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シンデレラガールが正真正銘の世界女王に。バド・ナガマツペア、ピンチの局面で思い出した“ある場面”

今日12月11日(水)から始まる、バドミントンの「BWFワールドツアーファイナルズ」。

8月に行われた「世界バドミントン」の金メダリストと、1年間に渡り繰り広げられたワールドツアーのポイントランキング上位選手、合わせて8人と、8組しか出場できない究極の世界一決定戦だ。

来年2020年の東京五輪前に行われる個人戦では最も大きなトーナメントになるため、東京五輪のメダルを占う大会として注目されている。

中でも、日本の女子ダブルスのペアは、東京五輪代表の座をかけてし烈な戦いを繰り広げている。

バドミントンの五輪代表は、1カ国最大2枠。争っているのは、12月11日(水)現在で、世界ランク2位の福島由紀・廣田彩花組、同3位の永原和可那・松本麻佑組、そして同4位の髙橋礼華・松友美佐紀組の3組だ。

2019年4月末から一年間の獲得ポイントによるランキングで、出場権を争う形となっている。

世界トップ5にいながら、五輪に出場できないかもしれない――それほど、超ハイレベルな混戦となっているのだ。

そんな中、先月行われた「全日本総合選手権」で、福島・廣田組を破り、見事初優勝を果たしたのが永原・松本組の“ナガマツペア”だ。

©テレビ朝日

「世界バドミントン」を2連覇するなど、世界トップクラスの実力を誇る2人だが、ここに至るまでには運命的な出会いと、絵に描いたようなシンデレラストーリーがあった。

◆ライバルだったジュニア時代、運命の再会

2人は北海道出身。ともに元々シングルスの選手で、ジュニア時代にはライバルだった。

全国中学校大会の北海道予選の決勝で顔を合わせたこともあり、その時には松本が勝利していた。

「松本は北海道で一番強かったです。私は全然無名だったので、松本と対戦できたのは覚えているのですが、松本は覚えていないと思います」(永原)

中学卒業後は、お互い別々の道へ進むが、秋田県に本拠地を置く実業団チーム・北都銀行バドミントン部に同期で入部することになった。

そこで、ライバルだった2人が、なんとダブルスのペアを組むことになったのだ。

「まさか永原と組むとは思っていなかったです。私たちはとりあえず、と言うと言い方悪いですけど『組んで出てみなさい』と言われて、組んだ感じでした」(松本)

偶然か、必然か――このペア結成が、二人の運命を大きく動かすことになった。

◆運命を変えた「世界バドミントン」

ペア結成から5年目。2018年シーズンに、念願のナショナルA代表入りを果たし、世界トップレベルの国際大会を転戦することになった。

そして、同年8月に開催された「世界バドミントン」が、彼女たちの運命を変えることになる。

当初、ナガマツペアは出場ラインに達することができず、出場権がなかったが、海外勢で欠場選手が出たため、急きょ繰り上がり出場が決定した。

2人にとっては、初めての大舞台となったが、初戦で見事に勝利を収めると、3回戦では、2016年リオ五輪金メダリスト、髙橋礼華・松友美佐紀組を撃破。

快進撃はその後も止まらず、準々決勝、準決勝と勝ち進み、ついに決勝の舞台へ。対するは、前回大会で銀メダルを獲得した福島・廣田組。

©テレビ朝日

互いに1ゲームずつ奪い合い、勝負の行方はファイナルゲームへ。

13対17、ナガマツペアが4点を追う苦しい展開の中、痛恨のサーブミスで、その差は5点に。

しかし、そんな厳しい状況の中でも、ナガマツペアは積極的に攻撃をしかけ、ついに1点差まで追い上げる。

©テレビ朝日

そして、20-20のしびれる展開から、マッチポイントを握り、見事勝利をつかんだのだ。

大逆転劇の末、初出場でいきなり金メダルを獲得するという、まさに絵に描いたようなシンデレラストーリーだった。

◆シンデレラガールから世界女王へ

そして迎えた2019年。年明けからコンスタントに成績を残し、4月には、初めて世界ランキング1位にも輝いた。

「しかし、五輪選考レースが始まると、今まで経験したことのない連戦、そして“代表争い”というプレッシャーが2人に大きな負担を与えていた。

「5週連続くらいの試合で、終わった時にはどっと疲れが来てしまって…」(永原)

日本国内のし烈な争いに加え、確実に力をつける海外勢にも翻弄され、自分たちらしい試合ができない日々が続いた。

そして8月、昨年世界女王となった「世界バドミントン」が開幕。連覇の期待がかかる重圧の中、順当に勝ち上がり、2年連続で決勝に進出した。

迎えた決勝戦。相手はまたしても、福島・廣田組。

昨年の決勝戦を彷彿とさせる熱戦で、互いに1ゲームずつ奪い、勝利の行方はファイナルゲームへ。

先にマッチポイントを握ったのは、ナガマツペアだった。

連覇まであと1点。しかし、ここから福島・廣田組が猛烈に追い上げる。6連続ポイントを奪われ、20-21と逆にナガマツペアが追い詰められることに。

このピンチの場面で思い出したのは、最大5点差を逆転し、初優勝した昨年の「世界バドミントン」、同じ決勝戦の舞台だった。

「去年を思い出して、自分たちは吹っ切れて20点目はとれたんですけど」(松本)
「最後は二人で“やりきろう”とずっと言っていました」(永原)

©テレビ朝日

もう1点も許せない状況の中、自分たちの持ち味である“攻撃”を積極的に仕掛け、見事逆転勝利。

2年連続世界女王という、今まで誰も成しえることができなかった快挙を達成し、1年前シンデレラガールと呼ばれた2人は、正真正銘の世界女王になった。

©テレビ朝日

そんな2人が今目指す、最大の目標がある。

「バドミントン人生の中で一番目標にしていたのが東京オリンピック。オリンピック五輪の舞台に立って、色んな方々から応援されるのが夢なので、その舞台に立てるように頑張りたいと思います」(永原)

ずっと夢見ていた舞台へ向かって――ナガマツペアの戦いは続いていく。

※番組情報:『BWFワールドツアーファイナルズ』

■グループリーグ1日目~3日目
▽テレ朝CSチャンネル2 ※テレ朝動画でも同時配信
11日(水) お昼12時~午後5時、午後7時~午前0時
12日(木) お昼12時~午後5時、午後7時~午前0時
13日(金) お昼12時~午後5時、午後7時~午前0時

■準決勝
▽BS朝日 ※テレ朝動画でも同時配信
14日(土) お昼12時~午後5時、午後7時~午前0時

■決勝
▽テレビ朝日(関東地区)
15日(日) 深夜1時30分~深夜3時30分
▽BS朝日 ※テレ朝動画でも同時配信
15日(日)午後4時~よる8時54分