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部員はたった1人。脱マイナースポーツへ…全国初、高校に「近代五種部」が誕生

テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。

現在は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して全国各地を駆け巡って応援している。

今回のテーマは、「近代五種」

近代五種は、オリンピックの父・クーベルタン男爵が提唱し、数あるオリンピック競技の中で唯一、国際オリンピック委員会(IOC)から誕生した歴史ある競技だ。その名の通り、1日で馬術・水泳・フェンシング・射撃・ランニングの“5つ”を行う競技で、海外では「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれ大人気となっている。

©TOKYO応援宣言

しかし、その過酷さからか、日本では競技人口はわずか33人(※世界大会に出場する競技者から算出)。「キング・オブ・マイナースポーツ」と揶揄されることもある

今回は、そんな近代五種がかつてない盛り上がりを見せているということで、松岡修造が埼玉県を訪ねた。

修造が向かったのは、川口市にある星槎国際高校。ここでは、日本史上初めて高校に「近代五種部」が誕生したのだという

現在部員は、高校2年生の有路萌さん1人だけ。五輪で金メダルをとることが目標だという、若手の有望選手だ。その競技人口ゆえ高校生の大会がなく、彼女は秋に行われる全日本選手権への出場を目指して練習に励んでいる。

©TOKYO応援宣言

修造から「近代五種は、何が楽しそうだったの?」と尋ねられ、「今まで陸上と水泳をやっていて、それでは一番にはなれなくて、五種目あって総合得点で戦う近代五種はすごく魅力的だなって思ったんです」と答えた有路さん。彼女は、近代五種をやるために4月からこの高校に編入。自宅のある神奈川から2時間かけて埼玉県川口市まで通っている。

そんな彼女を指導するのは、才藤浩コーチ。ロンドンオリンピックでは近代五種の日本代表監督を務めた、まさに世界を知る指導者だ。

©TOKYO応援宣言

才藤さんは、高校で近代五種部が出来たことについて、「画期的です。誰も考えなかったですね。協会も考えなかったです(笑)。すごく嬉しくて、“これだ!”と思いました。というのも、日本の近代五種は、高校や大学を卒業してから始める人がほとんどなんですよ」と語る。

プールや乗馬施設、射撃場など、種目によって練習場所がバラバラな近代五種。そのような練習環境を確保できるのは、日本では警察や自衛隊などに限られ、そのため競技を始めるのが学校を卒業してからになってしまうことが多く、高校に部活をつくるなど誰も考えつかなかったのだという。

 

◆“近代五種部”誕生の裏に、フェンシング界を盛り上げた仕掛け人

この今までにない画期的なアイディアの裏には、ある仕掛け人の存在が。この部の総監督でもある、江村宏二さんだ

©TOKYO応援宣言

「東京オリンピックがあるから、いろんな支援もしてもらえたりするので、今がチャンス。今やらないと、もうずっとないですよという気がします。(近代五種は)“むちゃくちゃ華やかな競技”じゃないですか。すごくハードで、華やか。観ていてこんなに面白い競技が、何でこれだけしか競技人口がいないのかというのが不思議です」(江村さん)

実は江村さんは、フェンシング出身の指導者。リオオリンピックまでナショナルチームをコーチングしていた、日本を代表する指導者だ。北京オリンピックで太田雄貴選手が日本フェンシング界初のメダルを獲得したときには、代表監督を務めていた。

江村さんは、さらに語る。

「フェンシングは、44年間、東京オリンピック(1964年)から北京オリンピックまで44年間メダルが取れなかったんですよ。で、メダルを取ってから何をしたかと考えると、若い人・子供を集めていったというのがあった。やっぱり、何かをスタートしないとメダルは取れないその機会として、近代五種でもまずは今までなかったことをやりたいなと思い、近代五種部をスタートさせました」(江村さん)

©TOKYO応援宣言

世界と渡り合うための近道は、若い世代を育成すること。しかし、資金調達、指導者の確保、練習環境の整備など、すべてをゼロから作り上げなければならない。江村さんは、その過程について話を続ける。

「実際スタートしてみると、この辺のプール全部に『お願いします。1レーン使わせてもらえませんか』と言いに行ったり、馬に乗れるところに行ってお願いしたりといろんな苦労がありますけど、ひとつひとつクリアすれば大丈夫かなと思うんです」(江村さん)

そして、修造が「失礼な言い方ですけど、日本での近代五種の位置づけは、相当地位は低いじゃないですか。それをグッとあげたいと思う、そこの動機というのは何なんですか?」と聞くと、江村さんは「できそうだからです。何かスタートするときに、“できる!これ絶対成功する!”ってイメージが浮かぶんです」と答える。

華麗で過酷な挑戦・近代五種をメジャーにしていくという“挑戦”。はたして、2020年に向けて実現していくのか。その展開に注目だ。

※番組情報:『TOKYO応援宣言
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系