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自由で新しい才能を発掘!「テレビ朝日新人シナリオ大賞」、第18回の受賞者を発表

『テレビ朝日新人シナリオ大賞』(主催・テレビ朝日、後援・朝日新聞社、BS朝日、東映、幻冬舎)の第18回受賞者が決定し、6月11日(月)に東京・港区六本木のテレビ朝日本社内で、決定発表記者会見と授賞式が行なわれた。

©テレビ朝日

2000年7月に創設して以来、数多くのシナリオライターを輩出してきた「テレビ朝日新人シナリオ大賞」。第2回大賞受賞者、古沢良太(こさわ・りょうた)氏は映画『ALWAYS 三丁目の夕日』『探偵はBARにいる』シリーズや、ドラマ『リーガルハイ』『コンフィデンスマンJP』(いずれもフジテレビ)などで知られる人気脚本家だ。

また、第6回優秀賞受賞者の坂口理子(さかぐち・りこ)氏は、2013年公開のスタジオジブリ製作のアニメーション映画『かぐや姫の物語』の脚本を手がけ、朝の連続テレビ小説『マッサン』(NHK)にも脚本協力として参加。最近では、映画『恋は雨上がりのように』(2018年5月公開)、映画『この道』(2018年秋公開予定)の脚本も手がける。

さらに、第9回ファイナリストの伊藤洋子(いとう・ようこ)氏もテレビ朝日のドラマ『遺留捜査』『刑事7人』などの脚本を担当し、活躍を続けている。

 

◆優秀賞2篇、奨励賞1篇が決定

©テレビ朝日

今回の第18回大賞には全3部門で計1414篇の応募があり、第1次選考は日本脚本家連盟に所属する脚本家の方々によって行われ、189篇が通過。

第2次、第3次選考は、テレビ朝日のプロデューサー、ディレクターなどで構成された“社内選考委員会”によって審査が行なわれ、第3次選考で9篇に絞り込まれた。

そして、2018年5月24日に選考委員の井上由美子、岡田惠和、両沢和幸の3氏による最終選考会がテレビ朝日本社で行なわれ、3篇の受賞作品が決定。

今回は大賞該当作はなく、優秀賞に松本稔(まつもと・みのる)氏の『はとポップ!』(テレビドラマ部門)、川瀬太朗(かわせ・たろう)氏の『ハッチ&ハイク』(映画部門)の2作が、奨励賞に板谷将行(いただに・まさゆき)氏の『風に吹かれて』(配信部門が選ばれた

 

◆28歳から52歳まで! 3名の受賞者が喜びを語る

優秀賞の2人は「今年53歳になりますが、比較的将来の少ない男に“新人”と名のつく賞を与えていただいてとても感謝しています」(松本稔さん)、「今、妻が妊娠中で、たくさんテレビドラマを録画しているのを見て、テレビドラマには“力”があるなと感じています」(川瀬太朗さん)と、挨拶。

また、奨励賞に選ばれた板谷将行さんは5年前、人気脚本家・中園ミホ氏から激励を受けたエピソードを告白。「“キミは売れると思うから5年、頑張って”と言われ、ちょうど5年経った今年、この賞をいただくことができました。“先見の明”があったんだなと思いました(笑)」と話し、会場の笑いを誘った。

なお授賞式では受賞者の3人にテレビ朝日代表取締役会長兼CEO・早河洋より賞状と賞金の目録が贈られたほか、最終選考委員の3氏から副賞が手渡された。

 

◆「テレビドラマには“力”があり、多くのみなさんから期待されていることを感じています」

©テレビ朝日

【優秀賞】
※松本稔(まつもと・みのる)氏/タイトル『はとポップ!』(テレビドラマ部門)
「私は今年53歳になりますが、比較的将来の少ない男に“新人”と名のつく賞を与えていただいて審査員の先生方、テレビ朝日の方々にとても感謝しています。僕が描いた作品は、女子高生が鳩を拾って助け、鳩を見つめる…という地味な物語ですが、小さいものを見つめるということは他者を認め、ありのままを認めることに繋がるのではないかと思っており、これからもそんな小さな物語を描いていくことができたらと思っています。

