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【話題沸騰!ドラマ『しあわせな結婚』】阿部サダヲ&松たか子&脚本・大石静、3人が第2話までを裏話たっぷりで語り尽くす

【話題沸騰!ドラマ『しあわせな結婚』】阿部サダヲ&松たか子&脚本・大石静、3人が第2話までを裏話たっぷりで語り尽くす

脚本・大石静、主演・阿部サダヲ、ヒロイン・松たか子が集結。7月17日(木)にスタート、24日(木)には第2話が放送されたドラマ『しあわせな結婚』

テレビにも出演する人気弁護士の主人公・原田幸太郎(阿部)は、元来のひとり好きから50年間独身主義を貫いてきたが、番組出演中に倒れて緊急入院した病院で初めてとてつもない孤独感に襲われる。

そんなとき、病院のエレベーターで偶然出会ったのが、高校の美術教師・鈴木ネルラ(松)。

この運命の出会いでネルラの魅力にすっかりハマッた幸太郎は、結婚観を大転換させることに。退院の日、顔を合わせるのは二度目ながらいきなり「うち行きませんか?」と迎えに来たネルラと、まさかの電撃結婚をはたす。

こうして、ちょっと不思議な妻としあわせな結婚生活をスタートさせたが、結婚後、少しずつ明らかになっていく妻の“大きな秘密”。平凡な結婚だと思っていたのに……幸太郎の人生は大きく狂わされていく。とてつもなく大きな妻の秘密を知ってもなお、愛し続けることができるのか?

夫婦の愛を問う完全オリジナルホームドラマで、令和の“マリッジ・サスペンス”でもある本作。24日(木)放送の第2話までの内容を受け、脚本・大石静、主演・阿部サダヲ、ヒロイン・松たか子の3人にインタビューをおこなった。

これまでの名シーンの裏側や解釈、キャラクターの魅力や掘り下げがたっぷり語られ、7月31日(木)放送の第3話への気になる“予告”も飛び出している。<取材・文/木俣冬>

◆歩き方、寝相、クロワッサン…ネルラの“あのシーン”の裏側

――第2話のお話を中心に振り返っていただきますが、その前に第1話で気になったことがあります。ネルラが好きと話していた「股関節の女」という絵と画家は存在しているのでしょうか。

大石静(以下、大石):「これは私の創作です。テレビは嘘をついていけない(視聴者を勘違いさせてはいけない)という考え方をするプロデューサーや監督もいますが、このチームは「『股関節の女』? 面白いからやってしまいましょう!」みたいなノリの良さでした。

阿部サダヲ(以下、阿部):「僕は検索してしまいました(笑)」

――この絵の話は、第1話劇中のある朝、ネルラの股関節がおかしくなっているときに語られます。黒崎博監督がメイキングで「左足だけチャップリンみたいな歩き方」とリクエストしたら、松さんがすぐにやっていてすごいと思いました。

松たか子(以下、松):「黒崎さんの思いに応えられたのかわからないのですが、その場で出来る限りの何かしらをやってみただけで……」

阿部:「最後に松さんと『いってらっしゃい』と言いながら同じポーズをとるのも黒崎さんの提案でしたよね。松さんの動きはどれも面白かったです。ああいう松さんを今まで僕は見たことがなくて。クロワッサンを食べるシーンも寝相も、どれも大胆なのがいいなあと思います。クロワッサンをあんなに豪快に食べるなんてびっくりしました(笑)」

松:「幸太郎がクロワッサンのパンくずを手で取ると台本に書いてあったので、取ってもらえるように食べようとしただけなんですよ。それも探り探りで……」

――クロワッサンのことを回想しながら、ネルラが幸太郎の膝に足を乗せていくのも面白かったです。

大石:「台本にはそこまで書いてなくて、ふたりがお芝居で自然とやられたことだと思います」

阿部:「クロワッサンを食べながら『本当は抱きつきたかったの』とネルラが言って、その回想明けで『もっと激しくしてもいいよ』と幸太郎が寝室に行こうという気持ちになってきたところに、ビーフシチューのシャバシャバ話をしながら足を乗せてくるズレ感。交わしているのか交わされているのかわからないところも面白かったですね」

――第2話でも登場した“ネルラの寝相”も特徴的ですが、松さんは寝相のパターンをいろいろ考えていますか?

