“ミスター負けず嫌い”藤ヶ谷太輔vs“献身男子”京本大我のバトル勃発＜恋愛コラムニスト・DJあおいの『ハマる男に蹴りたい女』分析コラム＞

2023.01.28

＜恋愛コラムニスト・DJあおいの『ハマる男に蹴りたい女』第3話分析コラム＞

再就職先は女だらけの下宿管理人！　人生の沼にハマッた元エリート・設楽紘一（藤ヶ谷太輔）が、住人のズボラお仕事女子・西島いつか（関水渚）と“オトナの一つ屋根の下ラブ”を繰り広げるラブコメドラマ『ハマる男に蹴りたい女』。

毎話“じれキュン”必至のストーリーを、Twitterやブログで独自の恋愛観を語り著名人にもファンが多い謎の主婦・DJあおいが深掘り＆考察する恋愛コラム連載。毒舌（？）ながらも愛のある言葉でストーリーを分析していきます。

同期のいつかちゃんに想いを寄せる香取（京本大我）くん。

前回その独特で芸術的なスマホの持ち方がSNSで話題になりましたが、あらためて香取くんの手に注目してみるとナルホド、まるで少女漫画のような美しい手をしているんですね。今後は香取くんの手に注目してみるのも趣があっておもしろいのかもしれません。

そんな香取くんですが、二年前にいつかちゃんに告白しているんですよね。でもその告白のタイミングはちょうどいつかちゃんがカヅキビールのプレゼンに敗北して、生活のすべてを仕事に捧げる覚悟を決めたタイミングであったため、残念ながらその恋が成就することは叶わなかった。

その後二年間の大阪勤務を経て東京に帰ってくるわけですが、なんとその二年間もいつかちゃんを想い続けていたという一途っぷり。

今回、新規のコンペでいつかちゃんと香取くんがペアで担当することになったわけですが（クライアントはカヅキビール）リベンジに燃えるいつかちゃんを見て「できるだけフォローするよ」と自ら補佐的な役割に回ったところを見ると、「オレについて来い」と先陣を切るタイプではなく献身的な性格と言えるでしょう。負けん気が強くて我を押し通すタイプの設楽くんとの対比がおもしろいです。

でも献身的な香取くんタイプの男性って理想的な男性像ではあるのですが、献身的過ぎて「もう一押し」をすることができなくて、ついには好きな人のために身を引くという決断をしがち。いい男もいい女も最後に損をするという恋愛のシステムってどうにかならないんですかね？

なにやら三角関係になりそうな様相ですが、香取くんが最後に身を引きそうな気がして今から心配でなりません。

さて、前回いつかちゃんが設楽くんを押し倒し、お互いの唇まで後数センチというところまで迫ったわけですが、下宿人であるすずちゃんのご帰宅によってお互いに我に返り「未遂」で終わってしまいました。後にいつかちゃんは「なんであんな男に、欲情したんだ、私」と回想していますが、あれを衝動的な欲情だったと片付けようとしているんですかね。

もう一方の「純粋な好意によるもの」という可能性を否定したいという心理が窺えます。それを裏付けるシーンがおにぎりのシーンです。

すずちゃん（久保田紗友）情報によるといつかちゃんは仕事モードになると寝食を忘れてしまうほど没頭してしまうそうで、朝食もとらずに仕事へ出掛けてしまう毎日。

それを見兼ねた設楽くんがお手製のおにぎりをいつかちゃんに持たせるのですが、私が昔から提唱している説に「嫌いな人が握ったおにぎり、食べられない説」というものがあるのですけど、いつかちゃんは設楽くんが握ったおにぎりを食べるんですよ。しかも、ご丁寧に設楽くんがおにぎりを握っている姿を想像した上で食べるんです。

これはもういつかちゃんが設楽くんに好意を抱いているという決定的な証拠。恋愛警察がいたら現行犯逮捕になるほどの決定的な瞬間でした。二年前の遺恨があるので認めたくはないのでしょうけど、その「認めたくない」という心理が、設楽くんに対する辛辣な態度に表れていますね。

これも好きな子にわざわざ意地悪をしてしまうという反動形成と呼ばれる心理作用。素直になって嫌われるくらいなら、自ら能動的に嫌われるようなことをして嫌われた方がマシという自己防衛。ツン癖のある女性なら誰もが身に覚えのある心理作用かと思います。「歪んだ片思い」として見るとすべてに合点がいくところがおもしろいですね。そうやって見るといつかちゃんの熱量の高さが伺えます。

そんないつかちゃんですが、ついに無理が祟り過労で倒れてしまいます。香取くんにおんぶをされて銀星荘に帰宅するわけですが、それにしても前回は設楽くんのお姫様抱っこで今回は香取くんのおんぶとか、そんなご褒美があるのなら毎日でも熱々おでんを足にかけたり、毎日でも倒れるまで仕事に没頭したいところ、まったくもって羨ましい限りです。