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<私のおじさん>田辺誠一がみせる“中間管理職”の悲哀と誇り。そして、かっこよさ

就職した途端、超過酷ロケで有名なバラエティ番組に配属されたポンコツ新人AD・一ノ瀬ひかり(岡田結実)。彼女の前に突如現れたのは、「妖精」を名乗るおじさん(遠藤憲一)だった――。

©テレビ朝日

どうやらひかりにしか見えていない陽気で毒舌で性格サイアクな妖精のおじさんとともに始まった珍妙なお仕事ライフを描く金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』。

2月8日(金)放送の同ドラマ第4話について、小劇場特化型メディア「ゲキオシ!」編集長で、独自のドラマレビューも人気を集めるライター・横川良明さんに寄稿してもらいました。

最近、仕事で誰かとハイタッチしたことありますか?

いやあ、ない。ないです。ぬか漬けかなっていうぐらい、記憶を底の方からかき混ぜてみたんですけど、そんなキラキラした思い出、まったく出てこない。

なぜだろう。仕事自体は楽しいはずなのに。

って考えて、ふと気づきました。ハイタッチって、ひとりじゃできないんですよね。どれだけ充実感を持って仕事をしていても、私のようなフリーライターはそのほとんどが個人作業。仲間と力を合わせて、何かひとつの大きなことをなし遂げるなんて、ごくまれな話。

どんなに仕事が楽しくても、誰かと同じ目線で喜びを分かち合えることってほぼない。パチンと肉を弾く乾いた音も、てのひらに残る熱い痺れも、もう久しく味わっていないな。

©テレビ朝日

ドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』第4話(2月8日<金>放送)を観ながら、そんなセンチメンタルな気持ちにかられました。

◆全国の中間管理職に捧ぐ!悲哀と誇りの第4話

お局APに万年ADと、番組制作会社・テレドリームの面々の奮闘を切り取りながら、仕事に打ち込む醍醐味と、何かに一生懸命になるまばゆさを教えてくれる金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』。

今回、スポットライトを浴びるのは、裸足に革靴履いちゃう系のちょっぴりうさんくさいプロデューサー・泉(田辺誠一)です。

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ザ・サラリーマン気質の泉は、お偉方のご機嫌伺いに必死。上層部の気まぐれかつ謎なアイデアも安請け合いしてきちゃうので、現場は大混乱。番組愛の強いディレクター・千葉(城田優)は大事な企画がメチャクチャにされることにブチギレ。おかげでチームに亀裂が走り……というのが、今回のお話です。

つうか、今回はもう「わかる~っ」てエピソードの連発で、これもう“和民”とかで仕事仲間とハイボール呑みながら見たい。

仕事をしていると、朝令暮改は日常茶飯事。みんなで夜中まで話し合って煮詰めた企画が、昭和なおじさんの鶴の一声でまるっとひっくり返されちゃうとか、思い当たることがありすぎて、エイヒレをかじる歯にも力が入ります。

その上、直属の上長というのは、往々にして現場の声より上の顔色の方が大事なもので…。こっちがどれだけ反対しても「上の決定だから」のひと言で終了。いやいや、そこを交渉するのがあなたの役目でしょ?

上からの指示を伝達するだけなら伝書鳩の方がまだ可愛げがある分マシだわ。と、溢れ出る愚痴が止まらない。見ながら、サラリーマン時代のトラウマが大量放出してきました。

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とにかくこの第4話は、そんな上からの無茶ブリに振り回されている現場サイドの人たちは共感必至。でも、そこだけで終わらないのがこのドラマのいいところで、物語が進むにつれ、次第に泉の「中間管理職」としての悲哀と誇りが明らかに。

飄々とした物腰に秘めた、仕事人・泉の信念に、もう途中からFUNKY MONKEY BABYSの『ヒーロー』がかかりっぱなし。「中間管理職」という言葉って、わりとネガティブな文脈で語られがちですが、こういうのを見ていると「いいよね、中間管理職ってカッコいいよね……」って新橋のおじさんたちと全力でハグしたくなる。

◆お尻の青い若手時代。叱ってくれる“おじさん”がいた

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そんなことを言いつつも、今回一番共感したのは主人公のひかり(岡田結実)でした。何となく仕事を覚えはじめたこの時期。一丁前に仕事について一家言ぶちたくなるのが、人の業です。

今回のひかりはその典型に陥っていて、泉に向かって得意げに講釈を垂れるところなんて、もう共感性羞恥が激しすぎて、ひかりを地中に埋めて、そのまま私も一緒に埋まりたい。

そして、そんなひかりを、時に突き放しつつも、優しく諭してくれるおじさん(遠藤憲一)や馬場(青木さやか)に、お世話になった上司や先輩たちの姿を重ねるのです。

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結局、人間、年をとると、どんどん叱ってもらえなくなるわけで。自分が道を誤ったときに、こうやって叱ったり教えてくれる人がいるというのはありがたいことなんだと、しみじみ思い知る次第。

このドラマって、もちろんひかり世代の若い人たちが見ても楽しめると思うんですけど、かつてひかりだった、そして今、泉や馬場のようなポジションにいる人たちが見たら、きっと胸にこみ上げてくるものがあるんじゃないでしょうか。

ということで、誰と誰がハイタッチをするのかは見てのお楽しみ。きっと見た後は「私も誰かとハイタッチができるぐらい思い切り仕事がしたい!」と気持ちがちょっぴり奮い立つはず。

そんな感慨を噛みしめつつ、お約束の千葉のディープキスは今回も健在。誰より“限界MAXまでヤッテミー!!”してるのは、城田優のエロではないかと思う第4話でした。<文/横川良明>

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※番組情報:金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』第4話
2019年2月8日(金)午後11:15~深夜0:15、テレビ朝日系24局(※一部地域で放送時間が異なります)