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「謙遜なし」で勝ち取った東京五輪 レジェンド通訳が語る “プレゼンの真髄”

テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。

現在は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して全国各地を駆け巡って応援している。

©テレビ朝日

今回、修造が応援すべく会いに行ったのが長井鞠子さん(75歳)。サミットや要人の会見など、日本の外交の最前線で活躍してきた日本通訳界の第一人者だ。

2020年の東京五輪が決まったあのプレゼンテーションでは、同時通訳として招致チームに帯同した。その情熱の根底にあるのは“オリンピックラブ”だ。

©テレビ朝日

「1964年の大学生だった時に、東京五輪の通訳を致しまして、それが私のキャリアの原点。それから長野の五輪招致活動で通訳をして、2020年東京五輪の招致活動も致しました。オリンピックが大好きだから出来たと思っています。オリンピックラブです。」(長井さん)

◆日本人らしい“謙遜”をあえて封印

修造をも圧倒する勢いで、五輪への愛情を熱弁する長井さん。2020年東京五輪が決まった最終プレゼンの舞台裏を明かしてくれた。

「実際にプレゼンが終わった瞬間に『あ!これはもう絶対にもらった』と思いました。というのも、練習してきた通りのベストが、その時にきたんですよね。」(長井さん)

プレゼンに向けて、1週間以上前から現地で招致メンバーの英語の発音を指導。安倍首相らの質疑応答の通訳も担当し、あらゆる質問を想定した上で英単語を調べ臨んでいた。

その中でも特に意識していたのは、日本人らしい“謙遜”をあえて封印することだったという。

Kyodo News/Getty Images

「普通の通訳の時と、招致活動の通訳では、ちょっと違う所があるんです。言っていけない言葉、例えば「弱い」=「weak」そういう言葉は、なるべく使わない。ポジティブな言葉で訳さなければならないんです。ある意味で、招致活動っていうのは日本人に似合わない所があって。すごく前向きに『お任せ下さい!』『私に任せてくれたら、全部できます!!』というのが“招致の真髄”なんですよ。」(長井さん)

この結果、2020年東京五輪に向けた招致では、謙遜を一切せず、ポジティブに日本チームの情熱を伝えることができたのだ。

◆『Why TOKYO?』リオに敗北の悔しさ糧に

また、今回の成功のウラには、4年前の2016年大会招致でリオに負けた経験もあったという。

Ian Walton/Getty Images

「南米での初開催を目指したブラジルに比べて、なぜ東京でやらないといけないのか、『Why TOKYO?』が分からなかったと間接的な意見を何度も聞きました。でも2020年の招致では『日本人がこんなにパッションを持っているとは思わなかった!』とIOC(国際オリンピック連盟)の方々が何人もおっしゃったんですよね。そのパッションは私の英語だぜ!と言いたいですけど…。」(長井さん)

ここでも謙遜さを封印し、明るく招致成功の裏側を語った長井さん。この道50年以上の経験も踏まえながら、通訳そのものについての考えも教えてくれた。

「通訳には2つスタイルがあって、1つはロボットと言っては悪いけれども、無機質にモノトーンに訳す通訳。それからもう1つは“乗り移り型通訳”というのがあって…」(長井さん)
「鞠子さんは乗り移り…」(修造)
「当然です!」(長井さん)

そこで、長井さんに修造の2020年に向けた宣言を急きょ“乗り移り通訳”してもらうことに。

©テレビ朝日

「2020年、松岡修造は出し尽くして灰になる!日本人全員が目標を持って、できる宣言してほしい!」(修造)

そう強く宣言する修造の横で、「灰になる」を「burn out」と表現するなど、長井さんはまるでもう1人の修造のごとく熱く英語で訳し切った。

©テレビ朝日

そんな長井さんの2020年に向けたできる宣言は「言葉で人と人をつなぎ、鞠子は灰になる!」“オリンピックラブ”の2人は共に2020年、“灰になる”ことを誓った。<制作:TOKYO応援宣言>

※番組情報:『TOKYO応援宣言
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系