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哀川翔、仕事と趣味のためにも“健康第一”。夜9時に寝て朝5時前に起きる毎日「死ぬまで元気でいたい」

一世風靡セピアのメンバーとして人気を博し、連続ドラマ『とんぼ』(TBS系)で俳優としても注目を集め、東映Vシネマの創成期から数多くの作品に出演してきた哀川翔さん。

主演作だけでも100本以上、「Vシネマの帝王」と称される。テレビドラマ、映画にも数多く出演。2004年には、映画『ゼブラーマン』(三池崇史監督)に主演し、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。2014年、東映Vシネマ25周年を記念した映画『25 NIJYU-GO』(鹿島勤監督)に主演。2015年に芸能生活30周年を記念した映画『Zアイランド』(品川ヒロシ監督)に主演。

2024年2月9日(金)には、男手一つで育て上げた娘の妊娠に動揺しながらも受け入れてゆく父親の誠役を演じた映画『一月の声に歓びを刻め』(三島有紀子監督)が公開される。

 

◆朝ドラロケで五島列島へ

2015年、哀川さんは自身の芸能生活30周年を記念した映画『Zアイランド』に主演。この映画は、絶海の孤島を舞台に、哀川さんが演じる元ヤクザと島で大量発生したゾンビが壮絶なバトルを繰り広げる様を描いたもの。哀川さんの111本目の主演作品となった。

――哀川さんが品川ヒロシさんに監督を依頼されたそうですね。

「そう。彼の監督第1作目の『ドロップ』から出させてもらっていて、監督としても完成していると思ったから『30周年記念だから、ちょっと頼むよ』って言ったら『はい』って(笑)。『サンブンノイチ』の撮影現場だったと思う。品川が撮るっていうから、『ちょっと俺も出せよ』って言って、彼の監督する作品にはいつも俺も出ていたの。

品川は前にたまたま共演したときに、立ち振る舞いが不良そのものだからおもしろくてね(笑)。それで品川に声をかけて。彼ら(品川庄司)が漫才をするところは見たことがあるぐらいの関係だったんだけど、冗談で『お前、俺にケンカ売ってんの?』みたいな感じのやり取りをするような付き合いだったから、声をかけたんですよ。やっぱり才能があるから。

『Zアイランド』はおもしろい映画だと思うよ、俺。ちょっと早かったかなみたいな感じはするけどね。みんながゾンビをやる前にゾンビをやっちゃったからね(笑)。

ゾンビが受け入れられる前のゾンビ映画だったからなあ…というところはあるけど、作品としてはすごくいいと思う。キャスティングも良かったし、島から抜け出そうとするところもおもしろかったよね」

――幅広いジャンルのお仕事をされていて、2022年には連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK)にも出演されました。五島列島で暮らす船大工さんでカッコ良かったですね。

「そうですか(笑)。ありがとう。地味な感じだったけど、あれはあれでいいんじゃないかなみたいなね。

ただ、あれは方言が大変でした。方言じゃなかったらもっと力を発揮できた気がする。方言にはかなり苦労しましたよ。五島弁だからね。九州弁じゃないんですよ。似ているようで違うところがあるというのは難しいんですよね。『九州弁だったらこう言うけどなあ』みたいなところがあって。特有の固有名詞が出てきたりするから、やっぱり難しい」

――方言は、録音したテープを聴いて覚えるのですか?

「そう。聴いて聴いて聴いて、言って言って言って…という感じで本当によくやりましたよ。ああなると、そうじゃないと覚えられないんですよね。何度も何度もやって、口が覚えないともう無理みたいな感じだからね」

――劇中では釣ったお魚をお裾分けに持って行ったりしていましたけど、趣味の釣りをする時間はありました?

「時間はあったんですけど、俺が行ったときは思っていたよりも寒くて釣りには行けなかったんだよね。1日オフがあったんだけど、俺は暑いという想定のもとで行っていたから、ちょっとこれじゃ風邪をひくなって思って、結局できなかった。行こうと思って船まで手配したんだけど、風も結構強かったし寒くて、ちょっとやばいなって」

――オンエアをご自身でご覧になっていかがでした?

