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宇賀なつみアナ、岡山の名物菓子の味は「食べた瞬間は“洋風”、噛み始めると“和菓子”」

いま知っておきたい話題や気になるニュースをお届けする朝の情報番組『モーニングショー』では、月~金の日替わりコーナーが放送されています。

水曜日は、宇賀なつみアナウンサーが、伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性から人生を素敵に過ごす秘訣などに密着する名物コーナー「継ぐ女神」をお届け。

1月23日(水)の放送では、岡山市で132年続く和菓子店「下山松壽軒」の3代目・下山ケイ子さん(77)に、宇賀アナが迫りました。

◆下山松壽軒で明治時代に生まれたハイカラ和菓子「つるの玉子」

紹介した「つるの玉子(2個入り)」259円(税込み)

下山松壽軒で明治の昔から作られている看板商品は「つるの玉子」という和菓子です。パッと見は饅頭(まんじゅう)なんですが、実は「マシュマロ」。海外から伝わってきたばかりのマシュマロの製法を初代が学び、「インゲン豆で作った餡(あん)を中に入れる」という和風アレンジを加えた“ハイカラ和菓子”なんです。初めての食感と新しい甘さに当時の人々は魅了され、たちまち大ヒット商品となったのだとか。その人気は今も衰えず、お話を伺った来店者からは「県民なら知らぬ者はいない岡山名物」という言葉が飛び出しました。

◆初代が岡山藩の家老屋敷から賜った「絵屏風」の鑑定額は?

宇賀アナは、ケイ子さんの自宅へ招いていただきました。そちらで出迎えてくださったのは、長男の恭正(やすまさ)さん(54)、長女の佳子(よしこ)さん(53)、次男の和己(かずみ)さん(48)です。3人が見せてくださったのは、下山家に代々伝わるという家宝。「初代が明治期に岡山藩の家老屋敷から賜(たまわ)った」というそれは、立派な鶴が描かれた2つの絵屏風(えびょうぶ)でした。そこには「狩野永朝(かのう・えいちょう)」という名が入っています。

狩野永朝とは、幕末から明治にかけて活躍した狩野派の画家。本物だったら高価なはずだと期待するケイ子さんですが、次男の和己さんは「稚拙(ちせつ)に見える部分があるので、5万円くらいではないか?」とシビアな評価です。番組がお呼びしたプロ鑑定士の見立ては「本物で間違いない」というものでしたが、狩野永朝はあまり知名度が高くない画家のため、鑑定額は「10万円」でした。けれどもケイ子さんは「本物と認められたことが嬉しかった」そうで、鑑定額自体は二の次なのだそうです。

◆昔と変わらぬ原料で作られている伝統の「つるの玉子」

宇賀アナは、明治期の人々を驚かせた画期的な和菓子「つるの玉子」の製造現場へ特別に入れていただきました。「水飴(みずあめ)」と「砂糖」と「水」を煮詰めたものに、湯煎(ゆせん)した「ゼラチン」を足して10分ほどかき混ぜ、そこへ「メレンゲ」を加えると…フワフワのマシュマロ生地が出来上がります。

続いて、それをキレイな卵型に成形するのですが、鉄やプラスチックの型を使うと生地がくっついてしまうのだとか。そこで、用いられるのが「デンプンの粉」。敷き詰められた粉の上に「卵型の穴」を掘り、その中へマシュマロ生地を流し込むのです。流し込んだら餡をのせ、それを生地で覆い隠します。

宇賀アナは、「指先を使って生地をかぶせて餡を覆い隠す」という仕上げ作業に挑戦させていただきました。けれども示されたお手本のように生地をかぶせきれず、形も卵とは程遠いものに…。やはり、見よう見まねでは無理なようです。

餡を隠し終わった生地を扇風機に30分ほどあてて冷ますと、明治時代から愛されてきた岡山名物「つるの玉子」の完成です。「今も初代の頃と変わらぬ原料で作られている」というその味は…宇賀アナによれば「食べた瞬間は“洋風”なのに、噛み始めると“和菓子”であることを感じます。フワフワのマシュマロと餡がよく合っていて、とても美味しい!」というものでした。

◆母を支えるべく戻ってきた子どもたちと「新たなヒット商品」

マシュマロ羊羹「廿‐ju」各972円、マシュマロ餡ペースト「面‐men」各1080円(全て税込み)

132年続く和菓子の老舗にケイ子さんが嫁いできたのは20歳の時。「“加山雄三”に似ている人がいるから会ってみないか」と言われて、後に夫となる正明さんとお見合いをしたのだとか。ケイ子さんによれば「加山雄三には似ていなかった」そうですが、真面目な人柄に惹かれて結婚を決意したといいます。

ところが嫁いでから間もなく、ケイ子さんは苦難に見舞われました。義父が心筋梗塞(しんきん・こうそく)、義母がくも膜下出血を発症し、「家事」「育児」「介護」「家業の手伝い」を同時に行うことになったのです。休む間もなく働き続け、ようやく子育ても一段落ついた頃、更なる苦難がケイ子さんを襲いました。最愛の夫である正明さんが、肺がんで亡くなってしまったのです。失意のケイ子さんは店をたたむことを考えたといいます。

廃業を思いとどまらせたのは子どもたちでした。すでに独立していた3人が家へ戻って来て、家業を手伝ってくれたのです。子どもたちは「つるの玉子」と並ぶ新名物を考案しましたが、生まれたのはロールケーキやマドレーヌなどの洋菓子ばかりで、なかなかヒットには結びつきませんでした。

そんな中、ケイ子さんが口にしたのが「原点回帰」。いったん原点に戻り、長年培ってきたマシュマロ作りの技術を活かした商品を開発することを提案したのです。そして生まれたのが、羊羹とマシュマロを合わせたマシュマロ羊羹「廿‐ju」や、パンやクラッカーに塗って食べるマシュマロ餡ペースト「面‐men」など5種類。色合いも味わいも斬新で、発売するや女性客に大人気となったそうです。

◆悩んだら原点に!

今回、ケイ子さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「悩んだら原点に!」です。新商品の開発に頭を悩ます子どもたちの姿が、ケイ子さんには「自分たちがやって来たことを忘れ、やみくもに新しいことをやっているように見えた」といいます。そこで「原点に戻り、自分たちの一番得意なことは何か考えてみた」のだとか。

「一番得意なことから考えるのが成功への近道なのでは?」というケイ子さんの読みは見事的中し、新たなるヒット商品にたどり着きました。ケイ子さんが「マシュマロにこだわること」を提案したのは「“誰も食べたことのない新しいもの”を考えた初代の精神を忘れて欲しくなかったから」だそうです。