松:「スタッフの方もいろいろな寝相のシミュレーションを事前にしていたようで、いろいろ提案してくださいました」

大石:「私のイメージとしてはもっと寝乱れてほしい。もっと独創的な寝相がいいな(笑)」

――今後も寝室シーンは定番になりますか。

大石:「ふたりの真ん中に『しあわせな結婚』と出ますからね。あのタイトルの出方はセンスがいいですよね」

◆阿部サダヲ×松たか子のシーンが「やっぱりこの作品の目玉」

――第1話ではネルラの不思議な感じが強調されて、第2話では彼女に殺人容疑がかかっているという深刻な展開になっていきます。幸太郎に尋ねられて「今は言えない」とネルラが言いますが、第2話でついにネルラが過去を話し出す場面は緊張感がありました。演じてみていかがでしたか。

阿部:「ふたりの会話の合間に、ネルラの元恋人である布施(玉置玲央)とネルラの回想シーンが入ります。その映像を僕は見ないで演じていたのですが、完パケを見て回想シーンとのバランスを考えたら、聞き方や反応をもっと違うふうにしても良かったかなあと反省しました。……本当ですよ。僕だって反省するんです(笑)」

松:「今回、阿部さんだからできたと思うシーンがいくつかあって。その場面もそのひとつでした」

――幸太郎はネルラをいつどういうわけで好きになったのでしょうか。

阿部:「退院したとき、迎えに来て『うち行きませんか?』と言って、口に手をやる。その顔と仕草に完璧にやられたのだと思います。理由はなく、ただ好きになっちゃったんでしょうね。だからもうこの人を守るしかないという気持ちになったのだろうと。

でもまだ第2話ですから、この先、どうなるか分からないですよ。絶望的な状況なはずなのにもかかわらず第3話ではのんきに家族旅行に行っちゃうし(笑)」

大石:「ネルラは一言で言えばミステリアスですが、松さんに演じていただいたことで独特の魅力が加わりました。松さんには、歌舞伎役者のお家に生まれた宿命の堂々とした雰囲気があります。と同時に儚さがあって。ネルラの実体がつかめない感じを見事に表現してくださっています」

――第2話で、幸太郎のテレビ出演のあと、ネルラが髪の毛を切ろうとハサミを持って待ち構えている。松さんはあの場面をどう演じられたのでしょうか。

松:「先入観があると怖く見えるでしょうけど、ネルラ自身はただ、ちゃんと切ろうというだけなんですよね。阿部さんと向き合って芝居をしていくなかで、結果としてユニークな女性に映ってしまうだけなんですよね。意識して人と違ったことをしているわけではなさそうだと思っています。普通に人としての幸せや平和な暮らしを願っているのではないかなと」

――ネルラは基本的には真面目な人なのですよね。

松:「いたって真面目なところもあるんですけど……。その存在自体はとても不思議で。そのため世の中を敵に回しがちになってしまう。常識や世の中の視線に囚われていないのでしょうね。視野が狭いのか、幸太郎さんと出会ってからは、彼にフォーカスを合わせ彼のことだけただただ気になっている。そういうところは真面目にやろうと思っています」

――愛情が先立っているのでしょうか。幸太郎に助けてほしくてすがる気持ちみたいなのもあるのでしょうか。

松:「愛情もあるのでしょうけど、でもそれを愛情と堂々と言っていいのかためらうような過ごし方をしてきたところがネルラにはあって。そういうところを無償の愛で包んでくれる幸太郎さんがいいのかもしれないと感じながらだんだんと変化していくのかなと、いまは思っています」

――幸太郎と一緒にオムライスを作るシーンでは、このしあわせ感がずっと続いたらいいのにと思います。

松:「黒崎さんもふたりのしあわせ描写をとても大事にやりたい。しあわせなところは徹底的にしあわせに描きたいとおっしゃっていました」

阿部:「撮影当日にオムライスを作って、と言われて練習しました」

大石:「上手にできてた」

阿部:「よかったです。料理指導の先生がスタジオのコンロが火加減が難しいとおっしゃっていて。それじゃあ僕にはますます無理じゃないの?と心配だったんですよ」

――松さんはオムライスを作るのは得意ですか?

松:「得意ではないです。家では滅多に作らないです、オムライス。卵をたくさん使いますから。オムライスを作れる男性、すてきですね」

大石:「おふたりの芝居のリズムがとてもいいです。ふたりのシーンがやっぱりこの作品の目玉です。サスペンスの謎解きとかじゃなくて、幸太郎とネルラのシーンをもっとたくさん見たいと視聴者の皆さんが思ってくださるように作りたいと思っています」

◆豪華共演陣への印象、大石静「まず私はホームドラマをやりたかった」

――段田安則さん、岡部たかしさん、板垣李光人さん演じるネルラの家族が登場するシーンも評判です。

松:「家族で食事をするシーン、楽しいです。セリフが少なく食べているだけのシーンがこんなに楽しいことはなかなかなくて新鮮です。ネルラとしてはもちろん幸太郎さんを世界の中心に見ていますが、松たか子としては、段田安則さんの安定感、岡部たかしさんのおもしろさ、ベテランのなかにいても引けをとらない板垣李光人さんに感心しながら、食卓に座っています。

