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いしだ壱成、父・石田純一 と“生き別れた親子役”で初共演「すごく尊敬し直しました」

1990年代、『未成年』(TBS系)、『聖者の行進』(TBS系)など話題作に主演し、細身のからだに女性的なファッションを身に着ける“フェミ男”ブームのカリスマとして注目を集めたいしだ壱成さん。

女性問題、金銭トラブルなどさまざまなトラブルで芸能活動休止、謹慎、事務所解雇を経て単身中国に渡り、中国制作の歴史大河ドラマに出演。

帰国後、舞台を中心に活動を再開。再びバラエティ番組、映画にも出演するようになるが、私生活ではさらに2度の結婚&離婚を経験、うつ病の症状、金銭トラブルも勃発することに。

©2023 「散歩屋ケンちゃん」製作委員会

◆3度目の結婚、3年後に離婚

2011年から石川県に移住し、地域の活性化に取り組みつつ、サイケデリックトランスDJとしても活動をスタートすることに。

「神社仏閣巡りも好きで、石川県に僕が好きだった神社があったんです。2011年に東日本大震災があったとき、東京もカオス状態になっていたのでいったん東京を離れようと思って。

生まれたのは東京ですけど、もともと田舎育ちだし、芸能という仕事は向こうでできるかどうかわからないけど、いったん離れて生活を変えてみようと。東京に1部屋借りてはいたんですけど、舞台がメインだったので最初は石川県から通っていました」

2014年に再婚。2015年には、野島伸司さん脚本・監修の『アルジャーノンに花束を』(TBS系)に出演。28歳だが、知能は6歳児並みという知的障がいをもつ主人公・咲人(山下智久)の父・久人を演じた。

-息子に大きな愛を注ぐお父さん役で、『未成年』で共演した河相我聞さんと再共演。主人公の子ども時代を我聞さんの実の息子さんが演じたことも話題になりました-

「そうなんですよ。だからなかなかキャスティングの妙がありましたね」

-我聞さんが息子さんにセリフの練習をしようと言ったら断られたとか-

「そうそう。『壱成さんとじゃなきゃやらない』って言っていました(笑)」

-そういうキャスティングにも野島マジックを感じますね-

「感じますよね。野島さんの人間力というか、スタッフも『ひとつ屋根の下』とか『未成年』、『聖者の行進』当時のスタッフが戻ってきてくれた感があって楽しかったです」

-同じ脚本家の方とかプロデューサー、監督からのオファーというのは、それだけ信頼されているということで-

「そうですね。うれしいですよね。だからこっちができることはそれなりの準備をしっかりしておくことかなと思うんです」

-久しぶりに野島さんと再会して何か言われました?-

「野島さんは相変わらずですね。『お前がバカをやらなければ、俺たちはあと3年いけたのに』って(笑)。酔っ払うとその話をするんですよ。野島さんはめちゃくちゃ人見知りなんですけど、一回打ち解けちゃうとすごい饒舌なんです。厳しいですけど声をかけていただいてありがたいです」

2017年、壱成さんは、映画『RE:BORN リボーン』(下村勇二監督)に出演。かつて最強の傭兵部隊に所属していた主人公(TAK∴)の命を狙う殺し屋を演じた。

「あの作品は香川県で撮ったんです。僕は殺し屋で、出演シーンは短いんですけど、聞いたところによると拍手が起こったみたいです。目線のやり方が殺し屋っぽかったらしくて(笑)。直接TAK∴(坂口拓)さんに教わったんですけど。『どうすればいい?』って聞いたら『何か見ているようで見てない目線なんだよね』って言われて」

-壱成さんは、2009年に坂口拓さんの監督作『鎧 サムライゾンビ』にも出演されていましたね-

「はい。あれは不思議な役でしたよね。死んでいるんだけど死んでないみたいな(笑)。ホラー映画は初めてだったんですけど、自分の役は人間でもなければ、幽霊でもなくて、『これは何なの?』って(笑)。ちょっとエロティックなシーンもあるんですけど、下半身を噛まれてなくなっちゃうみたいな。プロデュースが北村龍平監督だったんですよね。不思議な作品でした」

