「私の最も親しい友」―“カーガイ”豊田章男社長が熱く話す、新型スープラへの思い【PR】
毎年1月にアメリカの自動車産業の中心地・デトロイトで開催される「North American International Auto Show」(北米自動車ショー)、通称NAIAS。世界各国で開催されている自動車ショーのなかで最も早い時期に開催され、世界5大自動車ショーに数えられる。
このNAIASで、遂にトヨタのスポーツカー、新型スープラ『GR Supra』が発表された。
日本時間で1月14日午後11時45分前後から始まった『GR Supra』の発表会。
トヨタにおけるスポーツカーの象徴ともいえるクルマの発表に登壇したのは、トヨタ自動車社長の豊田章男氏だ。氏は、赤い『GR Supra』に乗って登場した。
ドアを開け『GR Supra』から降りた豊田社長が最初に放った言葉は、「このクルマを最高に気に入っています。クルマから降りるのを止めてしまうところでした」というもの。さらに言葉は続く。
「私のもっとも親しい友とも言うべきクルマをご紹介します。新型スープラです! 最後のスープラが生産されてから17年が経ちました。人生であなたの心に残る1台を選ぶならば、このスープラはその1台でしょう」
実は豊田社長は、トヨタのなかで“マスターテストドライバー”という資格を所有している。彼らはドイツにある“ニュルブルクリンク”と呼ばれる世界中の自動車メーカーが市販車開発のため徹底的に走り込む道を走ってきた。
ただ、世界中の自動車メーカーが新型量産車のプロトタイプを走らせるなか、このマスターテストドライバーの資格を獲得するためにニュルブルクリンクを走るとき、豊田社長はすでに生産を終えたスープラで走ることに忸怩たる思いを感じていたと語る。もちろん、「それでも古いスープラは素晴らしいクルマだった」と付け加えていたが…。
すでに多くの人に知られていることだが、豊田社長は生粋の“カーガイ(クルマ好き)”だ。
いまではトヨタのなかで重要なスポーツブランドとなってきた「TOYOTA GAZOO Racing」は、2007年に豊田社長のクルマ好き、レース好きから生まれたブランドだ。
社員と共に完全な“クルマ好きアマチュア体制”でニュルブルクリンク24時間レースに挑戦することからスタートしたTOYOTA GAZOO Racingは、徐々に規模を大きくし、トヨタ内のモータースポーツ活動を統合してさらに成長。
2018年、ついにWRC(世界ラリー選手権)の製造者部門優勝と、WEC(世界耐久選手権)で世界3大レースのひとつ、ル・マン24時間レースで悲願の初勝利を飾った。
豊田社長の“カーガイ”精神がトヨタ自動車の内部にも浸透していくなか、求められていたのが、トヨタのスポーツカーを象徴するクルマの復活だったことは想像に難しくない。
豊田社長が言葉を続ける。
「世界中の誰もがスープラを待ち望んでいることは分かっていました。心のなかでは私もそうでした。数年前、北米トヨタのデザイン部門であるキャルティ・デザイン・リサーチがあるクルマをデザインしました。“FT-1”と呼ばれたコンセプトカーです。彼らはただデザインしただけではなく、そのクルマを『グランツーリスモ』というコンピュータゲームのなかで走れるように手配し、実際に私はそれをドライブしました。
私は、この手法を是非他の自動車メーカーのデザイナーにも勧めたいです。デザインしたコンセプトカーを、あなたの会社のボスに感じてもらうには最高の手段だと断言できます。実際、私はすっかりやられてしまったのですから」
熱い言葉は、まだ続いていく。
「ただ復活するのでは意味がない。旧友とも呼べるオリジナルを超え、最高のクルマでなければ。そのときに開発を手助けすることができたのがTOYOTA GAZOO Racingでした。新型スープラはこうした力も借りて、原点であるニュルブルクリンクで徹底的に走り込み、テストしてきました。
こうして誕生したのが、この新型スープラなのです。新型スープラは、単純に運転が楽しいクルマではありません。新型スープラはすべてが“Lit(最高)”なクルマです!」
このように述べた豊田社長。笑顔あふれる姿と共に、その言葉の節々には間違いなく、『GR Supra』の出来栄えに確信とも言える自信が感じられた。
ちなみに“Lit”とは英語圏のスラングで、もともとは“酔う”という意味合いだったが、近年は“驚き”や“最高”という意味合いで使われている。だが、クルマに使えば「最高のクルマに酔う気分」という意味合いにも取れることから、この『GR Supra』には“最高に”似合うスラングなのかもしれない。
◆フェルナンド・アロンソも称賛
そして『GR Supra』には、これまでのスープラのDNAに加えて、トヨタが最初に作ったスポーツカーであるトヨタ2000GTのデザインモチーフが随所に使われている。
どんな人にも楽しんでもらえるスポーツカーとして、デザインだけではなく、技術面でもあらゆる要素が詰め込まれている。操縦性を考えた前後50対50の重量バランス、0−60マイル(約96キロ)を4.1秒で加速させる直列6気筒3000ccツインターボエンジンなど、世界一級品としての力を秘めている。
その力を実際に運転して感じたというプロドライバーが、豊田社長の紹介により登場した。
2005年・2006年F1世界王者であり、2018年にトヨタにル・マン24時間レースの初勝利をもたらした世界最高ドライバーのひとり、フェルナンド・アロンソだ。アロンソは、『GR Supra』を運転した印象をこう語った。
「日本で新型スープラに乗るチャンスがありました。豊田社長の手垢がついたとも言うべきこのクルマは、まるでレースカーのようにコーナリングで安定し、ギアシフトも早く、加速も減速も素晴らしい。さらに特筆すべきが、数々の電子制御がとても洗練されていることです。まるでレースカーのようなクルマを毎日快適に運転できます。多分、誰もが気にいると思います。ぜひとも、生産する1号車は僕が欲しいですね」
ただ、生産1台目はチャリティーに提供されることが豊田社長からアロンソに伝えられ、“できれば、そこにアロンソのサインもお願いしたい”と逆に頼まれてしまっていた。
アロンソが退場すると、再び豊田社長は『GR Supra』とレースの関係性を語り始めた。
『GR Supra』はアメリカで最も人気が高いモータースポーツであるNASCARシリーズのエクスフィニティシリーズに挑戦する。映画『ワイルド・スピード』シリーズに登場し、生産終了後17年経っても高い人気を誇るスープラ。再び、『GR Supra』として帰ってきたことを宣言して豊田社長の登壇は終わった。
実は、『GR Supra』のモータースポーツにおける挑戦はNASCARシリーズだけではない。NAIASより先に開催されていた日本の東京オートサロンでは、『GR Supra』が日本国内レース最高峰シリーズのひとつ、スーパーGTにも挑戦することが発表され、そのコンセプトカーが展示された。
さらに、この『GR Supra』発表会に合わせてイメージCMも公開。キャッチコピーは「Supra is Back!(スープラが帰ってきた!)」だ。
YouTubeに公開された1分のイメージCMでは、NASCARのカイル・ブッシュ、WECのフェルナンド・アロンソ、WRCのオット・タナック、WECのセバスチャン・ブエミ、そしてWECの中嶋一貴が登場する。
世界最高峰で競うドライバーたちが認めるスポーツカー、それが『GR Supra』ということなのだろう。
日本では3つのグレードで発売予定の『GR Supra』。トヨタのモータースポーツ活動が市販スポーツカーと融合していく姿がしっかりと感じられた発表会であった。