なぜ設楽紘一(藤ヶ谷太輔)はあの状況でレリゴーしなかったのか<ハマる男に蹴りたい女>
<恋愛コラムニスト・DJあおいの『ハマる男に蹴りたい女』第9話分析コラム>
再就職先は女だらけの下宿管理人! 人生の沼にハマッた元エリート・設楽紘一(藤ヶ谷太輔)が、住人のズボラお仕事女子・西島いつか(関水渚)と“オトナの一つ屋根の下ラブ”を繰り広げるラブコメドラマ『ハマる男に蹴りたい女』。
毎話“じれキュン”必至のストーリーを、Twitterやブログで独自の恋愛観を語り著名人にもファンが多い謎の主婦・DJあおいが深掘り&考察する恋愛コラム連載。毒舌(?)ながらも愛のある言葉でストーリーを分析していきます。
恋人と初めて結ばれる夜は、男性のスマートなエスコートが求められる。
そう夢想していた時期は女性なら誰でもあるものだとは思いますが、現実は女性の方がわりと落ち着いているんですよね。
逆に男性は下手な駆け引きを打ってテンパっていることが多く、ついには女性からそれとなくリードをする。数々の修羅場を潜ってきた百戦錬磨のお姉様方なら誰でも経験のあることでしょう。
序盤のホテルのシーンがまさにそれでした。
ダブルベッドの傍らで設楽くんを待ち受けているいつかちゃんに対し、設楽くんはベッドで寝ようとせず、床にバスタオルを敷いて寝ようとする始末。
これって結構な「あるある」ですよね。男性心理としては、とりあえずは「そんなつもりはありませんけどー?」というポーズを取っておきたいのでしょう。
もちろんそんなつもりはありますし、むしろそんなつもりしかありません。しかし、男性はそれを拒絶されることを極度に恐れます。
それが好きな人なら尚更、拒絶されたらしばらく立ち直れないほどの大ダメージを負ってしまうほど、男性にとっては一世一代の大勝負になるのです。
絶対に負けられない戦いがそこにはある、そう思うと最悪のケースに備えて予防線を張りたくなってしまうんですよね。そのための「そんなつもりはありませんけどー?」というポーズだということです。
案の定いつかちゃんから「ここ、いいですよ」とベッドの隣へ促される設楽くんでしたが、これも「あるある」ですよね。女性心理としては「いやいや、ここまで来てそんなわけないだろ?めんどくさい駆け引きしていないではよこっちこいよ」といった感じでしょうか。
恋愛になると女性の方がめんどくさい生き物になるのですが、ソレになると男性の方がめんどくさい生き物になるんですよね。だから恋人との初めての夜は女性がリードする形になることが多いんです。
そして、いつかちゃんからもっともわかりやすいサインであるキスをしたわけですが、ここで普通の男性なら頭の中で突撃ラッパが鳴り響き、極楽浄土へ踊り出る聖戦士になるはずなんですけどね。なんと、設楽くんから拒絶するという暴挙に出たのは正直驚きました。
「こういうことは、あんたが気持ちの整理をつけて、俺のことをちゃんと好きになってからだ」とか言い出す始末。
いやいや、設楽くんの気持ちもわからなくはないけど、それだといつかちゃんに恥をかかせる結果になってしまうじゃないですか。
いつかちゃんも「好き」と言える既成事実が欲しかったのだと思います。
それをよりによって設楽くんが拒絶するとはなんたる失態、「見損なったぞ設楽紘一!貴様歯を食いしばれ!」と喉まで出ましたが、よくよく考えてみるとバックハグのまま一睡もせず朝を迎えるって、一戦を交えて眠りにつく夜よりも、ある意味濃厚で官能的で、記憶に深く刻まれる一夜になったのではないでしょうか。
さて、デートのシーンですが、最近SNSでも話題になっていた「奢り奢られ論争」の一幕がありましたね。
設楽くんは「デート代は男が払って当然」という昔ながらのストロングスタイル。しかし、いつかちゃんは「そんなことでマウントを取られたくない」という合理的なシュートスタイル。
独立心が強い女性ほどデート代は割り勘を好む傾向にあり、依存体質な女性ほどデート代は男性に奢っていただきたいという傾向にありますので、いつかちゃんはきっと独立心の強い女性なのでしょう。もっとも、そうさせてしまったのは二年前の設楽くんのせいなのかもしれませんけどね。
「デート代は男が払って当たり前」と言っていいのは男性だけ。「デート代は割り勘が当たり前」と言っていいのは女性だけ。
これが逆になってしまうと最悪の相性になってしまいますので、そういう意味で言えば設楽くんといつかちゃんの相性は抜群と言えるでしょうね。
そして、ついに設楽くんのお母様であらせられるしま子ママ(大地真央)が登場しました。
この重厚感のあるオーラたるや、すべてを見通すような眼力たるや、存在感そのものがもはや女帝と呼ぶに相応しいですね。
女手ひとつで起業して、日本を代表する食品メーカーのCEOにまで上り詰めた偉大すぎる母親ですから、設楽くんもその背中を追い掛けて育った身としてはコンプレックスを感じるのでしょう。
しま子ママの前ではたじたじといった様子、比較対象としてのコンプレックスがあるのでしょう。もしかしたら、そのコンプレックスが設楽くんを傲慢なエリート戦士にしてしまったのかもしれませんね。
そんな天敵とも言えるしま子ママから、設楽くんは上海支店の責任者として正式にオファーされてしまいます。
一応依頼の体は取っていますが、実質これは命令でしょう(圧が命令している…)。しま子ママに逆らう設楽くんの画がまったく浮かばない状況。
設楽くんといつかちゃんの前に立ちはだかる大きすぎる壁。はたして、二人はこの壁を乗り越えることができるのでしょうか。
※番組情報:オシドラサタデー『ハマる男に蹴りたい女』
毎週土曜よる11:00~11:30、テレビ朝日系24局
藤ヶ谷太輔、関水渚、京本大我、久保田紗友、西垣匠、サーヤ(ラランド)、田渕章裕(インディアンス)、金子隼也/西田尚美、大地真央
※ 『ハマる男に蹴りたい女』 最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)
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