テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
menu

昨年は映画14本に出演!渋川清彦、モデルを経て「監督が今、最も使いたい俳優」に

©テレビ朝日

「KEE」という名でファッション誌のモデルとして活躍した後、1998年、映画『ポルノスター』で俳優デビューした渋川清彦さん。コワモテのワルから情けないダメ男まで幅広い役柄を演じ分け、唯一無二の個性派俳優として数多くの映画、ドラマに出演。憎めないダメ男を演じたら右に出る者はいない。

独特の声と雰囲気、圧倒的な存在感で主役を食うほど鮮烈な印象を残し、「映画監督が今、最も使いたい俳優」の1人と称されている。昨年は映画14本に出演、今年もすでに6本の映画が公開され、来月1日(金)には映画『閉鎖病棟―それぞれの朝―』の公開が控えている渋川清彦さんにインタビュー。

©テレビ朝日

◆ミュージシャンを目指し上京も挫折、アメリカの写真家にモデルでスカウトされ生活が一変

高校卒業後、ミュージシャンを目指して群馬県渋川市から上京した渋川さん。ドラムの専門学校に通ってみたものの、1年で中退。アルバイト生活を送っていたとき、アメリカの写真家、ナン・ゴールディンからモデルにスカウトされたという。

「女優のグレタ・ガルボから名前を取った『CAFE GARBO』というお店が日比谷にあって、そこでバイトしていたんですけど、当時住んでいた浦安から東西線に乗って、茅場町で乗り換えるときにナンに声をかけられました」

-声をかけられたときはどう思いました?-

「どうというか、何もわからなかったので、普通に『いいよ』っていう感じでしたね。俺がナンのタイプだったのかもしれません(笑)。いっぱい写真を撮って、俺を遊びに連れて行ってくれて、新宿のジャズバーでは写真家のホンマ(タカシ)さんを紹介してくれたりね。

それで、ナンが帰国してから『遊びに来なよ』って言われたので、ニューヨークにも遊びに行って、ナンのスタジオに泊まったりしていましたからね」

-英会話は堪能だったのですか-

「自分は全然しゃべれないので、単語でしゃべるという感じでした」

-最初の芸名はアルファベットでKEE(キー)でしたね-

「そうです。ナンが清彦っていいづらかったので、『キー』って言っていたのと、昔から『キーちゃん』って呼ばれたりしていたので、そのままその名前で仕事をしていました。

ニューヨークに行ったとき、ナンは『KEE、ニューヨークでモデルをやったら?』とか『アクターズスクールに通ったら?』って言ってくれたんですけど、結局1カ月くらいで帰って来ました」

※渋川清彦プロフィル
1974年7月2日生まれ。群馬県渋川市出身。19歳のときにアメリカの写真家、ナン・ゴールディンにスカウトされてモデルに。KEEという芸名で『MEN’S NON-NO』などの雑誌で活躍。

1998年、映画『ポルノスター』(豊田利晃監督)で俳優デビュー。映画、テレビに多数出演。30歳を機に芸名を渋川清彦に。『そして泥船はゆく』(2014年)、『お盆の弟』(2015年)、『下衆の愛』(2016年)、『榎田貿易堂』(2018年)、『柴公園』(2019年)など主演映画も多く、サイコビリーバンド“DTKINZドトキンズ”のドラマーとしても活動している。

©テレビ朝日

◆監督の部屋に、たまたま貼っていたポストカードで俳優デビュー

※映画『ポルノスター』
東京・渋谷を舞台にデートクラブを経営するチンピラグループと、ヤクザ狩りをする正体不明の青年(千原ジュニア)の交流を描いたバイオレンス映画。渋川さんはKEE名義でチンピラグループのメンバー、銀次役で出演。

-『ポルノスター』に出演することになったのは?-

「『ポルノスター』はオーディションだったんですけれども、豊田さん(監督)の部屋にたまたま俺のポストカードが貼ってあったらしくて。

94年にナンと荒木(経惟)さんがコラボレーションした『Tokyo Love』という写真展を銀座でやったんですけど、そのときのポストカードの表紙が自分だったんですよ。それで豊田さんが見たことがあったみたいで使ってくれて、そこからずっとですね、今も」

それ以来、豊田監督作品には欠かせない俳優となり、全作品に出演(ドキュメンタリー作品を除く)している。

-ずっとコンスタントにお仕事をされていますが、俳優デビューされてからもバイトはされていたのですか-

「結構いっぱいしました。最近までしていましたよ、40手前ぐらいまで。やっぱり映画が多いと、なかなか大変ですからね」

-どんなバイトをされていたのですか?-

「若い頃は治験といって、薬の人体実験みたいなものもやりました。新しい薬を試すんですけど、泊まり込みで2泊3日を2セットとか。それで8万円とか9万円とかくれるので大きかったですね。

あと、最近までやっていたのはガラス磨き。ビルなんかでゴンドラに乗ってロープで降りてきながら窓を磨くというバイトをやっていました」

-結構本数も多く出てらっしゃるので生活が成り立っているのだと思っていました-

「いや成り立ってないですよ。前に洋服屋をやっていたときはちょっと成り立っていましたけど、それも貯金とかはしていないので全部なくなって、またバイトしなきゃという感じでしたね」