「役なりにちゃんとやっていたんだなって思いましたよ。地元の船大工としてはいい感じなんじゃないかなって(笑)」

©bouquet garni films

※映画『一月の声に歓びを刻め』
2024年2月9日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー
配給:東京テアトル
監督:三島有紀子
出演:前田敦子 カルーセル麻紀 哀川翔 坂東龍汰 片岡礼子 宇野祥平 原田龍二 松本妃代 とよた真帆

◆男手ひとつで娘を育て上げた父親役に

哀川さんは、2024年2月9日(金)に公開される映画『一月の声に歓びを刻め』で、早くに妻を亡くして男手ひとつで娘・海(松本妃代)を育て上げた父親・赤松誠役を演じた。

北海道の洞爺湖、東京の八丈島、大阪の堂島を舞台に物語が展開する。哀川さんは、未婚の娘の妊娠に動揺しながらも受け入れてゆく父親の心情を繊細に体現している。

――三島監督とは元々お知り合いだったそうですね。

「前にお話したことがあったんですよ。『いつか絶対ご一緒に映画を作りたい。どこかで機会があれば…』みたいな話をしたことがあったから、『実は今度、こういうのをやるんですけど』ってオファーをいただいたとき、『あのときの三島監督だ』と思って。すぐに『やりましょう!』って言いました」

――いろいろ考えさせられる作品ですが、八丈島での展開が一番わかりやすかったです。

「そうだね。わかりやすいっちゃわかりやすい。テーマ的にはあり得る話ですからね。自分にも子どもがいるし、まったくない話でもないから入りやすかったですよね。赤松は、早くに妻を交通事故で亡くしたんだけど、それまでは幸せだったと思うんだよね。それが妻の死で娘を男手ひとつで育てることになって、本当に大変だったと思う。

それで成長して島を出た娘が5年ぶりに突然、妊娠して島に帰ってくるわけだから動揺もするよね。でも、ちょっと頑固なんだけど、自分と同じように子どもを想う父親であることは変わらない。もし、自分がこうだったら…ということも考えながら取り組みました」

――撮影はどのような感じでした?

「三島監督は、撮りたい画がきっちり決まっていましたから決断も早い。撮影はむちゃくちゃスムーズでしたよ。ただ、3日間で撮らなくちゃいけなかったので、スケジュールはハードでした」

――普段は、夜9時には寝て朝4時くらいに起きるという哀川さんには結構ハードな一日だったのですね。

「そう。2日目はとくに大変でした。でも、それがちょっと重たいシーンだったので、眠くもならずにやりましたね」

――「つらいことがあると太鼓を叩く」というのは初めて聞きました。

「そういう風習があるみたいですね。太鼓の練習は結構やりましたよ。練習すると言っても『ドンドン』ですからね(笑)。もっと激しかったらどうしようかなと思ったんだけど、あの『ドンドン』がちょっと響きましたね。いい感じだと思う。あのシーンは何回もやり直しになっていたからね。

何回も車を走らせながらやりましたよ。あれが一番やったんじゃないかな。車を走らせながら太鼓を叩くというのは結構難しかった。バックの景色というのもあるし、速度的な問題もあるし…みたいなところもあったけど、やっぱりあの太鼓は結構効いているんじゃないかな」

©bouquet garni films

――娘の恋人が島に来ることを知り、原田龍二さんと二人で鉄パイプを持って港に向かいますが、流れからいったらそうなるだろうなって。

「あそこはなかなか感情を見せられないところの感情表現としては、心情が伝わるすごく有効なシーンですよね。やっぱり感情があそこに一番よく出ている大事なところじゃないかなと思います。鉄パイプを持ってジグザグに歩いて行くというのも三島監督の案なんだよね。一つひとつの演出に関して、三島監督自身がその都度、細かく演出してくれました」

――お二人が鉄パイプを持っているシーンは迫力がありました。これまでにも共演歴がある原田龍二さんと一緒の撮影はいかがでした?

「共演は10何年ぶりくらいだったけど、彼とは普段から会っていますからね。彼は八丈島の温泉大使もやっていてね。『哀川翔のオトナ倶楽部』という自分の番組で、『八丈島で20キロのカンパチを釣ろう!』みたいな企画をやっているから毎年一緒に行っているんですよ。そういう流れもあるから、気持ちは通じているよね」

――劇中、海が「人間なんてみんな罪人だ」と叫ぶシーンも印象的でした。

「そうですよね。三島監督自身がどこかでそういう想いを持っていないと出てこない言葉だと思う。たしかに人は皆、多少なりとも誰かに傷つけられたり、自分の言葉によって誰かを傷つけてしまったりすることはあると思うんだよね。傷つけるつもりなんてなくてもね。

