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トヨタ、連勝狙う。美しく熱狂的な「ラリー・ポルトガル」が間もなく開幕

現地時間の5月31日〜6月2日、2019年WRC(世界ラリー選手権)第7戦「ラリー・ポルトガル」が開催される。

©TOYOTA GAZOO Racing

ラリー・ポルトガルでは、南米ラウンドの2連戦「ラリー・アルゼンチン」と「ラリー・チリ」を終えて、再びヨーロッパラウンドへ。ただしラリー・ポルトガルは、南米2連戦に続いてグラベル(未舗装路)中心と、一部のターマック(舗装路)で争われる。

ポルトガル第二の都市であり、港町として有名なポルト周辺で行われるラリー・ポルトガル。ここは、いま世界中の女性から注目を集めている都市である。

©TOYOTA GAZOO Racing

というのも、昨今のインスタブームに乗って、ポルトの色鮮やかな街並みがいわゆる“インスタ映え”すると人気なのだ。

有名な“インスタ映え”スポットはいくつもあるが、例えば街中で見かけることができるアズレージョと呼ばれる青いタイル。アラブ諸国の幾何学模様とイベリア半島独特の青いタイルが融合して生まれたと言われている。なかでも、外壁がアズレージョで覆われた教会「アマウス・チャペル」は、かなり“映える”こと間違いなしだ。

他にも、ポルトの町中を走る路面電車も美しい。というのも、ポルトは港町ながら高低差がかなりあり、街じゅうに坂道がある。その坂による高低差と路面電車の走る絶妙な風景は、見る者すべての心を打つだろう。

©TOYOTA GAZOO Racing

話をWRCに戻そう。

ここラリー・ポルトガルは、グラベル(未舗装路)中心のラリーで、天候によって大きく条件が変わるなど、南米2連戦と路面は似通った環境にある。つまり、過去2連戦で得たマシンセッティングデータを、いかにこのラリー・ポルトガルの路面に合わせることができるかが、勝負の別れ道となるだろう。

©WRC

そして、ラリー・ポルトガルの魅力は、熱狂的かつ温かいファンだ。

このファンの温かさについて、2017年の初めてのWRC挑戦で最後のパワーステージでのジャンプが2017年の「アクション・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたエサペッカ・ラッピ(現シトロエン、当時トヨタ)は、次のように語る。

「最後のジャンプでは1万人くらいのファンが集まっている。ここは個々のドライバーにももちろんファンがいるだろうが、それ以上にWRC全体に対するファンが多くて、とても温かい雰囲気だと感じられた。それはどのドライバーも同じ印象を持っていると思う」(ラッピ)

◆ドライバーたちが語る「ラリー・ポルトガル」

©TOYOTA GAZOO Racing

そして、激しさを増してきたチャンピオン争い。

現在、チャンピオンシップを競うオット・タナック(トヨタ)は、ラリー・チリで優勝してドライバーズチャンピオンシップ争いで2位に浮上。ここラリー・ポルトガルでも優勝することで、一気にタイトル争いでトップに近づきたいところだ。タナックは現状についてこう語る。

「いまはチームの仕事ぶりに本当に満足している。過去数戦、残念な結果に終わって、大きくポイントを失っていたので、ラリー・チリでの勝利は、色々な意味で大きかった。チームのモチベーションも戻ったし、戦いの場に戻ってきた感じだ」(タナック)

また、過去ラリー・ポルトガルで最多5勝をあげている現王者のセバスチャン・オジェは、ラリー・ポルトガルについてこう語る。

「歴史あるイベントで、数々の名勝負がここで生まれた。すでにテストでも走っているが、いつも難しいコースだ。天候によっては、霧につつまれたりして、先の見えないコーナーへと飛び込む必要があり、それがまた難しい戦いを生む」(オジェ)

そして、WRC最多出場ドライバーのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ)は、ラリー・ポルトガルの印象について、「このコースは非常に攻略が難しい。天候条件によって大きく変わる路面。路面表面が非常に滑りやすくありながら、ゴロゴロと岩が転がっていて、タイヤを痛めつける」と、タイヤのマネージメントが重要であることを説明した。

さらにトヨタのクリス・ミークも、ファンの熱狂ぶりについて、「ここラリー・ポルトガルのファンは本当に熱狂的で、パワーステージでは、その応援というか声援が走行していても聞こえるし感じられるんだ。最後のジャンプは本当に熱狂的だよ」と、その声援が聞こえるほどのイベントであると話している。

©WRC

2019年WRCシーズンも中盤に入り、いよいよ各チームの競争も激しさを増してきた。それだけに、再びヨーロッパラウンドに入ったラリー・ポルトガルは、今後の大きな分岐点となる。どのチームも最高の結果でヨーロッパラウンドを迎えたいはずだ。

ラリー・ポルトガルは、金曜日から3日間、合計20のSSを予定。初日金曜日は7つのSSで行われる。初日最後のSS7は、3.36kmと多くのファンに囲まれたなかを走るスーパーSS方式だ。

最初のSS1スタート時間は、午前9時48分予定。日本時間では午後5時48分となる。

現在、トヨタ、シトロエン、ヒュンダイの3メーカーで激しく争われているチャンピオンシップ。果たしてトヨタは、ラリー・チリに続く連勝を飾ることができるのか。今後のチャンピオン争いを占ううえでも、大いに注目したいところだ。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>