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日本人ドライバー勝田貴元、WRC2初優勝!WRCはヒュンダイ勝利【ラリー・スウェーデン最終結果】

現地時間の2月18日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦「ラリー・スウェーデン」の最終日となるデイ4(SS17~SS19)が行われた。

©WRC

最終結果は、ヒュンダイのティエリー・ヌービルが今季初優勝。2位にクレイグ・ブリーン(シトロエン/1位から19秒8遅れ)、3位にアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ/同28秒3遅れ)が入り表彰台を飾った。

以下、4位エサペッカ・ラッピ(トヨタ/同45秒8遅れ)、5位ヘイデン・パッドン(ヒュンダイ/同54秒4遅れ)、6位マッズ・オストベルグ(シトロエン/同1分15秒3遅れ)、7位ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ/同2分4秒9遅れ)、8位ティーム・スンニネン(フォード/同2分52秒2遅れ)、9位オット・タナック(トヨタ/同3分44秒4遅れ)、10位セバスチャン・オジェ(フォード/同8分45秒4遅れ)と続いている。

そんななか今回、WRCのひとつ下のクラスWRC2から、日本のラリーファンにとって嬉しいニュースが飛び込んできた。

トヨタの「TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム」育成ドライバーとしてトミ・マキネン・レーシングから出場した勝田貴元が、WRC2初優勝を飾ったのだ

©TOYOTA GAZOO Racing

勝田は、19本あるSSのうち7本でステージトップを獲得。SS1とSS4以外はすべてトップ6以内で通過と、圧倒的な強さを見せての優勝だった。

この初勝利は勝田本人にとっても大きな自信となったようだ。ラリー後の公式会見で、「決して楽な勝利ではなかったです。現在、僕はフィンランドンに住んでいて、フィンランドの道でトレーニングしています。今回のラリー・スウェーデンはフィンランドの道に似ている。(結果に繋がったのは)これが大きかったと思います。でも、僕自身は夏のラリー・フィンランドを目標にしています」と語り、この初優勝に驕ることなく、さらなる成長を誓った。

この先、勝田はラリー・フランス、ラリー・ポルトガル、ラリー・イタリア、そしてラリー・フィンランドでWRC2クラスに出場する予定だ。

話をWRCに戻そう。ラリー・スウェーデンの最終日は、曇り空の下、3日目夜から軽く雪が降り朝を迎えてもまだ雪が降り続けている状態にあった。気温はマイナス1度から4度ほど。

最終日トップのヌービル以下、ヒュンダイチームは無理に攻めずリードタイムをフルに生かして結果を確実に残す作戦を取った。これは、昨シーズン前半、幾度もラリーをリードした状態にあったにも関わらず、ドライバーのミスなどで自滅した結果、念願のチャンピオン獲得が出来なかったチームの強い方針だったとみていい

©WRC

ラリー後の記者会見でヌービルは、「昨年のラリー・スウェーデンのリベンジができた。とくに2台のマシンが表彰台を獲得してマニュファクチュアラーポイントを獲得できたことは重要だね。この週末、マシンの調子も良く、チームのサポートもあったから、自信はもちろんあったけど、勝つことは決して楽ではなかったよ」と、勝利の重みとチームへの貢献を喜んだ。

そして、昨シーズン終盤のヒュンダイ移籍後、初表彰台を獲得した3位のミケルセンは、「やるべきことが出来て良かった。ただ、自分自身には少し幻滅しているよ。もう少し良い結果を残したかったからね。でも、この週末はヌービルとブリーンが素晴らしい仕事をしたから仕方ない」と、決してこのままナンバー2に収まるつもりがない気持ちを示した。

 

◆トヨタ・ラッピ、速さ見せる

©WRC

この日速さを見せたのは、トヨタのラッピだ。

SS17、SS18、そしてパワーステージのSS19すべてでステージトップを獲得。とくに最後のパワーステージでは、先にステージトップに躍り出たラッピとのタイム差にプレッシャーを感じたのか、ヒュンダイのパッドンがミスを犯しラッピに逆転を許した。

パワーステージを終えたラッピは、「良かった。でも、パワーステージ終盤にあやうく雪壁に突っ込んでしまうところだった。そのミス以外は良い走りができたと思う」と、本当にギリギリまで攻めていたことを語った。

ラリー・スウェーデンを終えて、チャンピオンシップはヒュンダイのヌービルがトップに浮上(41ポイント)。

2位セバスチャン・オジェ(フォード/31ポイント)、3位ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ/23ポイント)、同3位エサペッカ・ラッピ(トヨタ/23ポイント)、5位オット・タナック(トヨタ/21ポイント)、6位アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ/21ポイント)、7位クレイグ・ブリーン(シトロエン/20ポイント)、8位クリス・ミーク(シトロエン/17ポイント)と続く。

トップのヌービルは頭ひとつ抜け出しているが、どのドライバーにも今後チャンスがある横一線の状態だ

そしてマニュファクチュアラーズランキングは、1位ヒュンダイ(54ポイント)、2位トヨタ(53ポイント)、3位シトロエン(46ポイント)、4位フォード(43ポイント)と、こちらもほぼ横一線。4つの自動車メーカーの力はかなり拮抗しているように見える。

次のFIA世界ラリー選手権は、3月8日~11日予定の第3戦「ラリー・メキシコ」。舞台を欧州のウインターラリーから中米メキシコの灼熱ラリーへ移す。

このラリー・メキシコは、標高2700メートル以上のSSもあり、薄い空気と暑さ、さらにグラベル(未舗装路)への対応が求められる難しい高地ラリーだ。トヨタは昨年、ラリー・メキシコを始め、気温の高いラリーに何度か苦しんだ。

次戦は、昨シーズンのトラブルを克服し、今シーズン安定した結果を残せるかの試金石となるだろう。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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