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ヒュンダイのヌービル、優勝で王者オジェを逆転【WRC:ラリー・ポルトガル最終結果】

現地時間の5月20日、WRC(FIA世界ラリー選手権)の第6戦「ラリー・ポルトガル」の最終日が開催された。

©WRC

人気の高いラリー・ポルトガルを制したのは、ヒュンダイのティエリー・ヌービル。ラリー・フィンランド以来の今季2勝目を挙げ、ドライバーズチャンピオンシップでも王者セバスチャン・オジェ(フォード)を逆転しトップに立った。

最終日は午前8時35分からスタート。この日最初のステージトップを獲得したのはトヨタのエサペッカ・ラッピだった。

快調なスタートに、「いいスタートが切れた。でも、1秒や2秒速いだけじゃダメだ。もっと速さが必要なんだ。ここは僕自身良い走りができたと思う」とコメント。ここまで安全重視で走ってきたラッピからすると、最終日だからといってさらなる安全重視ではなく、自信を持った走りへと切り替えてきたようだ。デイ2にデイリタイアとなったヤリ‐マティ・ラトバラもステージ3位に入った。

続くSS17では王者オジェ(フォード)がステージトップを獲得。最後まで高いモチベーションでの走りを忘れない王者は、「今日の目標は最後のパワーステージでポイントを獲得すること。そのためにも、ここでしっかりとマシンを決めていかないと」と、このSS17は最後に走行するSS20のパワーステージと同じコースを使用することから、SS17での走りの重要性を語った。

そんな王者オジェと同じようなモチベーションで走ったのが、トヨタのラトバラ。

SS17ではギリギリ6位と、本来のパワーステージではポイントが加算されないタイムだったので、SS18も果敢に攻めた結果、同ステージトップはラトバラが獲得した。2位にはチームメートのラッピが入りトヨタがワンツーを決め、ヤリスWRC(日本名:ヴィッツ)の高いポテンシャルを見せた。

©WRC

残るステージは2つ。SS19はフォードのティーム・スンニネンがステージトップを獲得。王者オジェの影に隠れていたスンニネンだったが、その非凡さは誰もが認めるところで、ここラリー・ポルトガルで表彰台獲得が見えてきた。

ただ、まだ24歳の若者は、「ここは持続的に高いスピードを出すことができた。慎重に行ったほうがタイムも出るんだ。まだ表彰台については考えないようにしている。とにかく自分のベストを尽くして結果を待つだけだよ」と謙虚に語った。

 

◆パワーステージを制したのは、トヨタのラッピ

そして迎えた最後のSS20。ここはパワーステージと呼ばれ、ステージ1位から5位のドライバーにはドライバーズチャンピオンシップポイントが追加加算される。つまり、すでに総合順位で争えないドライバーたちにとっては、何としても挽回したいステージなのだ。しかし、今回は総合順位が高いドライバーたちのほうが意地を見せた格好だ。

©TOYOTA GAZOO Racing

SS20を制したのは、トヨタのラッピ。2位には総合トップのヌービル(ヒュンダイ)が入り、3位にダニ・ソルド(ヒュンダイ)、4位ティーム・スンニネン(フォード)、5位エルフィン・エバンス(フォード)が続き、王者オジェ(フォード)、ラトバラ(トヨタ)、アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ)といったパワーステージ狙いのドライバーたちを上回ってみせた。

ステージトップを獲得したラッピ(トヨタ)は、「デイ3とデイ4は僕にとっても素晴らしい日となった。僕は一度もハードにプッシュすることはなかったよ。まずはこのラリー・ポルトガルのカーブを学び取ることに最初の1日半を使った。そうして結果がついてきたんだ」と、最後まで安全に入ることを意識した結果だったと語った。

SS20で4位、そして自身初のWRC表彰台を獲得したスンニネン(フォード)は、「ありがとう!最高の気分だ。僕自身初のWRC表彰台を獲得するまで1年掛かった。でも、時間は掛かったけど最高に嬉しいよ!」と喜びを爆発させた。

©WRC

ラリー・ポルトガル、最終結果は、1位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)、2位エルフィン・エバンス(フォード/1位から37秒5遅れ)、3位ティーム・スンニネン(フォード/同45秒9遅れ)、4位エサペッカ・ラッピ(トヨタ/同56秒6遅れ)、5位ダニ・ソルド(ヒュンダイ/同1分0秒7遅れ)、6位マッズ・オストベルグ(シトロエン/同3分30秒5遅れ)となった。

(※ラリー終了後、WRC主催者からトヨタのエサペッカ・ラッピに対して土曜日夜のステージSS9で違反があったと認定。総合タイムに10秒加算ペナルティが加わった。これによりラッピの総合順位は5位に変わるほか、ポイント等も今後変動する予定だ。)

優勝したヌービル(ヒュンダイ)は、「なんて週末であり、なんて結果だろう!僕たちはクレバーに今回のラリーにアプローチしてきた。プッシュできる所はプッシュするが、コントロールする所はコントロールする。常にペースを保つことを重視した。マシンは週末を通じて素晴らしい状態にあった。そうした安心感から各ステージを戦えたことが大きいよ」と今回の勝利を喜んだ。

こうしてラリー・ポルトガルを終え、ドライバーズチャンピオンシップは、1位ヌービル(ヒュンダイ)119ポイント、2位オジェ(フォード)100ポイント、3位タナック(トヨタ)72ポイント、4位ソルド(ヒュンダイ)60ポイント、5位ラッピ(トヨタ)55ポイント、6位ミケルセン(ヒュンダイ)54ポイント、7位エバンス(フォード)45ポイント、8位ミーク(シトロエン)43ポイント、9位ラトバラ(トヨタ)31ポイント、10位ブリーン(シトロエン)26ポイントと続いている。

そしてマニュファクチュアラーズポイントは、1位ヒュンダイ175ポイント、2位フォード162ポイント、3位トヨタ140ポイント、4位シトロエン111ポイントとなっている。

今季全13戦を予定しているWRC、次は第7戦「ラリー・イタリア」(6月7日~10日開催)。いよいよシーズン折り返しのラリーとなる。シーズン前半を不運続きで来たトヨタとしては、運気を上向きにするラリーとしたいところだ。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>