テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
menu

あべ静江、家に閉じこもりストライキ!名曲『みずいろの手紙』を歌うことに抵抗した理由

中学、高校時代は正義感に燃えてさまざまな学校改革に取り組み、名古屋の短大へ進んだあべ静江さん。在学中に人気DJとなり、『コーヒーショップで』で歌手デビュー。続く第2弾『みずいろの手紙』も大ヒットを記録し、世の男性陣のハートをとりこにした。しかし、『みずいろの手紙』を歌うことには猛烈に抵抗したという…その理由とは?

◆『みずいろの手紙』は絶対に歌いたくなかった?

-あべさんの代表曲『みずいろの手紙』は発売までに事務所やレコード会社とずいぶん戦いがあったそうですね-
「裏ではね。裏では戦っていたんだけど、外には見えないわよね、それは(笑)。あの曲は別れてしまった男性に手紙で『もう一度会いたい』という女性の切ない恋心を描いていると思ったんです。男性が理想とする女性であって、これは私じゃない。私が目指す女性像とは全く違ったから、これだけは避けなくちゃいけないと…」

-そんなにイヤだったんですか?-
「別れた後で彼を追うなんて考えられない。どうしてこんなに未練を残す女性を演じなくてはいけないんだろうって」

-あべさんのイメージにピッタリだとみんな思っていたと思いますが-
「そこが危険なの。私のイメージになってしまうところが…。メロディーラインも私に合っていたし、歌えばうまく歌えちゃいそうでイヤだなあって(笑)」

-思いっきり抵抗したんですよね-
「そう。ストライキ。『レコーディングに行かない』と言って、家に閉じこもったんだけど、マネジャー陣が鍵を持っていましたからね。だから無理やり引きずり出されて、会議室みたいなところに連れて行かれたら、おじさんばかりがズラーッと並んでいて、何か色々言われたんだけど、何を言われたのか、あまり覚えていないの。私のなかには抵抗しかそのときにはなかったから。でも、それでますますイヤになっちゃったのよね。

そのあとスタジオに行ったら、三木(たかし)先生が待っていてくださって、三木先生と阿久悠先生には本当に申し訳ないと思うんだけど、ただ『みずいろの手紙』を歌うということに関しては、すごく抵抗があったから、もう泣きながら歌っていて、泣きながらセリフもしゃべっていたのね。とにかくこの歌は気持ちを投入しちゃダメだなと思って、淡々となるべく歌うようにしようと思っていたんだけど、実際に泣いちゃってるので、それが微妙な感じでエッセンスとして紛れ込んじゃったかもしれない」

◆のど自慢で優勝した母は父と駆け落ちして…

あべさんの曽祖父は、伊勢新聞の創始者で貴族院議員でもあった松本宗一氏。次男だった祖父は上海に進出するが、敗戦で財産全てを捨てて帰国。引き揚げ後、引き揚げ者をフォローする新聞を作り、家族全員がサポートすることに。お母さんはのど自慢の賞金稼ぎとなり、資金面でサポート。そして歌を通じてバンドマンだったお父さんと出会う…。

-今年でデビュー45周年ですね-
「早いわね。私が生まれたのは戦後6年目。まだ日本が戦後の傷跡を癒し、これから成長していこうという時代でしょう? 色んな人の思いを背負ってうちの母は歌っていたと思うの。母は「NHK第4回のど自慢大会」で優勝して、レコード歌手としてのレールが敷かれていたのね。だけど優勝したときにはもう私が母のおなかのなかにいて、母は父と駆け落ちして私を産んだの。当時は『松本ひさ 行方不明』って新聞沙汰にもなっちゃったんですって(笑)。

今でも特に三重県、そして松阪市、あの周辺の方の心には、私より母のほうがしっかり残っているの。だから、私はいまだにあの世代の方々に会うと『松本ひささんの娘さんさ』って言われる。母をまだまだ越えられないなって思うのね。時代を本当に背負っている人とは違うなあって思う」

-お母様は色々慰問に周って歌ったりされていたそうですね-
「ええ、東海ラジオの専属歌手として専属バンドとともに行っていました。東海ラジオが社会貢献の一環として、慰問活動に積極的だったんです。母はレコード歌手としてではなく、歌手活動は続けていました。レコードも実は出してるんですよ。色々な会社の社歌だとか、町の歌だったりとか、そういうのは出してるんだけど、いわゆるレコード会社所属の歌手というルートは断ち切っちゃったのよね」