良かれと思って言った言葉によって相手を傷つけてしまうこともあるかもしれないし、傷つき方も人それぞれだから一概には言えないけど、そういうものも含めて『みんな罪人なんだ』というセリフになったんじゃないかと思いますよ」

 

◆多趣味な一面「遊んでいますよ(笑)」

哀川さんといえば、カブトムシの飼育で知られ、多くのバラエティ番組にも出演。カーレースにも自ら挑戦するだけでなく、ラリーチームの監督も務めている。

――出演作品も多いので、毎日かなりお忙しいでしょうね。

「そうでもないです。遊んでいますよ。どっちかというと遊びのほうが盛んですよね(笑)」

――カーレースもされているのですね。

「そう。自分でも『アジアクロスカントリー』を2回走ったりもしているけど、四駆のSUVのラリーチームを持っていて監督をやっているんだよね。そのチームは優秀ですよ、ドライバーがいいですからね』

――そうすると、2008年に公開された主演映画『SS エスエス』(小林義則監督)は撮影が楽しかったでしょうね。

「カーレースをやりはじめたのは、あれがきっかけですよ。あれがきっかけで、ラリードライバーのすごさを見て、『俺もラリーやりたい』ってはじめたんですよ。『やばいな、この人たち』って思って(笑)。

でも、やっぱり実際に自分でやってうまくいくと超テンション上がるんですよ。コーナーを直角に曲がれた瞬間に大感動。『車が直角に曲がれるのか!』みたいな(笑)。普通は丸く回るじゃないですか。それが直角に回るんだからね。あれができた瞬間にもう大感動ですよ」

――怖さはないですか?

「一般道だとやっぱり怖い。ダートコースだったらできるんだけど、一般道だと一歩間違えると谷底に落ちちゃうからできないですね」

――いろいろなことをされていて、夏休みの恒例イベント「大昆虫展 in 東京スカイツリータウン」のアンバサダーやバラエティ番組でカブトムシの飼育でも有名ですね。

「そうですね。毎年5千匹くらいカブトムシを育てているけど、なかなかデカいのは出ないんだよね」

――2010年に『昆虫探偵 ヨシダヨシミ』(佐藤佐吉監督)という主演映画もありましたが、哀川さんにピッタリでしたね。

「『昆虫探偵』って見た瞬間にちょっと感動しちゃって(笑)。『これおもしろえな。これは映画にいいだろう』って。昆虫と話せる男という設定もおもしろいなあって思ったんだよね」

――良い感じで趣味と仕事が合致していますね。今後はどのように?

「特別これがやりたいこというのはあまりないんですけど、オファーがあるというのはうれしいよね。何かいろんなことにチャレンジさせてもらっているという感じですね。

だから、そのためには自分が元気でいなくちゃいけないので、死ぬまで元気でいたいと思っています。俺の中ではやっぱり健康第一だと思うので」

――とてもスリムでカッコいいですが、いろいろ気を付けていらっしゃるのですか?

「まったく気を付けてはいないですけど、無理はしてないです。早く寝ます。9時には寝て、4時過ぎに起きていますね。5時前には起きる。パッと起きると4時44分というのが一番多い。自然に起きちゃうんですよね(笑)。最近目覚まし時計をかけても、目覚まし時計より早く起きちゃう。それがイヤでね(笑)。

でも、うちのかみさんも同じぐらい早く起きるので、うちは朝はみんな早いですよね。だから、誰かが泊まりにくると大変。『こんなに早く真っ暗になるのか?』みたいな(笑)」

――2024年はどんな年になりそうですか?

「2月9日(金)に映画『一月の声に歓びを刻め』が公開になるしね。やっぱり作った作品が公開になることはすごくうれしいことで、それを見てどう思うのかなって。そこにどういうような思いで乗ってくれるかとかね。

何かを認めた瞬間というか、許した瞬間に新たな旅立ちが始まるというね。要するに、物事というのは、どこからでもスタートなんだというところを表しているような映画だと思うんですよね。

だからそれに関しては、いろんなことがあるにしても、親子だったり、兄弟だったり、それが他人であっても、そこからがまたスタートなんだというところを感じてくれれば、すごくうれしいよね」

コロナ禍で飲みに行く機会が減り痩せてしまったと話す哀川さんだが、スリムで若々しい。この日は朝から立て続けに取材をこなす過密スケジュール。仕事にも遊びにも全力投球する真摯な姿勢がカッコいい!(津島令子)

ヘアメイク:小林真之
衣装協力:Twins & Co.

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