2017年、2度目の離婚をした壱成さんは、2018年に24歳下の女性との3度目の結婚と妊娠を公表。長女も誕生し、家族でバラエティ番組などに出演して話題を集めたが、2021年に離婚。現在、壱成さんは東京、4歳になる愛娘と前妻は石川県で暮らしているという。

「3度目の結婚をしたときにすごいバッシングがあって。ネットで書かれているぐらいだったら別にと思うんですけど、家の周りとか、自分の家にも嫌がらせが来てしまって。夜中にドンドンドンドンッてドアを叩かれたり、家を出ると怖い輩(やから)がいたりだとか、わりと身の危険を感じるようになって。

俳優の仕事もうまくいかず、それでまたうつ病の症状が出て働けなくなってしまって。芸能界以外の仕事をと思って職安に行っても名前を名乗っただけでダメでした。一時は生活保護を申請しなければいけない状態になってしまって、2021年に離婚しました」

©2023 「散歩屋ケンちゃん」製作委員会

※映画『散歩屋ケンちゃん』
2023年7月7日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
配給:たきびファクトリー
監督:寺井広樹
出演:いしだ壱成 石田純一 ビッグ錠 佐伯日菜子 友川カズキ

◆主演映画で石田純一と初共演

離婚後、石川県から東京に戻って暮らしはじめた壱成さんは、本格的に俳優業を再始動。再びバラエティ番組や映画にも出演。

2022年には「いしだ壱成&哲学バーテンダーTM 宇宙ユニット」結成(愛と平和の啓蒙活動)など幅広いジャンルで活動。2023年7月7日(金)からは主演映画『散歩屋ケンちゃん』が公開される。

この映画は、銚子の街を舞台に父と息子の再生を描いたもの。壱成さんが演じたのは、クリーニング屋、写真屋、ガチャ屋など「何でも屋」として働く主人公・ケンちゃん。ひょんなことから「散歩屋」を始めることになる。さまざまな事情を抱えるクセのある客と出会うなかで、幼い頃に生き別れた父(石田純一)への思いを募らせることに…。

「ちょうど去年、僕が東京に戻ってきたタイミングでこの映画のお話があったんです。そのときはフリーで動いていたんですけど、フリーって大変だなあって。自分で全部連絡を受けてギャラの交渉をして出演もして。てんやわんややっているときくらいに話が来て。去年の6月でした」

-最初からお父さまと共演ということだったのですか-

「最初は僕だけで、父がというのはなかったみたいです。ただ、父子の邂逅(かいこう)の話なので、父にも出て欲しかったのでしょうね。寺井監督に『石田純一さんは出てくれますかね?』って聞かれたので『全然大丈夫だと思いますよ。ちょっと聞いてみてください』って言ったら、案の定ふたつ返事だったということで。

父とは以前、アニメみたいな作品で声優で共演したことがあったんですけど、映像でというのはなかったんです。映画で演技をするというのは初めてでした」

-共演されていかがでした?-

「低予算映画の場合は、スタッフが足りなかったりするので僕がスタッフもやっていたんです。一番威張っていましたけど(笑)。一番下の助監督をやっていたので父の出番のときもずっと現場についていましたけど、見ていてすごく尊敬し直しましたね。父は俳優という仕事が本当に好きなんだなあって」

-ここ数年、ずっと俳優業以外のあまりよくないことで取り上げられることが多かったですからね-

「そうです。父もそうですし、僕も本業じゃないところでクローズアップされるということでいろいろあったんですけど、やっぱり現場(撮影)に入れば僕も大好きですし、父も現場が好きで積極的に監督と芝居のことを話したり、モニターチェックをしていて。

そういう現場ってみんな手分けするようになるんですよね。手分けして一つのチームになっていくんですけど、『壱成、ちょっとこれが邪魔だな』みたいな感じで。小道具が置いてあったんですけど、それが芝居をしているときに邪魔だったみたいで、『もう一回できる?』ってやったりしていましたね」

