宇賀なつみアナ、146年続く老舗が作る“大人のおやつ”は「柔らかくて上品な甘さ」
いま知っておきたい話題や気になるニュースをお届けする朝の情報番組『モーニングショー』では、月~金の日替わりコーナーが放送されています。
水曜日は、宇賀なつみアナウンサーが、伝統を守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性から人生を素敵に過ごす秘訣などに密着する名物コーナー「継ぐ女神」をお届け。
12月19日(水)の放送では、富山県・氷見市で146年続く「ぎんなん餅本舗おがや」の5代目女将・大鋸広子(おおが・ひろこ)さん(66)に、宇賀アナが迫りました。
◆146年続く老舗が作る、富山県・氷見市の名物菓子「ぎんなん餅」
「ぎんなん餅」1個97円、6個入り670円(税込み)
※店頭販売のほか、お取り寄せでも購入可能。詳しくは店舗まで直接お問い合わせください。
氷見市と言えば、脂がのった「寒ブリ」で有名な土地ですが、それにも負けない地元の名物が、広子さんたちの作る「ぎんなん餅」なんだとか。店近くの古刹(こさつ)「上日寺(じょうにちじ)」の境内にある、樹齢1000年を超えるイチョウに実ったぎんなんを使い、初代店主が作ったものが現代まで受け継がれているのだそうです。
◆先代店主から譲り受けた家宝は、江戸時代の巨匠「鈴木其一」の掛け軸
お邪魔した自宅で、広子さんの夫で5代目店主の正美(まさみ)さん(72)が見せてくださった家宝は「富士山と鶴と松が描かれた掛け軸」です。広子さんによれば、これは「鈴木其一(すずき・きいつ)」という江戸時代の絵師の作なのだとか。
鈴木其一といえば、俵屋宗達(たわらや・そうたつ)や尾形光琳(おがた・こうりん)の流れをくむ江戸琳派(えど・りんぱ)の巨匠です。骨董好きだった先代店主から「これが一番高い品だから大事にしなさい」と言われたそうですが、しかし譲られた正美さんの方は「骨董品にはあまり興味がない」のだとか。
番組がお呼びしたプロ鑑定士によれば、この掛け軸は「鈴木其一の作で間違いない」そうです。今も非常に人気のある画家だといいますが、鑑定額は「15万円」。これは「掛け軸の価格相場自体が下がっているから」で、戦前だったら「家が一軒買えるほどの値がついていた」といいます。
◆「大人のおやつ」と呼ぶのがピッタリな「ぎんなん餅」の製造工程
宇賀アナは「ぎんなん餅」の製造現場に特別に入れていただきました。11月に収穫したぎんなんを、こちらでは手作業で毎日「800個」も剥いているのだとか。皮を剥き終わったぎんなんは水と一緒にミキサーにかけられ、液状に変わります。これを丁寧に裏ごしし、不純物を取り除いたらぎんなんの下ごしらえは完了です。
続いては「餅」の準備にかかります。熱湯にもち米の粉を入れて一気にかき混ぜるのですが、この作業が今回は宇賀アナに委ねられました。もたもたしていると粉がダマになってしまうので、手早く練らなければなりません。案の定、宇賀アナは早々にギブアップしてしまいました。
粉が餅状になったら、砂糖を加えて更に「2時間」練り、そこに液状のぎんなんを投入します。すると、見た目にも美しい「淡いグリーンの餅」が出来上がります。それを2つのヘラを駆使して型に移すのですが、宇賀アナはこの作業にも挑戦させていただきました。しかし、やはり言われたようにはできません。宇賀アナによれば「本当に難しかった」そうです。
型に移された餅は一晩寝かされてから機械にかけられ、細かくカットされます。これでようやく、明治時代から愛され続けてきた氷見市の名物「ぎんなん餅」の完成です。出来たてを試食させていただいた宇賀アナいわく「柔らかくて上品な甘さで、ぎんなんの味が最後にほんのり感じられる」。まさに「大人のおやつ」と呼ぶのがぴったりのお菓子なのだそうです。
◆好きな仕事を定年まで続けさせてもらった広子さんの「家族への恩返し」とは?
※こちらの「ぎんなんサブレ」は試作品で、まだ発売されていません。
「ぎんなん餅本舗おがや」に、2人姉妹の長女として生を受けた広子さん。子どもの頃から店を継ぐことが決まっていたそうですが、広子さんは大学の教育学部を卒業して教職に就くことを望みました。妹の裕子(ゆうこ)さん(63)が両親を説得してくれたおかげで、「10年の期限つき」ながら念願の小学校教諭となれた広子さん。しかし約束の期日が来て両親から催促されても仕事は辞められず、「家業を継いでもいい」という正美さんと見合い結婚したこともあって、そのまま定年まで勤め上げたといいます。
教諭を続けた広子さんに代わって、店はずっと正美さんが取り仕切り、17年前からは6代目を継ぐ娘夫婦も手伝い始めているそうです。「好きな道を最後まで歩めたのは夫や娘夫婦のおかげ」と感謝する広子さんは、その恩に報いるべく「残りの人生は店のために費やそう」と考えているのだとか。そのために計画しているのが「古くなった店舗の建て替え」。退職金を全額つぎ込み、来年3月から工事を始めて、10月には開店できるようにしたいそうです。
「跡を継いでくれる娘夫婦のため、『若い世代が気軽に入れるような明るい店』へリニューアルしたい」と語る広子さん。それに向けての“新商品”も考案済みだといいます。広子さんが考えたのは「ぎんなんを使った洋菓子」。宇賀アナが見せていただいた試作品は、生地にぎんなんの粉末が練り込まれた「イチョウの葉の形をしたサブレ」でした。
商品に“洋”の要素を取り入れるのは、店の長い歴史の中で初めてのことなんだとか。商品名も価格もまだ未定で、リニューアルオープンまでに味にも更なる改良を加えていくといいます。自分たちのために奮闘してくれている広子さんに対し、娘の美名子(みなこ)さん(42)は「母の気持ちをしっかり受け継いで、私たちも後の世代に店を託せるよう頑張っていきたい」と感謝の思いを語っておられました。
◆守るためには攻めることが必要
今回、広子さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「守るためには攻めることが必要」でした。まさにこの前向きな考え方が「初の洋菓子開発」や「店舗リニューアル」といった“挑戦”の源泉となっているのです。「これからは娘夫婦が店をうまく引き継げるよう“攻めて”いきます」と広子さんは語っておられました。
※ぎんなん餅本舗おがや
住所/富山県氷見市比見町6-17
TEL/0766-74-3000
営業時間/7:30~19:30
定休日/1月1日