3億円かけ事業拡大するも…莫大な負債抱える老舗を救った“女将のアイディア”
いま知っておきたい話題や気になるニュースをお届けする朝の情報番組『モーニングショー』では、月~金の日替わりコーナーが放送されています。
水曜日は、宇賀なつみアナウンサーが、伝統を守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性から人生を素敵に過ごす秘訣などに密着する名物コーナー「継ぐ女神」をお届け。12月26日(水)の放送では、三重・伊勢で113年!伊勢かまぼこ「若松屋」4代目女将・美濃真紀さん(47)に宇賀アナが迫りました。
◆伊勢新名物「伊勢ひりょうず」
この地はかつて「伊勢の台所」と呼ばれ、伊勢志摩でとれた魚で賑わいを見せていたといいます。そこで生まれた「伊勢かまぼこ」は真っ赤な色をしているのが特徴です。伊勢神宮内宮そばのおかげ横丁にある真紀さんの店でも、この伊勢かまぼこを扱っていますが、今、話題を集めているのは「伊勢ひりょうず」。食べ歩きにぴったりで行列ができるほどの人気ですが、この大ヒット商品を生み出したのが真紀さんなんです。
◆128本の掛け軸からお宝発見なるか
ご自宅で待っていたのは、夫で4代目の松謙(まつのり)さんと義父・豊松さん、義母・かつよさんでした。実は先々代が密かに買い集めた掛け軸が128本もあるというのです。しかし、家族の誰一人として、その作品のいわれや価値がわからないのだとか。
海老澤鑑定士が箱書きを頼りに手にしたのは3本。円山応挙に絵を学んだといわれる江戸時代の画家・月僊(げっせん)、山水画を得意としていた伊勢出身の中村左洲、美人画の大家といわれた伊藤小坡(しょうは)です。月僊は贋作でしたが、他の作品は本物とのこと。ただその価値は松謙さんが期待したほどではなかったようで・・・・・・。残る掛け軸についても調べましたが、お宝発見とはいかず。ちょっと残念な結果となってしまいました。
◆手作りで守られてきた伊勢かまぼこ
気を取り直して、宇賀アナはかまぼこを作る工房へ。すり身に使っているのは「シログチ」という白身魚です。松謙さんが見せてくれたのは、そのすり身を空気が入らないように付け包丁という包丁を使って、山形に盛り付けている工程です。宇賀アナも挑戦しますが、出来上がりはかまぼことは程遠く…。
続いて伺ったのは「伊勢ひりょうず」の作り方です。ひりょうずとは東京でいう「がんもどき」のことで、真紀さんいわく「かまぼこ屋風にアレンジしている」のだとか。豆腐の代わりに魚のすり身を使い、ニンジンや枝豆、ひじきなどたくさんの具材を入れています。拳ほどの大きさにまとめて真ん中にうずらの卵を入れ、じっくり揚げたら出来上がり。
揚げたてをいただいた宇賀アナは、「おいしい!ちょっとかじっただけでいろんな食感が楽しめる。いいですね、ビールと一緒に」。話題の伊勢グルメ、気に入ったようです。
◆「食べ歩き」と「インパクト」で勝負
おかげ横丁で広報の仕事をしていた当時、松謙さんと出会い結婚した真紀さん。「老舗にお嫁に行けば、ワクワクするような面白いことがあるんじゃないか」と思っていたそうですが、結婚した翌日から接客や配送など何役もの仕事を任され、少しずつワクワクする気持ちを薄れていったといいます。その頃知ったのが、店が廃業寸前のピンチに陥っていたことでした。3億円をかけて事業を拡大したものの、その直後に阪神淡路大震災が起き、思惑は大きく狂い、莫大な借金だけが残る状況だったのです。
真紀さんはこの事態に、「ならばヒット商品を考えよう」と立ち上がります。活かされたのは、おかげ横丁での仕事から得ていた“ヒットの法則”です。そのワードは「食べ歩き」と「インパクト」。たくさんの具と大きさでインパクトを出し、揚げたてをその場で提供した「伊勢ひりょうず」は狙い通りに大当たり。今では伊勢の新たな名物となっています。
◆すべての経験は役に立つ
今回の取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「すべての経験がいつか役に立つ」です。
お店が負債を抱え苦しかった時に役立ったのは広報時代の経験。だからこそ真紀さんは、「すべてのことは、いつか自分の人生に役立つことばかり」と実感しています。その時その時を一生懸命生きていくことが大事だという言葉にも重みがあります。
※若松屋 河崎本店
住所/三重県伊勢市河崎1-9-28
TEL/0596-23-1721
FAX/0596-27-0160
営業時間/9:00~18:00
定休日/無休(1月1.2.3日除く)
※おかげ横丁 若松屋
住所/三重県伊勢市宇治中之切町 おかげ横丁内
TEL・FAX/0596-23-8833
営業時間/9:30~17:00
定休日/無休