです

とかく世間は人をカテゴライズしたがるもので、女性が長く働いていると、それだけで「お局」扱いしてくるからやってられない。

しかも結婚していないようだったら、恰好の反撃ポイントを見つけたように「あんなふうになりたくない~」と陰で笑われたりする。その残酷さと傲慢さに気づいていないのが、若さの罪。

誰だって別に「お局」になりたくてなっているわけではなくて。でも立場上、注意しなきゃいけないこと、教えなきゃいけないことは山のようにある。正しいことを言っているはずなのに裏で「お局」と陰口を叩かれ、「若いってだけでイジメてくる」と的外れな批判まで買ってしまう

©テレビ朝日

当然、「お局」扱いされている人にだって、若手時代はあるわけで。

仕事で泣いたことなんて当たり前のようにあるし、悔しい想いだって何度もしてきた。そうやって先輩たちが泣いたり我慢しながらも何とか歩きやすいように舗装してくれた道の上に、次の世代は立っているのだ

そういうことをきちんとメッセージとして組み込めていたので、終盤の“ひかりVS馬場ちゃん”のパンスト相撲は、絵的にはバカバカしいんだけど、何だかとてもドラマティックだった。

人がやりたがらないことを率先してできる先輩って、それだけでカッコいいよね

©テレビ朝日

◆城田優のDキスに、何だか妙にエロい気持ちになる金曜夜

加えて、大女優だけど今はちょっと微妙な立ち位置の霞美良子(高橋ひとみ)とマネージャー(山崎一)の歴史と絆も、短い回想ながらエモーショナルに伝わってきた。

霞美のために「仕事を取ってくる」マネージャーの誇りも、「仕事を取ってきてくれた」マネージャーのために胸を張ってパンストをかぶる霞美の誇りも、それぞれにまぶしくて、働くっていいなあと、しみじみ噛みしめてみたり。

妖精のおじさん(遠藤憲一)という飛び道具はあるけれど、このドラマはひかりたちが担当しているバラエティ番組そのままに、くだらないことでも一生懸命汗を流すカッコよさを描いた、正統派のお仕事ドラマだと思う。

と、ちょっと清々しい気分に浸っていたら、ラストは第1話と同様、千葉D(城田優)のキスシーンで終了。

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何これ毎回のお約束なの? ご褒美なの?? てか、城田優のキスシーンがどエロすぎてムズムズするんだけど、城田優にベロチューしてもらえる路地裏はどこにありますか???(真剣)

<文/横川良明>

※次回放送情報:金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』第3話
2019年1月18日(金)午後11:15~深夜0:15、テレビ朝日系24局(※一部地域で放送時間が異なります)

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