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『未解決の女』原作者・麻見和史さんインタビュー「私も文字&文章フェチです」

©テレビ朝日

4月19日(木)にスタートした木曜ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』は、警視庁捜査一課「特命捜査対策室」第6係、通称「文書解読係」を舞台に繰り広げられる新感覚ミステリー。

そこで、原作である『警視庁文書捜査官』(角川文庫)の作者・麻見和史さんに話を聞きました。

ーーまずはご自身の作品がドラマ化されたことについての感想をお聞かせ下さい。

これはもう、嬉しくて嬉しくて(笑)。まだまだ自分は駆け出しだと思っているので、ドラマをご覧になった方に原作を知ってもらうチャンスをいただけて非常に感謝しております。

ーーこれまでの警察小説とは異なり、「文書」というものに着目した理由は?

もともと警察を舞台にした小説を書かせていただいておりますが、みなさんご存知の通り、数が非常に多いんですよね。そのなかで自分の名前を覚えてもらうためには、今までにない切り口が必要になってきます。新しい作品を書こうといろいろ調べているうちに「文章心理学」というものがあることを知り、そこに小説家として物語を想像する余地があるのではないかと思ったんです。

ーー麻見さん自身は文章や文字がお好きなんですか?

そうですね。昔から文字や文章が好きで、パンフレットやチラシを家に持って帰るのが好きなんです。最近はパソコンで書くことが多いので、なかなか自分の手で文章を書くことはないのですが、たまにいただいたファンレターの返事などはできるだけ自分で感謝の気持ちを込めて書きます。

実はこの間、中学生くらいの頃から大学ノートに書いていた日記を見つけまして。字が汚いというのもありましたが、書かれている内容が妙にポエムっぽかったりして、今になって読み返すと、とても恥ずかしかったです(笑)。書道家の方の書かれる上手な文字はもちろん、町の看板に書かれた落書きなんかも味わい深くて気になります。

ーー文字や文章から書いた人に思いを馳せる行為には、趣きがありますよね。

その文字が書かれた状況や、書いた人の心理状態って、やっぱり文字に出ると思うんです。イライラして書けばキツくなるでしょうし、思いを込めて書けば優しくなるでしょうし。私も普段から文字を見ていろいろ想像するのが好きですね。

ーーそこまで行くとフォント(書体)にもこだわりがありそうですが…。

あります。自分のなかで「このストーリーならこのフォントで原稿を書きたい!」というこだわりはありますね。ただ、ワープロソフトのフォントには限りがあり、なかなかその通りにはいかないので、たまたまぴったり合ったフォントを見つけたときはものすごく嬉しいですね。興味のない方にはまったく伝わらない話ですけど(笑)。

ーーちなみに、麻見さんが好きな「文字」は何ですか?

割と込み入ってカクカクした字が好きなので、「暇」という字が気に入ってます(笑)。暇なのにキチンとしているところが、何とも言えず好きですね(笑)。

◆私だけでは思いつかないアイデアに期待しています

©テレビ朝日

ーードラマに目を向けると、波瑠さん演じる矢代朋が原作では男性であるなど、登場人物の設定が大きく変更になっている部分があります。原作者としてはどう思いますか?

最初にその話をうかがったとき、どうなっていくのか自分のなかで想像ができなかったんですよ。でも、男女ペアで考えていたバディが女性2人になるのは珍しいし、彼女たちが男性の登場人物に囲まれることで、今までにない関係性が生まれるのではないかと思ったんです。これは想像した以上に面白くなりそうだな、と。同時に「どうして自分で思いつかなかったんだろう!」と悔しかったです(笑)。

ーー実際に完成した映像をご覧になっていかがでしたか。

波瑠さんがとても生き生きと朋を演じられていましたし、自分が原作のなかで大事にしていたコミカルな部分も脚本の大森美香さんがしっかり拾っていただいてくれて、とても嬉しかったです。

ーー鈴木京香さん演じる鳴海理沙についてはどうでしょう。

©テレビ朝日

“倉庫番の魔女”と言われるだけあり、立ち姿が絵になってますよね。もちろん鈴木さんだけでなく、沢村一樹さん(古賀清成役)や光石研さん(川奈部孝史役)もそれぞれに雰囲気があって、みなさんさすがプロの俳優さんだなと思いました。

なかでも高田純次さんは、私が『じゅん散歩』を以前から見ている大ファンだったこともあり、高田さんの飄々とした感じが財津(喜延)のキャラクターにぴったり合っていて素晴らしかったです。

ーー遠藤憲一さん演じるドラマオリジナルのキャラ、草加慎司の印象はいかがですか?

あだ名が“倉庫番のフランケン”、ですよね(笑)。私には思いつかなかった発想です。もし機会と許可さえあれば、原作シリーズの方でも出してみたいキャラクターですね。

ーーでは最後に、ドラマをご覧になる視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

基本的に小説(=本)とテレビドラマ(=映像)ではストーリーの組み立て方や見せ方も違うものだと思っていますから、原作者としてはもう映像のプロであるスタッフのみなさんにお預けするという気持ちです。

編集さんと作家とのやりとりだけで生み出される小説とは違って、ドラマはたくさんの人たちが集まりますから、私には思いもつかなかったアイデアが出てくることもきっと多いでしょう。また、それによって自分の作品の世界がさらに広がることを1人の視聴者として楽しみにしています。みなさんにはドラマと原作、合わせて楽しんでいただければ幸いです。

<取材・文/中村裕一>

※番組情報:木曜ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』第2話
2018年4月26日(木)午後9:00~放送、テレビ朝日系24局