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佐津川愛美、強烈キャラで圧倒的な存在感!腹黒ブリッ子、ゴスロリ、アイドル的存在まで…演じるのは「楽しい記憶しかない(笑)」

デビュー作『蝉しぐれ』(黒土三男監督)で第48回ブルーリボン賞助演女優賞にノミネートされ、2007年には、映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(吉田大八監督)で、第50回ブルーリボン賞助演女優賞と新人賞の2部門にノミネートされた佐津川愛美さん。

腹黒いブリッ子やゴスロリ少女をはじめ、個性的なキャラにも果敢に挑み、圧倒的な存在感で多くのドラマ、映画、舞台に出演。

2024年4月5日(金)に公開される主演映画『毒娘』(内藤瑛亮監督)のほかに、『バジーノイズ』(風間太樹監督)、『かくしごと』(関根光才監督)の公開が控えている。

 

◆初めてのオファーに「なぜ私?」

2009年、佐津川さんは、映画『鈍獣』(細野ひで晃監督)に出演。この作品は、宮藤官九郎さんが岸田國士戯曲賞を受賞した同名舞台を自ら映画用に脚本を書き直して映画化。何度殺しても絶対に死なない“鈍い男”(浅野忠信)をめぐる人々が巻き起こす騒動を描いたもの。佐津川さんは、フリフリの可愛い衣装で男たちを翻弄する腹黒いブリッ子キャラのノラを演じた。

「撮影は楽しかった記憶しかないです。衣装がすごく派手で可愛かったです。衣装合わせのときにもっともっと…みたいな感じで(笑)。すごくカラフルで派手な衣装なのですが、地味に思えてくるという謎の錯覚がうまれていました。浅野さんの衣装も派手でしたし、皆さんわりと個性的なキャラクターだったので」

――テンションが高くてすごい展開でした。かなり突飛なこともあって。

「すべてを理解するのは難しかったかな。出来上がった作品を見て、こういう話だったんだなって思ったところはたしかにあった気がします」

――ご自身の衣装姿はいかがでした?

「たしかあのときに初めて髪の毛を染めたんじゃないかな。色を抜いてオレンジみたいな色に染めて、それが楽しかった記憶があります。それまでとまったく違う感じになったのでうれしかったです」

2009年には、映画『悪夢のエレベーター』(堀部圭亮監督)に出演。この映画は、エレベーターに閉じ込められてしまったワケあり気な男女4人(内野聖陽・モト冬樹・斎藤工・佐津川愛美)が、救助の来ない密室の中で、なぜかお互いの秘密を暴露しあっていくハメになり不信感を募らせていくが、エレベーターの外では更なる悪夢が…という展開。佐津川さんは、自殺願望をもったゴスロリ少女・カオリを演じた。

「カオリは精神的に病んでいて、本当に危ない人でした(笑)。この作品は、初めてオファーいただいた作品だったんです。それまでは、やっぱりオーディションを受けて選んでいただいていたので、役に合っているのかなみたいな気持ちだったのが、オファーをいただくってなったら急に不安になっちゃったところはあります。

初めて監督さんにお会いしたときに、『なぜ私なのでしょうか?』ってお聞きしたら、『たくさんの人がいるなかで、佐津川さんのお芝居を見ていいなって思ったのだから、ある意味一番大きなオーディションに受かったんだよ』って言ってくださったので、『それなら頑張ろう!』って思った記憶があります」

――監督は佐津川さんのいろんな作品をご覧になってそう思われたのでしょうね。

「そうみたいです。それこそ『腑抜けども』も見てくださったとおっしゃっていました」

――カオリは、最初は病んでいることは感じさせないわけで難しいですよね。

「そうですね。それで、実は…という、どんでん返しみたいな感じでおもしろかったです」

――エレベーターの中の撮影はどのように?

「セットを組んでくださって、普通よりちょっと大きめのエレベーターだったんです。初めてその中に入ったとき、みんなで『わりとおっきいね』って言っていました。おもしろかったです」

 

◆“可愛い”イメージを体現

2010年に公開された映画『nude』(小沼雄一監督)では、新潟弁に挑戦。この映画は、女優になる夢をかなえるために上京したしたひろみ(渡辺奈緒子)がヌードモデルのスカウトを受け、やがてAVに出演することに…という展開。佐津川さんはひろみがヌードになることに猛反対する地元の親友・河井さやかを演じた。

――こんなに真剣に自分のことを心配してくれる友だちがいたらと思わせる存在ですね。

「ひろみの夢を応援しているけど、ヌードは違うんじゃないかと。何とか辞めさせようと必死で説得するのですが、結局叶わず…」

――方言が大変だったのでは?