(賞金の使い道は?)テレビが1台しかなく妻に占領されているので…というか、そのテレビは妻が買ったのですが…(笑)。とりあえず、賞金で自分のテレビを買ってワールドカップを見たいと思っています」

※川瀬太朗(かわせ・たろう)氏/タイトル『ハッチ&ハイク』(映画部門)
「本日はこのような賞をいただき、ありがとうございました。あくまで個人的な楽しみで描いていた作品に、こういった賞をいただいて幸せに思っています。今、妻が妊娠中で、テレビドラマをたくさん録画しているのを見て、テレビドラマには“力”があり、多くのみなさんから期待されていることを感じています。

創作力は未熟ですが、意欲はありますので、どんなことでもお声がけいただければ幸いです。私は学生時代から演劇や自主制作映画を制作してきたのですが、苦しい時代から一緒に頑張ってきた仲間たちに“やったよ!”と、この受賞の喜びを伝えたいです。賞金は、妻の出産費用にします!」

 

【奨励賞】
※板谷将行(いただに・まさゆき)氏/タイトル『風に吹かれて』(配信部門)
「この度はありがとうございます。5年前、シナリオの学校に通っていたときに中園ミホさんにお会いしたのですが、その瞬間、『キミは売れるよ』と言ってくださり、名刺をいただきました。なぜそうおっしゃったのかはわからなかったのですが、名刺を頼りに作品を持参して訪ねていった際も『キミはたぶん売れると思うから5年、頑張って』と言われました。ちょうど5年経った今年、この賞をいただくことができましたが、“先見の明”があったんだなと思いました(笑)。

私の友人たちに聞くと、“あまりテレビをつけない”“家にテレビがない”という人も多く、では何を見るのかと聞くと、入浴中のだいたい15分の間に配信ドラマを見るというんです。そこで今回、僕も15分ぐらいで見られる作品を作ってみようと思い、挑んだつもりです」

 

◆早河洋(テレビ朝日代表取締役会長兼CEO)挨拶

「この『テレビ朝日新人シナリオ大賞』も、今年で18回を迎えました。大賞該当作がないのは2回目になりますが、先生方が3人の将来について、やさしくも厳しいコメントをいただいたことを、3人の受賞者は忘れないでいただきたいと思います。

この『テレビ朝日新人シナリオ大賞』はテレビ部門、映画部門、配信部門にわかれていますが、最近のテレビでは動画配信サービスも見ることができます。つまりテレビにとっては、やや危機感を持たなければいけない状況です。これから、テレビは“テレビ受像機”ではなく“単なる受像機”となって、ネットを含めたストーリー系コンテンツが大量に流れてくる時代になると思います。

また、この4月クールにお送りした土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ』全7話の平均視聴率は4%で、これは失敗作といわれる数字なのですが、SNSやインターネットの世界、韓国、香港、台湾で大変な人気を獲得しました

金、土にお送りしているナイトドラマ枠では、ややエッジの効いたライト感覚のドラマを並べていますが、そういうものがむしろ配信側に回っていき、今はそれを合わせた“総合視聴率”という形の評価があるわけです。まだまだテレビのマスに対する訴求力というものは強いものがあると思いますので、シナリオライターを志すみなさんにはこういった変化もよく承知しておいてほしいですし、出口がいろいろある、ということを申し上げておきたいですね。

昔、『ニュースステーション』で“伝書鳩のレース”を取り上げたことがあり、“伝書鳩が仙台を出発して東京までの400km感動のドラマ”というタイトルをつけたのですが、出発してから一度も途中経過の映像がなく、視聴者から『なんだこりゃ』と叱られ、プロデューサーとして大失敗した覚えがあります(笑)。それくらい鳩を描くのは大変なので、よくドラマにしたなぁと思います(笑)。これからも若く、新しい才能が出て来ることを期待いたします。3人の先生方、お忙しいところ審査ありがとうございました」

なお、次回、第19回の募集については、近日に公式HPにて発表があるとのこと。