-俳優で生きていく決意をされたのはいつ頃ですか?-

「最近です。俳優をやろうかなぁっていうか(笑)。今も別にそこまでしがみついてやるっていうような気持ちではない気がします。でも、今さらほかに何をやるって言ったら、多分何もできないので(笑)」

-「今、監督が最も使いたい俳優」だと言われていますが-

「ありがたいですよね。そう言ってもらえる間は何とか頑張ろうって思いますね」

-昨年出演された映画は14本だとか-

「俺の場合は1シーンとか、2シーンとかの作品も多いので、忙しそうだと言われるんですけれども、そこまですごく忙しいわけではないですよ(笑)」

©テレビ朝日

◆“台本は現場に持ち込まない”

-20代の厄年のときに結構大変な目にあったそうですね-

「ケガしました。役者は『役を払わない』という意味もあって、厄は払わないんです。そのせいかどうかはわからないですけど、大きいケガをしました。でも、それから結構仕事が増えたような気がしますね」

-ケガというのは?-

「ライブでステージからダイブってよくあるじゃないですか。ダイブしたら誰も人がいなくて、そのまま床に落ちて左腕の肘のところの骨がはずれて折れたんですよね(笑)。

病院に行って全身麻酔してもらって治療してもらいました。だからいまだに外れやすいんです。最近はないですけど、左腕をテーブルとかについて、体重をかけて立ち上がったりすると、ガクッてはずれることがよくありました」

-アクションシーンも結構多いと思いますが-

「そうですね。でも、もう最近は大丈夫みたいです」

-40代の厄のときはいかがでした?-

「40代のときの厄も全く払わなかったら結構良かった気がしますね。『お盆の弟』で『ヨコハマ映画祭』の主演男優賞をもらったのもその頃ですしね」

今年は『柴公園』で連続ドラマに初主演。映画化もされ、柴犬を飼っている3人のおっさんたちが犬の散歩がてら、公園でひたすら無駄話をダベッている会話劇が話題に。渋川さんは茶柴のあたる君を飼っている主人公・あたるパパ役。

-柴犬とのコンビがすごくほのぼのとしていて新鮮でした-

「あれは犬と仲良く見えないと成立しないので、そこはやりましたけどね。徐々にじゃないですかね。おやつをあげたりして、だんだん認識させていったという感じでした。

たまたまなんですけど、あたる役の柴犬は『キー君』という名前だったんですよね(笑)。偶然なんですけど。ただ、会話劇だから、とにかくセリフ量が多くて、それはしんどかったですね」

-約40日間でテレビと映画の撮影ということだったそうですが、ずっと密に会っていたわけですよね?-

「そう。本当に密でした。毎日すごい朝早くから日が暮れるまで撮影していました」

-渋川さんは基本的にセリフを全部入れて、現場には台本を持ち込まずに行かれるそうですね-

「そうです。高倉健さんだったかな。健さんが言っていたのを聞いて『かっこいいなぁ』と思ったのでマネしているだけですけどね(笑)。でも『柴公園』だけはセリフ量が多すぎて、覚えられないまま現場に入った日もありました。何とか本番には間に合いましたけどね」

-セリフ覚えは早いほうですか?-

「どうだろう。でも、昨日終わった現場があるんですけど、すごいまた面白い体験があったんですよ。

『寝ても覚めても』の監督の濱口竜介、濱ちゃんは学生の頃から知っているんですけど、短編映画を撮ったんですよ。それも2人で9ページもセリフがあったんですけど、『これはセリフを覚えなくていいから4日間ぐらいリハーサルがあるので、その間に覚えましょう』って言われてやったんです。

結構しんどかったですけど面白かったですね。17分間の1カットの長回しを3回とかやりましたからね。17分間、ただ2人でしゃべってるんですけれども、面白かったなあ」

-達成感すごいでしょうね-

「それはありますよね。やればできるんだと思って(笑)。面白いこと考えるなぁと思いましたね」

-できてしまうところがすごいですね。どんどん過酷な条件になっていくのでは?-

「そうかもしれないですね。でも、濱口監督のやり方というのは多分特殊で、試しながらやっているので、あまりないケースですね。

やっぱりみんな時間がないですからね。じっくり時間をかけてというのはなかなかないです。自主映画じゃないとできないですね。そっちの方がって言ったらなんですけども面白いですよ。そういう予算がないなかで、やるっていうのは」

主演作品も多いが、役の大小にはまったくこだわっていないという。仕事を受けるかどうかの判断基準も基本的には来た順だと話す。次回後編では11月1日(金)から公開される映画『閉鎖病棟』の撮影裏話を紹介。(津島令子)

(C) 2019「閉鎖病棟」製作委員会

※映画『閉鎖病棟―それぞれの朝―』
11月1日(金)より全国ロードショー。
監督:平山秀幸 出演:笑福亭鶴瓶 綾野剛 小松菜奈
坂東龍汰 高橋和也 木野花 渋川清彦 小林聡美
配給:東映

LINE はてブ Pocket
関連記事
おすすめ記事