話す代わりに耳をそばだてたり、セリフの代わりに食べる仕草に意味をもたせたり、みなさんがいろいろ工夫されているんです」

大石:「このドラマを作るとき、まず私はホームドラマをやりたかったんです。最終的にホームドラマだけでないミステリー要素なども加えることになったのですが、ホームドラマは、私が小さい頃、“テレビドラマ=ホームドラマ”のようなところがありました。食卓のセットを中心に、3つくらいのセットだけで見せていくだけでもとても面白かった。

それを見て育ったので、自宅で見るドラマの王道はホームドラマだと思っていて。阿部さんや松さんや段田さんが参加してくだされば、そんなホームドラマを作ることが可能ではないかと思ったんです」

――ほかに刑事・黒川役の杉野遥亮さんと布施役の玉置玲央さんも印象的です。おふたりの印象もお聞かせください。

阿部:「玉置さんとは僕は撮影でお会いしていないのですが、杉野さんのアプローチは面白いです。彼が演じる黒川はめちゃくちゃ自信を持っているんですよ、『絶対捕まえてみせます』って。幸太郎の車の中に入ってくる積極性も面白い。本人はめちゃくちゃ緊張する人らしいのですが(笑)」

松:「杉野さんは絶妙な距離感を持っていると感じます。自分でいろいろなイメージを考えていらっしゃっていて、こちらの芝居に対するリアクションに意外性があって面白いです」

大石:「杉野さんは、阿部さんと松さんに可愛がってもらって本当に幸せそうに芝居をしていると感じます」

――玉置さんはいかがですか。

松:「初めて共演するのですが、アトリエでのシーンを撮ったとき、ロケセットを見て『あっ、これはしあわせになれない』と思いました(笑)。芸術家の危うさとかを感じたというか…。玉置さんはそういう面を素敵に演じていると感じます」

大石:「玉置さんは大河ドラマ『光る君へ』(2024年/NHK)で悪役だったので、次はそうではない役をと思っていたら、またちょっとこわい役になってしまって。だから、布施とネルラのしあわせな時代もいっぱい描きました。ふたりの若い時代のしあわせなシーンを。まだ台本が渡っていないと思いますが」

阿部、松:「へー(驚き)」

大石:「私はいつもこの作品に出てよかったと俳優さんに思ってもらいたいと願って書いているところもあるんです。また、素敵な俳優さんたちと仕事をすれば私の力もより発揮されます。ドラマは集団で作るものですからね」

◆主人公・幸太郎は「この世の夢」

――今の段階で、阿部さん、松さんが大石さんから“愛されているな”と思ったセリフやシーンはどこでしょうか。もちろん全部でしょうけれど、特に印象的なところを教えてください。

阿部:「朝まで書いていると伺っていますし、その力の注ぎ方がすごいですよね。家族のシーンはみんなのことが好きなんだなと感じます。だからこそ面白いんですよ、毎回。結構ヒリヒリしたシーンもあるので、ほっとする場面があったほうがお客さんも多分見やすいだろうという狙いもあるのかな。あとはやっぱり第2話の代役のシーンは、幸太郎が巻き込まれていく芝居を面白がってくださっているのかなと感じました」

松:「全部に愛を感じます。本当に面白いセリフがたくさんあって。それをちゃんと表現できているかが常に心配なぐらい面白いです。また、自然でリアリティのある場面があったかと思うと、ある瞬間、そういうものをすっ飛ばすところもあって。それらが絶妙に入り組んでいることが魅力的です。このドラマに加えていただいて本当に嬉しいです。

ネルラにとって、“しあわせな結婚”だと幸太郎さんが思ってくれることがしあわせですから、幸太郎さんが心底そう思ってくれれば、ネルラとしてはもう満足かもしれません」

――第2話のラスト、「俺が守る」というときのお互いの表情も印象的でした。

大石:「幸太郎の法律家としての生き方が、私たちのドラマの隠れテーマです。でも一方で、幸太郎の存在はこの世の夢として描きました。

学歴も高く教養もある弁護士の幸太郎が、時々喧嘩をしながらも、ずっとネルラを好きでいる。愛し抜く。そんな男性は現実にはなかなかいないですよね。視聴者の皆様にとっても、幸太郎の存在がこの世あらざる夢となることを願って、最後の方も書いています」

松:「幸太郎さんは本当に夢みたいな男性だと思います。よく、夢のような女性や理想の女性像が描かれますが、ここまで夢のように理想的な男性像を潔く描く作品はなかなかない気がして、すてきなことだと思います。幸太郎さんのような男性と結婚できる役を演じることができるなんて私はとてもラッキーだなと思って満喫しています(笑)」

阿部:「第2話のラストの幸太郎は、立ち向かっていく!みたいな顔になっていましたよね。僕としては第3話の展開を知ったうえで演じました。第3話の終わりはすごい展開になりますよ」

※ドラマ『しあわせな結婚』は、TVerにて無料配信中!(期間限定)

※動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」では過去回も含めて配信中!

※番組情報:『しあわせな結婚
毎週木曜よる9:00~、テレビ朝日系24局

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