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宇賀なつみアナ、目を細める!「賞味期限はたった1日」の絶品餅菓子

いま知っておきたい話題や気になるニュースをお届けする朝の情報番組『モーニングショー』では、月~金の日替わりコーナーが放送されています。

水曜日は、宇賀なつみアナウンサーが、伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性から人生を素敵に過ごす秘訣などに密着する名物コーナー「継ぐ女神」をお届け。

7月4日(水)の放送では、京都で135年続く老舗和菓子店「中村軒」の4代目女将・中村優江さん(なかむら・ゆうこ)さん(70)に、宇賀アナが迫りました。

「麦代餅」290円(税込み)

◆近くの農家の方々のおやつとして愛されてきた「麦代餅」

中村軒が作っているは、京都の名物菓子「麦代餅(むぎてもち)」。粒あんがたっぷり入った、見るからに美味しそうな餅菓子です。つきたての餅が味の決め手となるため、なんと「賞味期限はたったの1日」なんだとか。その昔、付近の農家の方々が作業の合間におやつとして食べ、そのお代を麦で払っていたことから、麦代餅の名がつけられたといいます。

中村軒は、観光エリアから少し離れた場所にあります。名所と呼べるものも近くにはない住宅エリアなんですが、それでもお客様は麦代餅を求めて、わざわざ足を運んでくださるのだといいます。実に「1日に3000個ほど」売れたこともあったのだそうです。

◆中村家の家宝は“日本画の大家”の掛け軸

宇賀アナは「日露戦争の頃に建てられた」という店舗の裏手にある、優江さんの自宅へ案内していただきました。こちらで出迎えてくださったのは、優江さんの夫で4代目当主の瑛治(えいじ)さん(70)です。瑛治さんが大切そうに持ってきてくださったお宝は、2つの掛け軸。瑛治さんによれば、ひとつ目の作者は江戸幕府の御用絵師だった狩野探幽(かのう・たんゆう)、そしてもうひとつは日本画の巨匠・竹内栖鳳(たけうち・せいほう)の作だといいます。

竹内栖鳳といえば、かの横山大観(よこやま・たいかん)と肩を並べるほど高名な画家。どちらも本物ならばかなりの値打ち物ですが、優江さんは夫から、これらの掛け軸は「親戚からもらった」と聞かされていたそうです。「実は購入した」という事実を、瑛治さんは今回の取材を機に初めて打ち明けましたが、「いくらで買ったか」については言葉を濁しています。どうやら「ひとつ数十万円以上」を出したようなのですが、「偽物を掴まされたのではないか」と優江さんは心配で仕方ないのだとか。

番組では、優江さんの不安を払拭すべく、今回もプロによる鑑定を依頼しました。気になる結果は「どちらも本物で間違いない」とのことで、優江さんも一安心です。狩野探幽の作品には「70万円」、竹内栖鳳のものに至っては「150万円」という高値がつきました。この金額は「買い値よりもずいぶん高い」そうで、当の瑛治さんが鑑定結果に一番びっくり。両方とも高価な品だと分かったので、今後は厳重に保管するといいます。

◆昔と変わらぬ材料と製法で作られている「麦代餅」

宇賀アナは今回、麦代餅の製造現場へ特別に入れていただきました。そこでは瑛治さんが、餅の中へ入れる粒あんを作っていました。

中村軒では、今でも昔ながらの薪(まき)と釜を使って小豆を煮ています。こうすることで、ふっくら優しく炊き上がるのだそうです。焦がさないよう、1時間つきっきりでかき混ぜ続けなければならないこの作業に、宇賀アナがチャレンジさせていただきました。想像以上に力を要するため、慣れない宇賀アナは四苦八苦です。

出来上がった粒あんを包む餅は、砂糖などは一切加えない「もち米のみ」のシンプルなもので、まさに「昔と変わらぬ材料と製法で作られている」わけです。美味しさの決め手となるのは、粒あんの包み込み方。「ふわっと柔らかく、端から端まで粒あんが入っている」という仕上がりになるよう、瑛治さんは絶妙なバランスを計算しながら包んでおられます。

粒あんを包んだ餅にきな粉をまぶせば、伝統の麦代餅の完成です。試食させていただいた宇賀アナは、程よい甘さとソフトな口当たりに、目を細めていました。

◆時代の変化に「先祖から受け継いだものの応用」で対抗した中村優江さん

「宇治金時」930円(税込み)

優江さんは、高校の同級生だった瑛治さんと24歳で結婚したといいます。その当時、店の周りにはまだ多くの田畑が広がり、優江さんは麦代餅作りで毎日大忙しだったそうです。しかし昭和50年頃になると周囲がどんどん宅地化され、農家の方も減り、麦代餅もだんだん食べられなくなってきたといいます。

観光地というわけでもない場所で営業する中村軒にとって、そうした周辺状況の変化は死活問題です。そこで優江さんは一計を案じました。「近所に喫茶店の1軒すらない」という状況に着目し、歴史ある自宅の居間や座敷を喫茶室としてお客様に開放したのです。それに加えて「お客様が遠くからでも足を運びたくなる新メニュー」の開発にも着手しました。

優江さんが考案し、大人気を博しているのが「宇治金時のかき氷」です。自慢の粒あんと餅を活かせるうえ、「和菓子の売り上げが落ちる夏場に需要がピークを迎える」というかき氷は、まさに起死回生にはもってこい! 優江さんの狙いは見事的中し、「1時間待ち程度で食べられるのなら、まだ短い方」というほどの人気商品になりました。お客様の定番は「かき氷と麦代餅を両方いただく」という食べ方なんだとか。宇賀アナも、その美味しさに感嘆の声を上げていました。

◆自分にないことをやってもダメ。今あるものに、ちょっとだけプラスできれば新しくなる

今回、優江さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「自分にないことをやってもダメ。今あるものに、ちょっとだけプラスできれば新しくなる」です。

「せっかく自慢の古民家店舗があるのだから、喫茶室として活用してみよう」「こだわりの粒あんや餅があるのだから、かき氷に使ってみよう」等々、優江さんは「既存のものにちょっとしたアイデアをプラスする」というやり方で、お店の立て直しに成功しました。「自信のあるものを見つめ直せば、きっと新しいチャンスが生まれるはず」と語る優江さんに、夫の瑛治さんは大きな信頼を寄せておられるそうです。

賞味期限1日の麦代餅は店舗でしか販売していませんが、その他の商品はお取り寄せも可能。伝統を守る老舗の味に、お店まで足を運べない方でも触れることができます。

※中村軒
住所/京都府京都市西京区桂浅原町61
TEL/075-381-2650
営業時間/店舗…7:30~18:00、喫茶室…9:30~18:00(ラストオーダー17:45)
定休日/水曜日(祝日は営業)

※スタジオで紹介したお取り寄せ可能商品(すべて税込み)
「かつら饅頭」210円、「六方焼」260円、「きんつば」260円、「生麩餅」260円