-映画のストーリーは予想外の展開で-

「そうですね。台本はかなりおもしろかったと思います。僕もちょっと手直しとかいろいろ参加させてもらったんですけど。すごく芸術的な面もありますし、銚子の町起こしという面もありますし、いろんな要素があるなあって。

でも、父があんなに芝居が好きなんだということが見られたのは、かなり自分的には良かったと思っています。芝居の仕方は全然違いますけどね。役に入るときも父は僕なんかよりはるかに真面目で、ずっとひとりで黙々と台本を見ながらセリフの練習をしているんですよ。

僕は全然練習をしないので(笑)。もちろん台本は読みますけどね。僕はわりとパッとやるほうなんですけど、父は準備をしながらだんだん変わっていくタイプなんでしょうかね。

父はやっぱり役者だと思うので、経営者ではなく、タレントでもなくということで演技の仕事が増えています。僕に『お父さん出てくれないかな?』ってオファーが来るときもあるので、そういうときはどんどん父に振っていますし。お芝居が好きで本当に一生懸命やっているので、もっとやって欲しいと思っています」

-作品が完成して、石田さんには何か言われました?-

「『ずるいよなあ。芝居がうまくて』って言われました(笑)。僕は自分がうまいと思ったことはないんですけど。僕はわりと憑依(ひょうい)的なタイプというか。『ヨーイ、スタート』で変わって、『カット』で変わるほうなので、タイプ的な違いなんですけどね」

-もうすぐ映画が公開になりますが、今どんな思いですか?-

「ドキドキもしますし、ああいう古典的なというか、懐かしい感じがするノスタルジックな映画というのは、多分今の時代に対してホンワカするようなお話だと思うので、なるべくいろんな映画館でかかってほしいなあって思います」

-ご自分と重なる部分はありました?-

「ありました。僕は娘ですけど、離れていても、それはずっと思うよなあって。劇中の父親の手紙に『30年間忘れたことはない』という言葉があるんですけど、涙が出そうになりますね、やっぱり。父と僕も実際にそうだったわけですし、僕も今は娘と離れて暮らしているので」

©2023 「散歩屋ケンちゃん」製作委員会

-今回の撮影で一番印象に残っていることは?-

「初めて監督のことを怒鳴ってしまって、それが一番印象に残っちゃっているんですけど。監督は若い方なので、世代とか時代なんでしょうね。

昔はというか僕くらいまでかな? 映画というとフィルムだったので、何テイクも撮れないし、本番に行くまでに照明を直したり、芝居を直したり、いろんな打ち合わせをきっちりやりますよね。それで3回か4回同じことをやるじゃないですか。テストをやって本テストをやってという感じで。

今はカメラを置いたらすぐに本番にいけちゃうんですよね。それはいいんですけど、困ったのが何パターンも撮るんですよ。『もう1パターン。今は泣きのお芝居でしたけど、今度は泣かないバージョンをお願いします』って言われて泣かないバージョンをやったら『今度はセリフを一言言って欲しいんですよね』って言われて、だんだんイライラしてきちゃって。

『こっちは一発見込んでやっているんだから、撮りたいものを決めてから撮れよ。今何テイクも撮ってどうせ編集で悩むんでしょう?』って言ったら『そうです。編集で悩ませていただきたいんですよ』って言うんですよ。だから『じゃあ、今悩んでよ。今決めてから撮れ。役者はおもちゃじゃないんだから。『これ』ってやってOKだったらOK、ダメだったら『これ』ってやっているんだから』って。

『何でもかんでもとりあえず撮っておくなんて、それを普通って思っちゃダメだよ、絶対に』って。若い監督さんに結構多いんですけど、とにかく何テイクも何パターンも撮るんですよ」

-下手すると芝居に統一性がなくなってしまいますね-

「そうなんです。だからよくあるのが、別に文句とかじゃないですけど、現場に入っていきなり『本番いきます』って。芝居の打ち合わせも全然できていないし、セリフもうろ覚えなのになんとなく一回通して、『はい、OKです。次のシーンいきます』って(笑)。

