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古川琴音、主演映画2本が立て続けに公開。「ラブコメかな?」と思っていた最新主演作は「何か問われているような感覚に」

2018年に女優デビューして6年目となる古川琴音さん。

高い演技力と圧倒的な存在感で魅了し、連続テレビ小説『エール』(NHK)、『この恋あたためますか』(TBS系)、第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した映画『偶然と想像』(濱口竜介監督)など数多くのドラマ、映画に出演。

現在、『幽☆遊☆白書』(Netflix)が配信中。主演映画『みなに幸あれ』(下津優太監督)が公開中。2024年2月10日(土)にはポレポレ東中野で主演映画『雨降って、ジ・エンド。』(髙橋泉監督)の公開が控えている。

 

◆繊細な心情表現で体現

2022年、古川さんは、映画『今夜、世界からこの恋が消えても』(三木孝浩監督)に出演。この映画は、大きな秘密を隠し持っている高校生・透(道枝駿佑)と、事故に遭い、眠りにつくとその日の記憶を失ってしまう「前向性健忘」を患った真織(福本莉子)の切ない恋を描いたもの。古川さんは、真織の親友で物語の鍵を握るキーパーソンの綿矢泉を演じた。

――古川さんが演じた泉ちゃんは、頼りになる存在で、こういう友だちがいたらいいなあと思う女の子でしたね。演じていていかがでした?

「一番お客さんに共感される役という感じですよね。大事な友だちをふたりも失ってしまうというか。真織は『前向性健忘症』で、眠るとそれまでの出来事をすべて忘れてしまう。親友の透は心臓が…。恋人同士のふたりの板挟みになる役なので、一番人間的でドラマティックな役だったなあと思います」

――親友でふたりのことを見守り応援していますが、もしかすると泉ちゃんも透くんのことが好きだったのかなという感じもしました。

「そうですね。そういう筋もあっていいなと思います。好意を持ってもおかしくないなって。どちらも大切な人で、お互いの想いがとてもよくわかっているので複雑ですよね。真織が記憶をなくしてからの泉は、真織の記憶の代わりになろうと思っていて。すべてを背負い込んでいるので、ふたりの関係が深くなっていくにつれて、真織のことを思えば思うほど泉が苦しくなると感じました」

――真織は事故に遭う前までの記憶はありますが、事故後の記憶は眠ると消えてしまうため、毎日克明に日記に記し、朝起きるとその日記を読むのが日課。真織に悲しい想いをさせないために古川さんが泣きながら日記を改ざんするシーンは、複雑に揺れる心情がとてもよく出ていて胸が熱くなりました。

「ありがとうございます。友だちがあの映画を見たあと、『すごくいい役だったね』って連絡をくれてうれしかったです」

現在、Netflixで『幽☆遊☆白書』が配信中。原作は1990年から4年間、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された冨樫義博さんによる大ヒット漫画『幽☆遊☆白書』。日本発作品としては過去最高の記録でスタートを切った。

子どもを助けて交通事故で死んでしまった不良少年・浦飯幽助(北村匠海)は、“霊界探偵”として、人間界で妖怪が関わる事件の解決に挑むことに…という展開。古川さんは、事故に遭った幽助を死後、霊界へ導く案内人のぼたん役。

ぼたんに連れられてコエンマ(町田啓太)の前に立たされた幽助は、人間界・魔界・霊界の間で起こるさまざまな事件に挑み、悪い妖怪を取り締まるよう命じられる。

「撮影の規模が本当に大きくて。見たこともない大きなカメラがあったり、クレーンとかもあるのはもちろんなんですけれど、一番驚いたのは、コエンマ様のシーンは、1回全部セットを作り替えて撮り直しをしたんですよ。

前半のセットと、後半のアクションシーンだとか、色々繋げてみた結果、『コエンマ様の部屋を変えたほうがいいんじゃないか?』というお話があったみたいで。

それで、一気に全部作り変えることになったのですが、そういうスタッフさんのこだわりもそうだし、それは予算というか、お金がないとできないことだったので、そうやってとことんまでこだわって、そのクオリティも高いというのは、やっぱりNetflixならではのことだなって思いました」

――スケールが違いますね。ご自身ではぼたんちゃんの扮装はいかがでした?

「あの衣装を着ると自然にぼたんになれるというか(笑)。あの衣装を決めるのも、何回も衣装合わせをして、衣装のピンクの色の布をたくさん用意していただいて。どれが合うかとか、どういうデザインにするか、本当に衣装さんがこだわりにこだわり抜いて作ってくださったものなので、それを自分が着られて幸せだったなあと思います」

――とてもよく似合っていましたね。

「ありがとうございます。うれしいです」

©2023『みなに幸あれ』製作委員会 公開中

◆ホラー映画に初挑戦!

現在、主演映画『みなに幸あれ』(下津優太監督)が公開中。この映画は、『呪怨』シリーズなどで知られている清水崇監督が総合プロデュースを手がけたホラー作品。

古川さんが演じた“孫”は、久しぶりに祖父母が暮らす田舎へやってきた看護学生。久々の再会を喜びながらもどこか違和感を覚え、祖父母の家には“何か”がいるような気配を感じる。やがて彼女に人間の存在自体を揺るがすような恐怖が…という内容。

「怖がりなんですけど、ホラー映画はよく見るし、好きなので、最初にお話をいただいたときは純粋にうれしかったです。下津監督にも『怖がる人の顔を見て、観客は怖がるから』と演出のときにずっと言われていました。

私の役は、逃げて、叫んで、怒って、泣いて…感情表現がどんどん激しくなる役なので、すべての表現に体力が必要でした。だいたいシーンの流れ通りの順撮りで撮影してもらっていたのですが、どんどん自分が消耗してやつれていく感じがありました」

