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トヨタ、見事なチーム連携をみせる【WRC:ラリー・イタリアDAY2結果】

現地時間の6月8日、WRC(FIA世界ラリー選手権)の第7戦「ラリー・イタリア」のデイ2が開催された。

©TOYOTA GAZOO Racing

この日はSS2からSS9まで8本のSSを走行。ただ、前日のSS1終了直後に降り出した大雨によって、走行スタート時のサルディーニャ島はどの道も雨によって泥状態に。例年とはまったく違う路面コンディションのなかラリーはスタートした。

これまでのラリー・イタリアでは、乾いたグラベル(未舗装路)を走行するため、走行順が早いと余計な土埃を掃除する役割となってしまい、スタート順の早いドライバーは不利な傾向にあった。

しかし、この日は違った。完全に泥状態となった路面は、スタート順が早いほどタイヤがグリップしてタイムが出せる状態になり、後ろになればなるほど他のマシンが泥を掘り返し轍がひどくなり、不利となる状況だった。

そして、午後最後のSS9の頃には路面もすっかり乾き、通常通りスタート順が後ろのほうが有利な展開。つまり、どのドライバーも路面変化に翻弄された1日となった。

©TOYOTA GAZOO Racing

そんな状態で行われたデイ2の結果は、1位セバスチャン・オジェ(フォード)、2位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ/1位から18秒9遅れ)、3位ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ/同37秒2遅れ)、4位エサペッカ・ラッピ(トヨタ/同41秒6遅れ)、5位マッズ・オストベルグ(シトロエン/同58秒3遅れ)、6位ヘイデン・パッドン(ヒュンダイ/同1分1秒5遅れ)と続いた。

この日は酷い路面状態にどんどん脱落者が出ていくサバイバルラリーで、トヨタのオット・タナック、フォードのティーム・スンニネンとエルフェン・エバンス、ヒュンダイのアンドレアス・ミケルセンらが次々とデイリタイアなどに追い込まれた。

トップに立ったオジェ(フォード)と2番手のヌービル(ヒュンダイ)は、走行順が結果として大きく幸運を引き寄せた。デイ2はチャンピオンシップポイントのトップから走行する。通常は不利となる走行順が、この日は大雨の影響で幸運へと変わっていたのだ。

©WRC

トップのオジェは、「今日はトリッキーな1日だった。午前中は攻めてフルにリスクを背負うようなことはしなかった。SS6は非常に滑りやすくて難しいステージだったけど、僕はミスもなく走ったことで大きくリードすることができた。他のドライバーが皆ミスをしたので、SS6の結果は少し驚きだったけどね。明日はもっと攻めるつもりだ。まだ僕もマシンもスピードが必要だと思う」と、決して手綱を緩めない。

2位のヌービルも、「正直、グラベルなのに走行順が悪いからトップ8にも入れないと思っていた。でも、雨によって路面状態が激変して、それが僕を助ける結果になった」と、この日の結果は雨が後押ししたことを認めた。

トヨタは、走行順3番目のタナックが上位2台と互角に戦い、SS8を終えた時点でトップから16秒2遅れの3位、ラトバラが同38秒3遅れで5位、ラッピが同41秒6遅れで6位と、3台とも優勝を狙える位置につけて絶好調だった。

しかし、この日最後のSS9、タナックは8.6km時点でストップした。高速で走行するジャンプセクションでなんの問題もなくジャンプしたのだが、着地時にわずかにフロント側から落ちる形で着地。このときにマシンフロント下側を強く打ち付け、その後白煙を上げる形で止まってしまったのだ。

ジャンプミスでもなんでもなく、映像を見る限り単純にヤリスWRC(日本名ヴィッツ)の前後重量バランスと、このジャンプ地点の走行速度やジャンプする角度がたまたまマシンにとって運悪くフロント側から落ち込みやすいものだったと考えられた。

だが、ここでトヨタは抜群のチームプレイを魅せる。タナックたちはマシンストップ後にこの状態をすぐにチームへ連絡。ジャンプセクションは注意するべきだと伝えた。その結果、すでに走行を開始していたラッピには間に合わなかったが、その後に走行することになっていたラトバラにはこのジャンプセクションでのトラブルが伝わり、ラトバラはその注意をしながらSS9でステージトップを獲得。総合でも3位まで浮上し、今回優勝を狙える位置につけた。これこそ、トヨタがチームとして上手く機能している証拠といえる。

©TOYOTA GAZOO Racing

SS9走行後のラトバラは、「(ヘルメットに装着した)マイクが壊れたよ。この最後のステージはかなりプッシュした。わずかの時間だけど、フルスロットルをキープするように努めた。そしてオット・タナックに感謝したい。彼はジャンプセクションでトラブルになり、それをチームに、ここは危ないと伝えてくれた。その情報を得て僕は走ることができた。彼がアシストしてくれたんだ」とタナックへ感謝を伝えた。

ラリー・ポルトガルのデイ3は、SS10からSS16、合計6本のSSを予定。土曜日、SS2の現地スタート時間は午前8時38分(日本時間は午後3時38分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>