撮れてはいるみたいなんですけど、それはどうなのかなって。もちろん、時間的には大幅に短縮されるし、スタッフの数も予算も大幅に削減されるんですけど…というところですよね。僕世代は何か味気ないなあと思っちゃうんです。そこに来て何テイクもやらせるなんてなると、ふざけるなってなっちゃうので。

それは今回の監督も『おっしゃる通りです』ってなって、その場で悩んでいましたけど。僕が助監督もやっていたので、『これダメ?OK?監督どうですか?いいですね?』って(笑)。スタッフもカメラマンも照明もみんな『壱成さんの言う通りだ』みたいなところがあって笑っていましたけどね(笑)」

 

◆トルコ共和国でタイアップの植毛手術!

2022年、壱成さんはトルコ共和国で植毛手術を受けたことも話題に。植毛は企業とのタイアップの案件だったが、そのギャラを持ち逃げされてしまったという。

-髪の毛が自然な感じでフサフサですね-

「増えましたね。後ろから髪の毛を抜いて、培養したものを前の頭皮に穴を開けて植えていくんですけど、そうするとそれが根付いて伸びていくと」

-痛かったですか?-

「痛かったです。手術のときは麻酔をしているんですけど、覚めたら痛かったです。前の妻から『もう一回舞台に立って欲しいから役者として頑張って欲しい』と言われて、石川から東京に戻ろうとなったときにちょうど来た案件でした」

-髪の毛のことは結構気にされていました?-

「そんなに気にしてなかったんですけど、せっかく言ってくださる方がいるならと思って、シレッとやってこようと思ったときに記事が出ちゃったんです(笑)。

僕も初めて知ったんですけど、トルコというのは植毛大国らしいんです。それで、トルコのクリニックのプロモーションとして、日本の代理店が僕に声をかけてくれてということでトルコに行って植毛して。

もしかするとニュースになるかなと思ったら、思いのほか大きく出ちゃってびっくりしましたけど(笑)。反響が大きくて植毛に行く人も多くなったみたいで、植毛業界はそれで盛り上がったみたいなので良かったなあと思います」

-植毛の件で金銭トラブルがあったと聞きました-

「はい。信頼していたスタッフだったんですけど、植毛の案件のギャラも、別の企画のために用意していた資金も持って行かれてしまいました。脇が甘いんですね。もっと脇をしめていかないとということになるんですけど。僕もだいぶ用心深くなってきましたし、周りにいろんなスタッフを置いていることで、今後はそういうことがないようにと思っています」

-今後は、どのように?-

「おかげさまで、結構映画だったり、舞台が続いているので、それをやりつつ、今来ている話がかなりいろんな展開ができそうなので。あと海外ですね。アジアに出て行きたいなという思いはあります」

-現在うつ病の症状は?-

「今はおさまっています。環境が大きいですね。仕事もちゃんとというか、日々生きていけるくらい増えてきているのでわりと落ち着いています。今回の映画もそうですけど、また新しく動き出しているんだなみたいになればいいかなと思っています」

-3番目の奥さまとの間に生まれたお嬢さんとは?-

「石川県に住んでいるのであまり会えてないですけど、昨日もちょうど仕事が終わったら『パパー』って連絡が来て。LINEとかビデオ通話があるので、今は便利ですよね。今4つなんですけど、めちゃめちゃ可愛い。宝物です」

-映画、舞台などお仕事も順調のようですね-

「はい。大きな仕事が決まってきている分、気を引き締めてとは思っていますけど、無邪気にはいたいと思うんです」

-ちょっと危なっかしい感じも魅力ではありますけどね-

「まあ、そういうのもありながらちょっと脇を締めつつ用心深く地に足をつけて…というのが今のモットーですね(笑)」

愛娘の話題になるとひときわ優しい眼差しになる。主演映画の公開に加え、舞台、映画の撮影など多忙な日々が続く。もともと演技力に定評がある壱成さん。数々のトラブルを乗り越えた今後の活躍も楽しみ。(津島令子)

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