-そのことについて何かおっしゃったことはあったんですか-
「1回もなかったですね。父のことが好きだったのかな、ものすごく」

-お父様はバンドマンで色々な楽器が演奏できたそうですね-
「そうですね。弦楽器はすべて」

-あべさんが歌手になったことについて何かおっしゃってました?-
「デビューするにあたり、父のバンド仲間で東海ラジオの制作部長で、父の大親友だったおじさんが来て『しーちゃんをどうしてもデビューさせたいから』と言ってきたときも、両親はとても心配していました。自分たちも音楽の世界にいるからこその心配。それで苦労することもたくさんあるということがわかっていたのね。だから両手をあげてバンザイという感じでは決してなかった」

-最初は2年間と決めていたわけですが、2年経ったときにはどうだったんですか-
「なんか楽しいかもって思うようになっちゃった(笑)」

◆衝撃の猫事件の真相とは

愛猫家として知られるあべさんだが、かつて「エキセントリックな性格でペットの猫を壁にたたきつけて殺した」という信じられない記事を週刊誌に書かれたことがあった。当時何の釈明もせず、長い間その真相を語らなかったあべさんが、実際は何があったのかを明らかにしたのは、わずか数年前のことだった。

-私も猫を飼っていますが、あれは本当にひどい記事でした-
「猫を飼っている人なら、あんなことをするわけがないってわかるわよね。あれは本当につらかった。記事とは全然違うの。あの当時、うちには愛猫家の友人たちがペットを連れてよく遊びに来ていたのね。ある日、例のギタリストの彼が連れて来た猫と私の猫の『ジェミニ』がじゃれ合っていたのを、彼はけんかしていると思って、割って入ってジェミニを手で払いのけたんだけど、その勢いが強すぎてジェミニがベランダの扉のガラスにぶつかってしまい、グッタリしちゃったの。すぐに病院に連れて行ったんだけど、命を落としてしまって…。彼に泣いて怒りをぶつけました。わざとじゃないとはいえ、許せないって。本当につらかった。今でもジェミニのことを思い出すと涙が出てきます」

-それがなぜか、あべさんが「猫を壁にたたきつけた」という記事になってしまった。あの記事が出たとき、なぜすぐに真相を言わなかったのですか-
「私は言いたかったの。ずっと苦しかった。愛する猫を亡くして悲しい思いをしているところにグサグサナイフを突き刺されているような感じで…。でも、周囲からあまり大ごとにしないほうが良いと言われて我慢したの。絶縁したとはいえ、人がからんでいることだったし、それもあって言えなかったの。でも、悔しかったし、腹もたったし、いつかはきちんと否定しないといけないと思っていたのね。それで、自分の著書(みずいろの手紙)に書いて、ようやくスッキリさせました」

-今、猫は?-
「今はいないの。一番最後にみとったのが『ロック』という猫だったんだけど、あまりにインパクトが強い性格の猫で、どうしてもその子と比べちゃうと思うのよね。16歳で糖尿病になってね。3年間、地方の仕事は全部断って、毎日朝と晩の2回、インスリンを打ち続けたの。インスリンの注射をね、私がうっかり他のことをしていても、ちゃんとその子(ロック)が教えに来てね、ベッドの脇に座布団を重ねて場所を作っていたんだけど、その上にパーンと乗って『さあ、やってくれ』って感じでね。すごく楽だった」

-良い子だったんですね-
「ええ、ものすごく頭の良い子だった。インスリンの注射を1回マネジャーに頼んだら、『えっ』って言われたんだけど、ロックも『えっ』って感じで(笑)。翌日も頼んだら、もうロックが大騒ぎで、ギャーギャー言って(笑)。それで『私がやります』ってことになったの。3年間ロックは本当に頑張ってくれましたね」

◆家電大好き、量販店で暮らしたい

意外なことに機械や家電が大好きだというあべさん。パソコンを始めたときは3日間徹夜で格闘し、とうとうマウスを持ったまま寝落ち状態。翌日、顔面にはキーボードの跡が付いていたとか。

