若者のゴルフ離れを救うのは「不純な動機」。戸張捷氏が分析する日本ゴルフ再興戦略
7月21日にかけて開催されている、『全英オープンゴルフ』。
今年で148回目を迎える伝統ある本大会の舞台は、北アイルランドに位置するロイヤルポートラッシュゴルフクラブで、ここでは1951年以来68年ぶり2度目の開催。今年のマスターズを制し完全復活を遂げたタイガー・ウッズなど、世界中からトッププレーヤーが集結し、激戦が繰り広げられている。
人気選手の活躍に注目が集まっているが、ゴルフ市場を見ると、2000年前後をピークに年々縮小傾向にある。
日本ゴルフ場経営者協会の調べによると、2017年度のゴルフ場来場者は年間で延べ8553万8千人。
最も多かった1992年度の1億232万5千人から約1700万人も減っている。また、ゴルフ場の数も2002年の2460箇所をピークに減少傾向にあり、2017年現在は2257箇所。
ゴルフ市場の縮小は確実に起きていると言える。(※)
だが、一方で近年は女性を中心にゴルフを始める若者も目立っており、インスタグラムでは「#ゴルフ女子」のハッシュタグでラウンド中の動画や写真をアップする若者が増えている。
果たして、日本のゴルフ市場は、今後回復を見せられるのか。「若者のゴルフ離れ」の根本原因は何なのか。
テレビ朝日ゴルフ解説の戸張捷氏に打開策を聞いた。
◆時間の短縮、観光とセット…できることは沢山ある
――「ゴルフ離れ」は日本だけではなく、世界でも共通した問題となっていますが、原因をどう分析されていますか?
戸張:タイガー・ウッズの復活が大きく報じられたように、ゴルフへの関心度が下がっているわけではないと思います。やはり、先進国では人口問題は大きいでしょう。
日本は団塊の世代から下の世代は人口が少なくなっているので、当然ゴルフ人口も減少しています。「ゴルフ離れ」も「クルマ離れ」も、原因は一緒。ただ、突破口はあります。
――ゴルフ人気を回復させる突破口とは?
戸張:たとえば、ファッション。ゴルフウェアは明るくておしゃれなものが多い。ですから、最近はウェアに興味を持ってゴルフを始める人がいます。ゴルフウエアを全面的に推したプロモーションをするのもよいでしょう。
他には、プレイ時間。ゴルフは移動時間を含めて一日かかるのが一般的ですが、9ホールにするなどしてプレイ時間を短縮させる。もっと気軽にゴルフ場に足を運べるようにすべきです。
事実、そのニーズはあります。埼玉県川口市にある浮間ゴルフ場なんて一年中満員です。
――アクセス性とプレイ時間。いずれも軽量化を図れ、ということですね。
戸張:一方でゴルフをレジャー活動として充実させる選択肢もあるでしょう。観光とセットにしてプランを充実させるのです。
たとえば、観光ついでにゴルフを組み込み、ゴルフ場のランチは地元の新鮮な海鮮類が食べれるメニューを用意する。ゴルフのため、というよりランチのためにゴルフ場に足を運ぶのでもよいのです。つまり、動機は“不純”でよいのです。
ゴルフはついで、という人たちを増やすのがV字回復のカギです。
――観光市場の中に組み込むと、一気にリーチが広がりますし、若者に限らず何歳からでもゴルフを始める動機が生まれますね。
戸張:他には、もっと若い頃からゴルフに触れさせるべきです。最近はゴルフ部がある高校が増えていますから、そういうところへもう少しゴルフ界が支援をするべきです。クラブを寄贈するといった施策から、大人のゴルファーと交流させるなどして生涯スポーツとして取り組めるように整備する。できることはまだまだあるのです。
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戸張氏の分析によると、観光とセットにするプランや時間の短縮化など、「ゴルフ離れ」にはまだまだ打開策があることがわかる。
今回の全英オープンでも、北アイルランドの自然あふれる光景が見られるなど、観戦の楽しみ方も様々なはずだ。世界の強豪が集う熱戦に、あらゆる角度から注目していただきたい。
※参考:(http://www.golf-ngk.or.jp/news/2018/riyouzei/30.10riyouzei.pdf)
●番組情報:『第148回全英オープンゴルフ』
【第3日】7月20 日(土)よる11:30~あさ4:00まで放送
【最終日】7月21 日(日)よる11:00~深夜2:55放送
(※放送時間は変更になる場合があります)