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フィギュア大国ロシアが生んだ最高傑作、ワリエワ。その異名は“絶望”、他の選手が「絶対に勝てない」と意気消沈

今年も盛り上がりを見せているフィギュアスケート・グランプリシリーズ。そのなかで、もっとも大きな衝撃をもたらしたひとりの少女がいる。

カミラ・ワリエワ(15歳)。

今シーズン、フィギュア大国ロシアからシニアデビューを飾ると、男子顔負けの4回転ジャンプを次々と成功させ、世界最高得点をマーク。グランプリシリーズ初戦のカナダ大会を圧勝した。

オリンピックシーズンに現れた天才少女。その姿は、4年前にシニアデビューを飾るや一気にオリンピック女王にまで上り詰めたアリーナ・ザギトワを彷彿とさせる。

テレビ朝日のスポーツ情報番組『GET SPORTS』では、世界が注目する15歳の強さの秘密に迫った。

◆異名は“絶望”。ほかの選手は「絶対に勝てない」

2021年10月。取材班は、グランプリシリーズ開幕前のワリエワをモスクワで取材していた。

向かったのは、スポーツ大国ロシアが誇る国営施設「サンボ70」。同じクラブにはザギトワや現・世界女王のアンナ・シェルバコワなど、女子フィギュア界を席巻する強豪選手がそろう。

「競い合えるところがいいですね。自分では精一杯滑っても、ほかの選手を見るとみんなもっと上手。私ももっと頑張らなくては。みんな休みなく練習している。休みたくても、みんなが練習しているから休めない」(ワリエワ)

そうそうたるメンバーの中にあっても、ワリエワの練習はひときわ目を引いた。

空中で手を上げる「タノジャンプ」と呼ばれるスタイル。

4回転をはじめ、すべてのジャンプで両手を上げるのがワリエワ最大の特徴だ。ジャンプの美しさは演技に流れをもたらし、プログラムの魅力をより引き立てる。

15歳にして、すでにクラブの中心メンバーだが、「サンボ70」にやって来たのはわずか3年ほど前だという。

門戸を叩いた理由は、一大勢力を率いるエテリ・トゥトベリーゼコーチの指導を受けるためだった。

「今後のスケート人生の進路を決めるために、母とエテリコーチを訪ねました。エテリコーチに採用されたら続ける、不採用だったらアイスダンスに変更しようと思っていました」(ワリエワ)

その結果、育成選手として採用される。念願だった名門クラブへ足を踏み入れたワリエワは、エテリコーチのもとで猛練習を重ねていった。

そして2019年。ジュニアグランプリシリーズに13歳でデビューすると、4回転ジャンプを武器に圧倒的な強さを見せ、いきなり2連勝。

勢いそのまま、ジュニアのグランプリファイナルと世界ジュニア選手権の2冠もあっさりと達成した。

ロシアのメディアが付けた異名は“絶望”。ほかの選手が「絶対に勝てない」と意気消沈するほど強すぎる、という称賛だった。

◆ジャンプだけではない。強さの秘密

そんな天才少女が、今シーズンついにシニアデビューを決断した。

15歳となり、オリンピック代表の年齢制限もクリア。来たる戦いに向け、恩師とともにさらなるレベルアップを目指していた。

そんな教え子の練習姿勢を、エテリコーチはしっかりと評価している。

ワリエワは誰とも比較できない。才能にあふれている。4回転ジャンプを成功させようと努力を続け、達成しても満足せずさらに先に進もうとする。飛躍的に成長を遂げた努力は尊敬に値する

エテリコーチが同じくシニアに送り出し、2シーズン前に旋風を巻き起こしたシェルバコワ、アリョーナ・コストルナヤ、アレクサンドラ・トゥルソワの「ロシア3人娘」。そんな先輩たちのデビュー当時を凌ぐと言われるのは、ジャンプだけではない。

ワリエワの大きな才能のひとつ、長い手足を活かした抜群の「表現力」だ。

リンクでの練習前には、ロシア伝統のバレエレッスンをはじめ、音楽に合わせてさまざまなダンスを踊る。

身長はこの1年で5センチ伸び、160センチに。大人のムードを醸し出す演技もできるようになった。

振りつけ指導を行うダニイル・グレイヘンガウスコーチは、その滑りをこう表現する。

「氷上の彼女はとても優雅に映る。その姿はバレリーナのようだ。彼女のスケーティングもスピンも空気のように軽い」(グレイヘンガウスコーチ)

チームエテリから誕生した“最高傑作”。英才教育と努力の成果がシニアの舞台で試される。

わたしの目標は各大会でしっかり演技して、ロシアの誇りを守ることです」(ワリエワ)

◆シリーズデビュー戦で世界に衝撃

そして満を持して迎えたグランプリシリーズデビュー戦・カナダ大会。フィギュアスケート界の視線がその演技に注がれた。

フリーで演じた「ボレロ」は、4回転サルコウ1本、4回転トウループ2本の難しい構成だが、ワリエワはこれらをすべて両手を上げた姿勢で成功。

さらに、スピンやステップもすべて最高難度のレベル4を獲得した。表現力を示す演技構成点も高い得点を得た結果、フリーと合計でいずれも世界最高得点をマーク。

その異名通り、ライバルたちに“絶望”を与えるほどの大差で表彰台の真ん中に立った。

「やるべきことをすべてやるように努力しました。これからも少しでもいい滑りができるように努力していきます」(ワリエワ)

次の舞台は、11月26日(金)に開幕するグランプリシリーズ第6戦ロシア大会。上位に入れば、頂上決戦「グランプリファイナル」への進出が決まる。

フィギュア大国から現れた新たな天才少女・ワリエワの“伝説”は、すでに始まっている。

放送情報:『フィギュアスケート・グランプリシリーズ2021』ロシア大会

◆地上波
11月27日(土)午後1:30~ 男女ショート(※一部地域を除く)
11月28日(日)午前10:00~ 男女フリー

◆BS朝日
11月28日(日)よる9:00~ エキシビション

◆CSテレ朝チャンネル
全競技・全選手・会場音のみで放送
12月1日(水)あさ7:00~

◆ABEMA
地上波放送(競技部分)を見逃し配信

◆テレ朝動画
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見逃し視聴、特典映像も!詳しくは、テレ朝動画HP