セ・リーグMVP村上宗隆、大谷翔平から得た打撃のヒント「左足の使い方が…」
2021年、20年ぶりに日本一に輝いた東京ヤクルトスワローズ。
優勝の原動力ともいえる働きを見せたのが、4番の村上宗隆(21歳)だ。
プロ4年目の今シーズン、全試合に4番打者として出場した村上は、39本塁打で自身初のホームラン王を獲得。名実ともに球界屈指のスラッガーとなり、セ・リーグMVPにも選出された。
若くして記録にも記憶にも残る打撃ができる理由は、いったい何なのだろうか?
テレビ朝日のスポーツ情報番組『GET SPORTS』は、その活躍の理由に迫った。
◆「最年少記録」を塗り替えていったシーズンに
2021年、村上には「最年少」という言葉がついてまわった。
夏の東京オリンピック、侍ジャパンに最年少で選出されると、決勝で勝利を手繰り寄せる先制ホームランを放つ。
この一振りが決勝点となり、日本は勝利。これは、プロがオリンピックに参加するようになった2000年シドニー大会以降、日本代表史上最年少のホームランであった。
こうして金メダル獲得に大きく貢献した村上は、オリンピック後に再開されたペナントレースでも次々と「最年少記録」をつくっていく。
9月19日、通算100本塁打を達成。21歳7か月での到達は、清原和博を抜き、プロ野球史上最年少記録となった。
その後、シーズン100打点の最年少記録を更新し、セ・リーグでは66年ぶりの最年少タイ記録、21歳でのホームラン王にも輝いた。
若くして球史に名を刻んでいることを、本人はどう捉えているのだろうか?
「最年少記録は若いときにしか達成することができない記録なので、そういう記録を塗り替えられたことはすごく光栄というか誇りに思います」
◆大谷翔平からヒントを得た打撃理論
ノリに乗っている村上だが、これまで苦手としてきたものがある。それは、150キロを超える速球。2019年、2020年と150キロを超える速球に対し、打率は1割台と苦しんでいた。
それが今年は、2割4分3厘まで改善されている。この理由のひとつとも言えるのが、ある人物の打ち方を研究したことだった。
「大谷さん、結構映像で見ますね」
名前を挙げたのは大谷翔平。今年メジャーリーグで46本のホームランを放ち、MVPにも輝いた大谷のどこを研究していたのか?
「左足の使い方がすごく。僕にはできないなぁというか」
村上が口にしたのは、左足の使い方。村上は打ちにいくとき、右足で踏み込むと、軸足である左足は動きの流れでそのまま回転をする。一方、大谷は右足で踏み込んでいったときに左足をわずかに引き、後ろに戻る。
もはや「誤差」のようにしか思えない一瞬の動きだが、村上いわく左足を引いてほんの一瞬戻すことで、距離ができる。するとそのぶん、速球にも対応できるという。
これを体現できた打席が、日本最速166キロを記録したこともある巨人・ビエイラとの対戦だった。村上はこの打席、ストレートにやや差し込まれながらも、レフトスタンドまでボールを運んだ。
「左足を後ろに引きながら差し込まれたと思っても、レフトにホームランが打てた。速いピッチャーはこうやって打つんだっていうイメージでいますね。差し込まれたと思ってもいい感じでレフトに飛んで行ったり、速すぎたと思っても先に引っかかってライト前ヒットになったり。今まで打てなかった速いピッチャーでもちょっとずつ打ててきている」
研究の末につかんだ速球を打つ「イメージ」。しかし、打撃の真髄を追い求める姿勢は、ホームラン王を獲得しても変わらない。
「(今シーズン)最終的に数字を見るとすごくよかったと思うんですけど、自分の中ではまだまだできることがあったと思いますし、もうちょっといい成績を残せたんじゃないかなと思ってます」
現状に満足しない4番が、これからどんな記録をつくっていくのか――若き大砲の活躍から目が離せない。
※番組情報:『GET SPORTS』
毎週日曜日夜25時25分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)