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“中古の小道具”に込めた設定!『未解決の女』美術担当が、あえて古いモノを選ぶ理由

波瑠と鈴木京香が初バディを組み、“文字”を糸口に未解決事件を捜査していく新感覚の爽快ミステリー『未解決の女 警視庁文書捜査官』

©テレビ朝日

本作で肉体派熱血刑事・矢代朋(波瑠)と文字フェチの頭脳派刑事・鳴海理沙(鈴木京香)が所属するのは、警視庁捜査一課「特命捜査対策室」第6係。未解決事件の文書捜査を担当する「文書解読係」とも言われている彼女たちが“文字”を糸口に未解決事件を鮮やかに解決していく展開は、ドラマの大きな見どころとなっています。

そこで、本作の舞台となる警視庁捜査一課「特命捜査対策室」第6係のセットをデザインした美術の秋元博さんにインタビュー。セットに込めた思いやこだわりなど、本作の舞台裏について聞いてきました。

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——「特命捜査対策室」のセット・デザイン完成までに、どれくらいかかりましたか?

秋元:監督との打ち合わせを入れると、1ヶ月ちょっとですね。

打ち合わせから1週間後に最初のデザインを監督にチェックしてもらい、その翌週にいただいたフィードバックを反映して仕上げました。それから完成したデザインをもとに、残りの2週間で大道具さんがセットを完成させてくれました。

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——今回のセットは撮影のたびに設営すると伺いました。このセットが完成するまで、何時間ぐらいかかりますか?

秋元:だいたい8時間ぐらいですね。

撮影日の前夜から当日の朝までの間に設営していて、最初の5時間で大道具さんが仕上げて、その後の3時間で小道具を設置したり、装飾を施したりしています。

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——今回のセットには、未解決事件の資料がおさめられている棚がたくさん置かれていますね。

秋元:だいたい80本ぐらいですかね…今までにないくらいの数のスチール棚をひとつのセットのなかに置いています(笑)

——スチール棚だけでなく、第6係メンバーのデスクにもたくさんの小道具が置かれていますね。

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秋元:高田純次さん演じる財津喜延係長のデスクには、レトロなアイテムを置いています。

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昭和な感じがする赤いデジタル時計を置いていますが、劇中で財津はこの時計が午後5時15分ぴったりになると帰るんです。時計のアラームが、定時に鳴るように設定してあって(笑)

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遠藤憲一さんが演じる草加慎司の席は、トレーニンググッズや本(描き方辞典)など“1人の世界のもの”を多く置いています。草加は寡黙で足を使った我慢強い捜査を厭わない愚直なキャラクターなので、小道具で役のそういったイメージを表現しました。

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あと鳴海理沙(鈴木京香)は自分の“部屋”を持っているし、矢代朋(波瑠)は外で捜査をするのがメインなので、2人のデスクには資料を置きっぱなしにしています。

©テレ朝POST 左:鳴海理沙(鈴木京香) 右:矢代朋(波瑠)

◆使い古しのアイテムで“お荷物部署感”を表現!

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——いま紹介してくださった第6係の皆さんのデスクもそうですが、セット内の小道具が古びたアイテムで統一されているように感じます。これには何か理由があるのでしょうか?

秋元:小道具に関しては“払い下げ品”じゃないですけど、もともと上の階にいる捜査一課の人たちが使用していたものを地下に持ってきて…それを第6係のメンバーが使っているという設定があるんです。

第6係は警視庁では“倉庫番”と揶揄されて窓際部署扱いされているので、監督からも「第6係の備品は“古いモノ”を使ってくれ」と言われていて。なので、机やソファーも中古の備品にして、第6係の“お荷物部署感”を表現しています。

——そのように、あえて古びた小道具を多く利用していますが、新品の小道具に比べて探すのは大変でしたか?

秋元:アイテムを“探す”のは簡単でしたけど“選ぶ”のが大変でした。

棚1点にしても「どれくらい使い古しているのか?」「使い古しのソファーは破れがある方がいいのか? ない方がいいのか?」など、備品のダメージ具合と第6係のイメージを付き合わせながら、小道具を見極めていくのが難しかったですね。

——使い古しの小道具を置くことで、“お荷物部署感”を表現されていると伺いましたが、その他に今回のセットでこだわった点はありますか?

秋元:この部屋は地下2階という設定なのですが、真っ暗にしてしまうとただの倉庫みたいになってしまいます。そう見えないようにするため、壁の上の方に高窓をつけて少し光を入れているんです。

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地下にある部屋に高窓をつけると普通のセットより天井を高くしないといけないんですが、あまり天井を高くし過ぎると、今度は地下室っぽく見えなくなるので、そのあたりのバランスを考慮しながら天井の高さを調整しました。

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それから、むき出しのLANケーブルや排気ダクトを天井につけることで、第6係の“はぐれもの感”を表現しました。

第6係での撮影は、ローアングルで天井の方を煽りながら撮る場面も多いので、ドラマを見るときは天井にも注目してもらえると嬉しいです。

——実際の警視庁には存在しない部署である第6係のセットを作る際、何か参考にしたものはありますか?

秋元:一番参考にしたのは「ボイラー室」です。ボイラーのパイプや天井の高さ、空間の広がり方、柱の雰囲気を参考にしています。ロケハンではボイラー室のパイプの並びを、かなり見てまわりました(笑)

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とはいえ、第6係の部屋をそのまんまボイラー室にしてはいけないので、今回はボイラー室を参考にしながら警視庁の建物内にある“倉庫”をデザインしました。

——なるほど。では最後に美術さんの視点で、本作の見どころを聞かせてください。

秋元:第6係のセットには「エイジング」という手法をつかって、柱や壁、机などいたるところに“かすり傷”や“汚れ”をわざと付けています。

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大道具、小道具も含めて細部までこだわって、 “経年劣化”が感じられるように意識して作っているので、キャストのみなさんの演技と合わせて背景に映るセットにも注目していただけると嬉しいです。

※番組情報:木曜ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』第2話
2018年4月26日(木)午後9:00~放送、テレビ朝日系24局