――この映画のテーマ「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」が、リアルに感じられました。古川さんの最後の笑顔も意味深で…。

「そうですよね。いろいろな受け取り方があっていいと思うし、私は見たときに笑っちゃいました(笑)。カオスすぎるというか。『自分は何を見せられているんだろう?』みたいな気持ちになるシーンもたくさんあって。何か撫でられたことがない部分を撫でられているような、そういう変な感覚になる映画に仕上がっていたので、おもしろかったなと思います」

――ポスターの表情が怖いです。

「よかったです(笑)。あのポスター写真は、すごく気に入っています。当たり前のように受け入れてしまっていて、あまり怖いとかは感じませんでした。というのも、1週間ぐらい九州に行って撮影したんですけど、そのほとんどが順撮りだったので、やっぱりだんだん追い詰められていくんですよね。体力的にも精神的にも。

だから、自分の身なりが汚くなればなるほど、それに気持ちも乗っていくので、その自分の姿を見て怖いとかではなくて、むしろそれに助けてもらっているような感じでした。

サプライズ的な演出もありました。叔母の家に行って吊るしてあった布を取り外すシーンでは、布の後ろに何が置いてあるのかは、本番まで知らされてなかったんです。本番で初めて『あれ』を見たので、自分が想像もしなかったリアルな反応で、たくさんの発見がありました」

※映画『雨降って、ジ・エンド。』
2024年2月10日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国順次公開
配給:カズモ
監督:髙橋泉
出演:古川琴音、廣末哲万、大下美歩、新恵みどり、若林拓也

◆誰にも言えない秘密が…

2024年2月10日(土)に公開される主演映画『雨降って、ジ・エンド。』は、フォトグラファー志望のOLと謎の中年ピエロ男の予測不可能な純愛ラブストーリー。

偶然撮ったピエロ男・雨森(廣末哲万)の写真がSNSでバズッたフォトグラファー志望の日和(古川琴音)は、さらなる「いいね」を求めて雨森に近づくうちに、いつしか恋心を抱くようになっていくが、雨森には想像を絶する秘密が…。

「とても不思議なお話で、最初に台本をいただいたときは、『このふたりのラブコメかな?』ぐらいの軽い気持ちで読んでいたのですが、何か思いもよらぬ出来事が…というか、事情があって。雨森さんの事情がわかってからは、どんどん物語が複雑になっていくし、どこか現実とリンクするというか。何か問われているような感覚になってくるお話だなと」

――切ないですよね。雨森さんも古川さんが演じたヒロインも。

「そうですね。だから、見かけとかじゃなくて優しさというか、惹かれていくというのはわかりますよね。ものすごい自制じゃないですか。雨森さんは『自分は時限爆弾だ』と言って。

私の印象に残っているのは、『生まれてきちゃいけない人がいるんですか?』って、先輩に電話をかけながら聞くシーン。そんな人はいないし、いないと言い切りたいと思いつつも、自分の大切な人たちが、その人たちによって危険な目に遭わされることというのもあるかもしれない。みんながみんなそうじゃないけれど、もし、そういうことが起こってしまったら、どうなんだろうって」

――雨森さんのように自制的な人ばかりではなく、理不尽な事件もいっぱい起きていますから難しいですよね。

「難しい。その人に対して、私は『生まれてきちゃいけない命なんてない』って言えるかどうかって…。でも、そう思いたいです」

――日和が雨森さんに惹かれるというのは、違和感がなくわかりました。

「そうですね。ただ、今の世の中の情勢とかを見ていると、ちょっとその思いが揺らぎかけるというか、不安になる部分もたしかにあると思います。雨森さんのことは理解しようとしても理解できないことだと思うんですよね。それが、わかったというか。

雨森さんのことを私はきっと理解できないでしょう。その上で、日和と雨森さんのような1対1の関係で、その人たちが助けを求めてきたときに、自分はその気持ちに寄り添える人間でありたいなとは思いました」

――劇中ではカメラマン志望という設定ですが、カメラは?

「スマホで撮ったりはしていましたけど、全然カメラは使っていませんでした。自分は仕事上、撮られる立場に立つことが多いんですけど、撮る側の視点って、その人の視点なんだなというのは思いました。

自分は役者だから、人が作ったものの中に存在するものだけど、カメラを撮る人というのは、撮ったことによって自分の世界が全部バレてしまうんだなと思うと恥ずかしいというか。あらためてすごいなというのは、撮りながら思っていました」

――劇中何点か写真が出てきますけど、実際に古川さんが撮られた写真もあるのですか。

「はい、ほとんど使われていました。撮影前にカメラをいただいて、『日和がどんな写真を撮るか撮ってきてください』と言われたので、風景を撮ったり、ポートレートを撮ったりしました」

――撮影で印象に残っていることは?

「大変なシーンも多かったのですが、監督と廣末さんと私の3人で、何かよくわからないけど、ずっと笑っていたなっていう印象があるんですよね。

雨森さんとは、最初のほうはコミカルなやりとりがたくさん出てくると思うんですけど、そういうのも台本には書いてあるけれど、現場で作ったものがたくさんありました。廣末さんご本人のユーモアもそうだし、それが単純におもしろかったというか。純粋に本当に楽しみながら撮っていたなと思っています」

――デビューされて6年目ですね。独特の存在感がありながら、役柄によって何色にでも変われるところがステキですね。

「ありがとうございます。そういう役者でいたいなとは思っています!」

時にはあどけない少女のように、そして時折り見せる妖艶な女性の顔…クルクル変わる表情が魅力。立て続けに作品が公開され、2024年6月には映画『言えない秘密』(河合勇人監督)が公開予定。快進撃が続いている。(津島令子)

スタイリスト:藤井牧子
ヘアメイク:伏屋陽子(ESPER)

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