「パパの右腕は大切なところ」引退した元ヤクルト・館山昌平、怪我との闘い支えた“家族との絆”
今年2019年も、多くの“松坂世代”と呼ばれる選手たちが引退を表明したが、元ヤクルト・館山昌平もその一人だった。
抜群のコントロールと多彩な変化球を武器に、5年連続二桁勝利、最高勝率、最多勝のタイトルを獲得。ヤクルト投手陣を牽引してきた。
記録だけ見れば、順風満帆に見える野球人生だが、その裏にはケガとの闘いがあった。
11月20日(水)に放送した『報道ステーション』では、今年引退した選手にクローズアップした特集企画をオンエア。本記事では、放送された内容に未公開パートを加えて、館山の野球人生を振り返る。
◆「家族がすべてです」
館山は現役時代、右肘靭帯の断裂に加え、血行障害にも悩まされた。度重なる手術を受けた結果、右腕に刻まれた針の数は「175」。
そんな過酷な状況にあっても、ケガを乗り越え、プロ野球の世界で戦い続けることができたのは、いつも隣で支えてくれた“家族の存在”があったからだと言う。
「妻とは16年間一緒ですし、娘とは11年間戦ってきたと思っています。自分の17年間の現役生活の大半を、家族一緒に乗り越えたからこそ、何度ケガをしても戻って来ることができたのかなと思います」(館山)
この写真は、愛娘・海音さんが6歳のころ。
「パパの右腕は大切なところ」。妻・陽子さんが小さいころから娘に、そう伝えていたため、海音さんの居場所はいつも館山の“左側”だった。
「やっぱり投げている姿が一番だと、そこに早く戻れるように、家族も協力してくれていたんじゃないかなと。本当に家族がすべてですね」(館山)
2015年には、右肘靭帯の手術から1019日ぶりの勝利。試合後のインタビューでは、支えてくれた家族への想いを明かしていた。
「何とか復活することができました。陽子、海音ありがとう!」(館山)
◆家族が見守る中で…現役最後のマウンド
そして今年、引退を決断。9月21日(土)、神宮球場での現役最後のマウンドは、1打者限定の真剣勝負だった。
妻・陽子さん、娘・海音さんがスタンドから見守る中、最後まで抜群のコントロールを見せ、見事セカンドゴロに抑えた。
そして迎えた、試合後の引退セレモニー。妻・陽子さんとともに、娘・海音さんが、花束を持って館山の元へ駆け寄った。
館山は花束を受け取ると、すぐに海音さんを“右腕”で抱き寄せた。
279登板、85勝、防御率3.32。家族と共に戦い抜いた“右腕”が役目を終えた瞬間だった。
※番組情報:『報道ステーション』