「パソコンを始めたときは、なんか楽しくてね。3日間眠らずに張り付きっぱなし。モバイル好きなの。ゲームとかね。最後はとうとうマウスを持ったままキーボードの上で寝ちゃったというか、気絶ですよね。顔に付いたキーボードの跡が、なかなか取れなくて困っちゃった(笑)」

-今はもう完璧に使いこなしているという感じですか-
「パソコンよりスマホとタブレットで、今は何でもできちゃうのよね。スマホとタブレットは1台ずつ、ガラケーは2台持っています」

-それを全部使っています?-
「使っています。文章の整理をするのはガラケーのほうがやりやすいの。だから、そっちのほうはガラケーで、スマホでちょっと打っていても、ガラケーで整理して整形するの」

-女性で機械が得意な人は少ない気がしますが-
「好きなの。洗濯機を買ったときなんてすごかったわよ。洗濯機が何をやっているのかすごく見たかったのね。全自動って何か信用できなくて、仕組みを見たくて、いろんなことをやって見ようとしたんだけど、開けると洗濯機が止まっちゃうの(笑)。鏡の薄いやつを入れてみたりしたのよ。なかが見たくて見たくて…。

その洗濯機が調子悪くなっちゃったとき、新しいのを見に行ったら、あったんですよ。上がガラスでなかが見えて、ちゃんとライトアップされるし、今何をやっているかをちゃんと教えてくれる洗濯機が。ピッて押すと『洗濯物をほぐしています』とか、ちゃんと音声で説明してくれるの。それで安心して、しばらくライトアップしてなかを見ていたの。ちょうど上もガラスだから見られるのよ。それで、良かった…と、幸せな気持ちに(笑)」

-電化製品を買うときは、もう徹底的に調べて?-
「家電を買うときは、電気屋さんにすごく長くいるの。量販店に住みたいと思っているくらい(笑)」

-家電芸能人?-
「ああいう知識とはまた違うんだけど、妙なこだわりがあるのね。いちいち詳しく調べたりとか、『どうしても音や性能をチェックしたいので、動かしてもらっていですか』なんて、掃除機ひとつ買うにしてもやっているの」

-色々なことができるんですね。そういえば、前に徳光和夫さんがテレビ番組であべさんはお料理も得意だとおっしゃってました-
「料理は好きね。徳光さんがいらしたときは面白かったのよ。他の方もいっぱいいたんだけど、徳光さんだけがなかなか入ってこなかったの。それで『徳光さん、どうしました』って聞いたら、うちの親猫も子猫たちもみんな玄関に並んで徳光さんを見ていたの。徳光さんは猫が苦手だから、怖くて入って来られなかったんですって(笑)」

-それなのに、徳光さんはずいぶんなつかれたみたいですね-
「そうなの。うちの猫たちはみんな人が大好きだったから、私が料理を作っている間に徳光さんの膝の上に乗ったりしていたみたいね。徳光さんが、『しーちゃんが見てないときに、必死になって横にどかしていたんだよ』って(笑)」

AED(自動体外式除細動器)の普及や骨髄バンクのドナーのお願いなど、命をつなぐ活動にも力を注いでいるあべさん。売り上げは骨髄バンクに寄付している『すべての命(ひかり)へ』という曲を、ご当地アイドルや歌好きの人たちで、同時配信するのが夢だと目を輝かす。45周年を迎え、歌手としてだけでなく、幅広くアクティブな活動を続けるステキな人。(津島令子)

※「みずいろの手紙」夕刊三重新聞社発行
2,000円+税

※【1・2・3 四日市メガリージョン!!】東海ラジオ
毎週日曜日:19時30分~20時(エリア外の方はradikoで)

※【あべ静江と太田美知彦の“YOU&ME”】星空ステーション(八王子FM☆77.5MHz)
毎週水曜日:21時~21時55分(エリア外の方はリスラジで)

※「あべ静江 松阪 大好きコンサート2018」
5月13日(日)15時開演 クラギ文化ホール(三重県松阪市)
お問い合わせ クラギ文化ホール TEL.0598(23)2111
メンズ&レディスショップミヤトウ TEL.0598(21)1578