「若いときは結構方言のセリフがあったので、わりと好きで楽しんでやるほうかな。連ドラデビュー作の『がんばっていきまっしょい』も方言があったので、あまり苦にならないです」

2012年には、『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)に出演。このドラマは、古都・鎌倉を舞台に、45歳独身のテレビ局ドラマプロデューサー・吉野千明(小泉今日子)と市役所勤めで、妻とは死別した50歳独身男性・長倉和平(中井貴一)のすんなりとはいかない大人の恋を描いたもの。佐津川さんは、市役所の観光推進課職員で、和平の部下・大橋知美役を演じた。

――和平さんのことが好きでガッツリアピールしていたのに、2014年に放送された『続・最後から二番目の恋』では、和平さんの弟・真平(坂口憲二)くんと結婚することに。驚きました。

「ああいう役になるとは思いませんでしたけど、おもしろい展開でした。あの当時は、撮影で鎌倉に何度も通っていました。

鎌倉市役所をお借りしていたので、お休みの日じゃないと撮影できなくて。土日だったので、ドラマを見てくださった方が遊びに来てくださって。『見ているよ』って、たくさん声をかけてもらった印象があります」

――あのドラマで鎌倉に行く人がかなり増えたと聞きました。

「カフェとか、撮影させていただいたところがはやりましたよね」

2016年、佐津川さんは映画『ヒメアノ~ル』(吉田恵輔監督)に出演。パートタイムでビルの清掃会社で働いている岡田(濱田岳)は、バイトの先輩・安藤(ムロツヨシ)が想いを寄せるカフェの店員・ユカ(佐津川愛美)との仲を取り持ってくれと頼まれる。ところが、ユカから何者かにストーキングされていると打ち明けられる。

ユカをストーカーしているのは、岡田のかつての同級生で、学校で執拗な酷いいじめを受けていた森田(森田剛)だった。彼は、まるで呼吸をするように殺人を繰り返していた。岡田は森田にユカのことを話すが、知らないと答える。しかし、森田はストーカー行為はやめず、かつて自分をいじめていた主犯をはじめ、次々と殺害を重ねていく。そんななか、岡田はユカから告白され、2人は内緒でつき合うようになるが、森田は執拗にユカの居所を追って…という展開。

――佐津川さんは、とても可愛くてアイドル的な存在で、男性陣が何とか想いを遂げようと躍起になります。男性陣が皆さん、個性的なキャラでしたね。

「前半のポップな部分ではムロ(ツヨシ)さんと(濱田)岳くんとのシーンは、すごく楽しんで撮っていました。

それで、その後に森田(剛)さんとのシーンになったときは、『違う作品を撮っているのかな?』っていうぐらいテイストが違っていて緊張しました」

――森田さんは、普通の男の子だったのに、執拗にひどいいじめを受け続けているうちに、彼の中で何かが変わってしまった。人格をも変えてしまうほどいじめが及ぼした影響が大きかったんだなと思いました。

「極端ですけども、こういうこともあるのかなって感じがしました。何の躊躇もなく人を殺めてきたのですが、最後に車で逃げているとき、路上で轢きそうになったワンちゃんを避けるためにハンドルをきって横転する。昔自分が飼っていた犬と似ている犬が出てきて…って、泣きそうになっちゃうんです、いつも」

――たくさんの人を殺してひどいことをやっているのですが、彼の中にかろうじてあった人間性が感じられて、撮り方もうまいなあって思いました。

「回想シーンで後からわかるようになっていて、本当に吉田監督は天才ですよね。大好きです」

――撮影はスムーズでした?

「そうだと思います。監督がこだわりがあるところはすごくあるという感じなので、私はカフェのシーンでのお水の出し方とか、出した後の下がり方とかを細かく演出してもらいました。『モテる女の子はこういう子だ』というイメージが監督の中にあったみたいで」

――とても可愛くてみんなが惹かれていくのがよくわかりました。

「監督のおかげです(笑)。原作ではもうちょっと大人っぽいイメージなのですが、監督のイメージで、ああいう可愛らしい感じになりました。

衣装合わせが1回目で決まらなくて、2回目を別日にやったんです。別日に衣装合わせということは、あまりないんです。それであらためて衣装を用意してもらって、2回目に監督にお会いしたときに『そうそう、何かこういう格好をしている子が本当はエロいんだ』っておっしゃっていました(笑)。

監督の中のイメージだったみたいで、『今回監督がやりたい作品の女の子はきっとそういう子なんだな』って思いました。だから衣装にもこだわっていて、衣装合わせを2回やったのは私だけだったと思います」

――すごく迫力ある作品ですが、印象に残っているシーンはありますか?

「全部楽しかったです。岳くんとのラブシーンと、最後の森田さんからの暴行シーンは緊張感がありましたけど、全体的にとてもいい現場でした。大好きです」

個性的な男性陣の中でも圧倒的な存在感を放っている佐津川さん。演技力に加え、難解で複雑な役柄にも体当たりで挑み、多くの作品に出演。

次回は、主演ドラマ『サブスク不倫』(TBS系)、2024年4月5日(金)に公開される主演映画『毒娘』の撮影エピソードも紹介。(津島令子)

ヘアメイク:杉村理恵子
スタイリスト:稲葉江梨

©『毒娘』製作委員会2024

※映画『毒娘』
2024年4月5日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開
配給:クロックワークス
監督:内藤瑛亮
出演:佐津川愛美 植原星空 伊礼姫奈 馬渕英里何 凛美 内田慈 クノ真季子 竹財輝之助

2011年にインターネットの匿名掲示板で話題となった、ある新婚家族の出来事をモチーフとして10代の女の子と継母の関係を軸に、謎の少女と家族の壮絶な争いを描く。夫(竹財輝之助)と娘の萌花(植原星空)と3人で中古の一軒家に越して来た萩乃(佐津川愛美)。家庭に恵まれなかった萩乃にとって、夢に見た幸せな家庭。しかし、ある日外出中の萩乃に萌花から悲痛な声で助けを求める電話がかかって来て…。