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トヨタのタナック、圧倒的な強さ!王者オジェも脱帽【WRC:ラリー・ドイチェランドDAY2結果】

現地時間の8月17日、WRC(FIA世界ラリー選手権)の第9戦「ラリー・ドイチェランド」のデイ2が開催。SS2からスタートし、3カ所のSSをそれぞれ2本ずつ走る形で6本のSSが行われた。

©TOYOTA GAZOO Racing

天候が変わりやすいことで知られるラリー・ドイチェランドだが、この日は雨などもなく安定した天候となった。

そんななか圧倒的なパフォーマンスを見せたのが、トヨタのマシン。ライバルのセバスチャン・オジェはこの日のラリー終了後、トヨタチーム代表のトミ・マキネンと談笑し、トヨタのエンジンパワーが凄いとライバルを褒め称えた。

結果、この日のトップは6本のSSのうちSS3からSS7までの5本連続でステージトップを獲得したトヨタのオット・タナック。2位には12秒3遅れでセバスチャン・オジェ(フォード)、3位には27秒4遅れで現在ランキングトップのティエリー・ヌービルが続いた。

以下、4位にエルフィン・エバンス(フォード)、5位にヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)、6位にダニ・ソルド(ヒュンダイ)と、上位6台をトヨタ・フォード・ヒュンダイがそれぞれ2台で分けた格好だ。4つめの自動車メーカーであるシトロエンは、クレイグ・ブリーンが8位と他の自動車メーカーから出遅れている。

©WRC

このタナックの速さには王者オジェも脱帽状態で、ラリー後のインタビューでは次のようにただ笑うしかないという状態でコメント。

オジェ:「僕たちの調子は良いよ。マシンもいい感じだし、僕の思ったとおりの動きをしてくれていて走りも楽しめている。ただストレスが溜まるのは、ステージ毎に終わってみると、ほんの僅かだけど負けているんだ。

ただ、それはそれ。明日はまた違う1日になるだろうからね。路面状態は変化するし、作戦も変更される。3位のヌービルにリードを保っていることに彼はショックを受けているようだけど、僕は僕でベストを尽くしているから。いくつかのポイントでは限界まで攻めたつもりだ。ただ、それでも、僕の前にタナックがいるんだよ」

この王者からの最大の賛辞を直接受けていたトヨタチーム代表のマキネンは、オジェが「いまのトヨタのパッケージを打ち破ることは本当に難しい」と語ったことを問われる。

マキネン代表:「マシンだけじゃなく、ドライバーたちも素晴らしいパフォーマンスを見せた結果だね。マシンに対して信頼と自信を持って対応している。だから外から見ると簡単に何事もできているように見えるのだろうね。タナックは素晴らしいドライバーだし、彼は本当にギリギリのレベルを常に保って走っている。それが結果につながっていると思う。

ここに来て、トヨタのチャンピオンシップの可能性が囁かれているが、確かに残りのラリー数はまだあるし、シーズンに何が起きるのかは誰にも予想がつかない。それでも、チャンピオンシップ争いは大変な戦いだ。僕たちはベストを尽くすよ」

このように、WRC関係者のなかでトヨタがチャンピオンシップを獲得する可能性が出てきたと注目度が高まっていることへ肯定も否定もしなかったが、チャンスさえあればチャンピオンシップを狙う意思がハッキリと感じられた。

©TOYOTA GAZOO Racin

トップのタナックは、次のようにコメント。

タナック:「今日のパフォーマンスはすごく良かった。マシンの状態もすごく良い。ただ僕にとっては、いまのような常にトップ争いという状態は初めての体験で戸惑うこともあるけど、すぐに順応してみせるよ。あと、午後の走りは楽しめたけど、じつは路面状態はトリッキーだった。それでも良いリズムを保てたことが大きい。終わってみれば確かにリードがあるけれど、各ステージのタイム差はほんの僅かで、楽な戦いではないよ」

このように、調子の良い状態が続いていることへの新たな感覚を楽しんでいるようだ。

ひとり苦虫を噛み潰したような顔でインタビューを受けていたのがティエリー・ヌービル。「もちろんベストを尽くしているよ。だけど、タイムは出てない。午後はギヤボックスやデフにも小さなトラブルがあったしね。ただ週末はまだあるし、ここはタイヤマネージメントが難しい。明日も長い1日となるはずだから、上手にマネージメントしたいね」と、その言葉に力はなかった。

好調トヨタの快進撃は続くのか。ラリー・ドイチェランドのデイ3は、SS8からSS15、合計8本のSSを予定。土曜日、SS8の現地スタート時間は午前8時48分(日本時間は午後3時48分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>