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宇賀なつみアナ、名誉を背負い挑戦!岐阜県の老舗店で「158年の歴史上、初めてのこと」

いま知っておきたい話題や気になるニュースをお届けする朝の情報番組『モーニングショー』では、月~金の日替わりコーナーが放送されています。

水曜日は、宇賀なつみアナウンサーが、伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性から人生を素敵に過ごす秘訣などに密着する名物コーナー「継ぐ女神」をお届け。

6月20日(水)の放送では、岐阜・大垣市で158年続く「田中屋せんべい総本舗」6代目女将・田中亜希子(たなか・あきこ)さん(39)に、宇賀アナが迫りました。


「みそ入大垣せんべい」厚焼4枚(袋入り)、二ッ折4枚(袋入り)、四ッ折4枚(袋入り)、すべて540円(税込み価格)

◆宇賀アナの歯が立たなかった「みそ入大垣せんべい」

「田中屋せんべい総本舗」で創業以来作られ続けてきたのは、“日本一硬いせんべい”と自称する「みそ入大垣せんべい」。通常のせんべいを四つ折りにすることで、いっそう硬くしているのだそうです。「歯の弱い方のお召し上がりにはご注意ください」と注意書きのあるこのせんべい、宇賀アナは歯が立たなかったそうですが、長年食べ続けている地元の皆さんは難なく噛み砕いておられました。

◆先々代当主が若い頃から支援していた“日本画の第一人者”の作品とは?

宇賀アナは、築およそ80年という風格ある店舗とつながった、亜希子さんの自宅に上がらせていただきました。こちらで田中家の家宝を見せてくださったのは、亜希子さんの夫で6代目当主の裕介さん(44)です。

その“お宝”とは、地元・大垣市出身の日本画家・守屋多々志(もりや・ただし)の絵画。しかし亜希子さんは、「田中家に嫁いでくるまで名前すら知らなかった」そうで、あまり高価な品とは思っていない様子です。その値打ちを、裕介さんが「100万円」と見込んでいるのに対し、亜希子さんは「5~6万円」とかなり低く見積もっていました。

というわけで、番組恒例の「プロによる鑑定」を実施しました。鑑定士によれば、守屋多々志は「昭和から平成にかけての日本画の第一人者で、2001年には文化勲章も授与された画家」なんだとか。そんな大家の作品の鑑定額は、裕介さんの見込みに近い「90万円」でした。この結果には亜希子さんもビックリ。裕介さんはガッツポーズで喜びを表現していました。

実はお店の先々代当主が、守屋多々志を若い頃から支援していたそうで、田中家には全部で8点もの守屋作品が保存されていました。それらは合計で「450万円」もの価値があるといい、裕介さんは自身の鑑定眼におおいに自信を持った様子でした。

◆伝統の「みそ入大垣せんべい」がとても硬くなった理由とは?

宇賀アナは、158年間“硬さ”にこだわってきた「みそ入大垣せんべい」の製造現場へ特別に入れていただきました。伝統の味の決め手は「白味噌」です。まだ砂糖が高価だった昔、自家製の白味噌を生地に練り込んで甘さを出していたといいます。

生地が練り上がると、裕介さんはお客様からよく見える店内で、せんべいを焼き上げていきます。鉄板は160℃くらいまで熱せられているそうで、宇賀アナいわく「近くにいるだけで暑い」。裕介さんは当たり前のように素手で焼いていきますが、宇賀アナは熱くてまともに触れられませんでした。

せんべいの型にのせられた生地は13枚を同時に焼いていきます。目を離せばすぐに焦げてしまうため、高い集中力が要求されます。熱気に耐えつつ神経を集中させるという、かなり骨の折れる作業です。硬く焼き上げる秘訣は、裕介さんによれば「普通のせんべいの倍近い時間(8分間)をかけ、水分をじっくり飛ばしていくこと」だそうです。こうすることで「生地がギュッと締まり、冷めたとき硬く仕上がる」のだとか。

