映画「君の名は。」で話題になった組紐 職人が口にしない“こだわり”
テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。
現在は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して全国各地を駆け巡って応援している。
今回、修造が訪れたのは東京・日本橋。この地から東京2020への思いを馳せているのが、日本の伝統工芸「東京くみひも」の職人である福田隆さん(58歳)だ。
江戸時代頃から着物の帯締めなどに使われてきた組紐は、無数の糸を、専用の“組み台”を使って組んでいく工芸品。きめ細かく組まれ、美しい色使いが目を引く。
最近では映画「君の名は。」の中で、ヒロインの髪留めとして登場し、商品化もされ話題に。その商品を作成したのが福田さんだった。
◆あえてこだわりを口にしないのが“粋”
組紐を21世紀となった今でも守り続ける福田さんには、大切にしていることがある。
「江戸の文化というのは“粋”に全てがかかっていると思うんです。“粋”というのは、こだわりをいっぱい散りばめて『どうだ!』と言わない。
思いと一緒で、口にはしないけど、いたるところにたくさんのこだわりが入って、1つの“粋”というものが完成するんです。
組紐というのは脇役で、主役ではありません。『野に咲く花の如く、我々は組紐を作るべし』と。名脇役と言わないまでも、しっかりと脇役を務めろということです」(福田さん)
あえてこだわりを口にしないのが“粋”。福田さんは、組紐の材料となる糸を国産の絹糸にこだわる。自給率が1%となった今でも、何とか1本1本集めている。
かつて世界から最高評価を受けた日本の生糸を生み出した養蚕農家、製糸業を守りたい――そんな思いを胸に秘め、組紐を日々組んでいるのだ。
◆「海外のお客様に、“組紐”の文化に触れてほしい」
東京で生まれ育った福田さんにとって、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定は、思わず飛びはねるほど嬉しかったという。
「2020年に向けて、海外からいらしたお客様に、組紐という文化に触れていただきたいという思いがございまして。
日本橋人形町から、発信出来たらいいなと思っています。何かそれが日本の思い出になったら素晴らしいなと」(福田さん)
その想いは2016年リオオリンピックの時からすでに形になっていた。 福田さんが中心となって作った大きな組み台で、海外の人々が組紐に触れられる催しを行ったのだ。
「世界には色んな人種の方々がいらっしゃいます。その色んな方々がいるということを様々な色の糸を使って組み上げていくことで“人の心を1つに組む”という動作の中で結びついていくというコンセプトです。
組紐というのは、実は漢字を想像していただくと、糸偏のものばかりなんですね。『組』『紐』全部糸偏です。すぐに切れてしまいそうな1本の糸でも、たくさん集まると、こんなに頑強な強いものに進化していきます。」(福田さん)
福田隆さんのできる宣言は「江戸の粋が詰まった組紐で世界を繋げたい!」。東京の下町で“粋”な形で東京2020への参加を目指す福田さんへ、修造は熱いエールを送った。<制作:TOKYO応援宣言>
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系