ボツワナ代表を東京五輪へ。弱小チームで夢追う日本人女性
テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。
現在は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して全国各地を駆け巡って応援している。
8月、千葉県で行われたソフトボール世界選手権の会場を訪れた修造は、驚愕の光景を目にすることとなった。何と試合中にベンチの選手たちが歌っているのだ。
彼女たちはボツワナ代表。世界ランクは33位(2018年9月時点)で、今回の世界選手権では8戦全敗。そのうち7試合はコールド負けを喫した。
この弱小チームを指導する中に1人の日本人がいる。中村藍子コーチだ。もちろん、2年後に迫った東京オリンピックを目指している。
「他の人たち100人中100人が無理だろうって言うと思いますけれど、そこにチャンスがあるんだったら、チャレンジしない手はないですよね」(中村さん)
◆いつでも陽気な選手たちとの“葛藤”
中村さんは、もともと選手としてオリンピック出場を目指し、33歳まで現役を続けたものの、最後まで夢にはたどり着けなかった。
それでも引退後、ソフトボールの指導にかかわっていきたいと思っていた矢先、見つけたのがアフリカ・ボツワナでのコーチ募集だった。
ボツワナという国自体知らなかったが、「日本にいる優秀な指導者はなかなか海外には行きたがらない。じゃあ、自分がいけばいい」と挑戦を決意。
そのボツワナの地で目の当りにしたのは、見たことのないソフトボールだった。真剣に取り組むべき練習中、負けている試合中でも彼女たちは歌っている。
「日本では忘れがちな純粋に楽しむという点では誇れるかなと思います」(中村さん)
いつでも陽気なボツワナの選手たちの“良さ”を理解しつつも、一方では彼女たちの勝利への執念に物足りなさを感じていた。
「陽気さを排除してしまったら、彼女たちのいいところってなくなってしまうと思うんですね。だから葛藤しました…」(中村さん)
◆「You can do it!」で“勝った”日本戦
日々葛藤と闘いながら、選手1人1人と向き合い、勝つために必要な “チームプレーの重要性”を根気よく伝え続けてきた。その中で大切にしている言葉がある。
それが「You can do it!」だ。
「あなたにもできる!怯えなくていいから、ベストを尽くせ!という思いですね。」(中村さん)
今回の世界選手権では、そんな中村さんの思いが選手たちに通じた場面があった。
予選での日本戦の1回裏。先頭バッターがヒットで出塁し、続くバッターがチームで1点をもぎ取るべく、送りバントを敢行したのだ。結果は、自らもセーフになる絶妙なバントだった。
「見た瞬間に『あ、今日の日本戦は勝った!』と。スコアは負けていますけど、日本の選手から1本ヒット打って1本バント決めたから、勝ちと思っていたので」(中村さん)
試合は0-20と大差で負けたものの、チームも自分自身も日々成長をかみしめている。
「多分選手たち以上に、私がいろんな経験を得られていると思います。幸せすぎて怖いくらい、本当に幸せです」(中村さん)
「ボツワナ代表を東京オリンピックに連れていきたい!」2020年に向けて、できる宣言をした中村さんに、修造は「藍子なら、You can do it!」と力強くエールを送った。
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系