宇賀アナは今回特別に焼き作業にチャレンジさせていただきましたが、実はお店の方以外がこれを行うのは「158年の歴史上、初めてのこと」なんだとか! そんな名誉を背負いながらのチャレンジでしたが、わずか1枚分を型に入れるだけでも大苦労。とても13枚をいちどに焼くことなどできませんでした。ようやく焼き上がった1枚は、生地が足らずに通常よりも小さくなってしまいました。これを熱いうちに四つ折りにすれば、伝統の「みそ入大垣せんべい」がどうにか完成です。

「みそ入大垣せんべい」がどうしてこんなに硬いのか、裕介さんがそのわけを語ってくださいました。それによると、「江戸時代、庶民にはとても貴重だった“甘味”をより長く口の中で楽しめるようにと、あえて硬くした」というのが始まりなのだとか。お客様への思いやりが、伝統の硬さの理由だったのです。とはいえ宇賀アナに四つ折りは硬すぎるので、折っていないものをいただきました。その感想は「噛みごたえがあって、香ばしくて美味しい」でした。

◆経営立て直しに貢献した、亜希子さんの“普通の女性”としての感覚と発想

「キャラメル煎餅 まつほ(箱入り5枚)」1350円、「せんべいびー(プレーン・いちご・コーヒー・ミント・抹茶)」各40g・432円
※すべて税込み価格。単品は店頭のみで販売。詳しくは店舗までお問い合わせください。

亜希子さんが老舗せんべい屋へ嫁いできたのは29歳の時。先代当主は本業よりも洋菓子店やレストランの経営に力を入れていましたが、亜希子さんが来た頃にはすでに赤字状態だったそうです。そこで亜希子さんと裕介さんは本業以外の事業をすべてやめ、せんべい作り一本に絞って経営を立て直すことにしました。

経営立て直しに大きく貢献したのは、意外にも「老舗とは無関係に育ってきた普通の女性」としての亜希子さんの自由な発想力と“女子力”だったといいます。「女子人気の高いスイーツである“キャラメル”を伝統のせんべいと合わせれば、“新感覚のお菓子”として若い女性にウケるはず!」という亜希子さんのアイデアを裕介さんは採用し、試行錯誤の末に生み出したのが、キャラメルせんべいの「まつほ」でした。

「焼き上がったせんべいにキャラメルを塗り、フランス産の塩を振ってからオーブンでもう一度焼く」という手間暇のかかる商品であるため、裕介さんは当初「1枚300円」にするつもりでした。しかし、ここでも亜希子さんの“普通の女性としての感覚”が発揮されました。「税込み300円を超えてしまったら主婦には買えない」と主張し、「税込み1枚248円」にさせたのです。これが見事に当たり、「まつほ」はなんと「年間7万枚」を売り上げる大ヒット商品になりました。

亜希子さんが生んだヒット商品は他にもあります。裕介さんが開発し、「利休」と名付けて発売するも売れなかった“抹茶味せんべい”を、マイナーチェンジすることで人気商品に変えたのです。サイズを改め、パッケージを“携帯しやすく保存も効くジッパー付き”にし、商品名を「せんべいぴー抹茶味」に変更したところ、たちまち女性客の注目が集まり始めたのだとか。

せんべい作りのプロとして、作った物への思い入れが強すぎるあまり、裕介さんはつい商品名などに凝りすぎてしまうそうです。しかし亜希子さんは「古臭かったり小難しかったりすると若い方を遠ざけてしまう。ネーミングは可愛らしい方が良い」という “一般人感覚”で、夫の込めた熱量を調整するのだそうです。

◆プロになればなるほど、思い入れは強くなる。だけど最後は、普通の感覚が大事

今回、亜希子さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「プロになればなるほど、思い入れは強くなる。だけど最後は、普通の感覚が大事」です。

まさに亜希子さんはこの言葉通り、プロ中のプロである裕介さんとお客様の間に立ち、夫のこだわりを尊重しつつ、“普通の人の感覚”でユーザーのニーズを的確にくみ上げておられます。様々なヒット商品も、亜希子さんのこの作業があったからこそ広く世に受け入れられたというわけです。

※田中屋せんべい総本舗
住所/岐阜県大垣市本町2-16
TEL/0584-78-3583
営業時間/9:30~18:00(日曜日は17:00閉店)
定休日/年中無休(年始休業あり)