23歳で芸歴20年の須賀健太、子役時代は出るだけでうれしかったけど今は…
芸能界入りのきっかけは『電磁戦隊メガレンジャー』(1997年2月~98年2月/テレビ朝日)。同い年ぐらいの子が出演しているのを見て、自分も出たいと思ったからだという。
1998年にデビュー。2002年、ドラマ『人にやさしく』で注目を集め、2005年、10歳のときに出演した映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の古行淳之介役で天才子役として広くその名を知られることになった須賀健太さん。
2006年『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』で映画初主演。映画、テレビ、舞台に多数出演。阪本一樹さんとダブル主演の映画『サイモン&タダタカシ』が3月24日(土)に公開をむかえる。天才子役から実力派若手俳優へと成長した須賀健太さんにインタビュー。
◆須賀健太、オーディション落選の連続?
-23歳の若さで芸歴20年-
「そうですね。(笑)もう20年と言うと、大ごとのようですけど」
-小さいときから作品を見ているので、近所のおばちゃんのような感覚になります-
「ありがとうございます。結構色んな現場で、皆さんがそう言って下さるので、ありがたく思います。話しやすいですね、どこに行っても。親戚の感覚というか…」
-最初に仕事をしたのが4歳?-
「そうです。特撮が好きで。同い年ぐらいの子がテレビに出ていたのを見て、自分も出たいと思ったのがきっかけです。
小さかったので、テレビに出たいというよりは、ヒーローに会いたいみたいな感覚だったんですけど、親は『この子はテレビに出たいんだ』と思って、応募してくれたようです。4歳で芸能事務所に入りました」
-ご両親は芸能界に全く関係のない方ですよね-
「はい。全然関係ないです。当時は記念にやってみるみたいな感じで。何年か経ったら、やめるのかなと思っていたみたいです」
-それが20年続いて-
「小学生とか中学生ぐらいの頃までは、親もずっと現場に行ったりしてくれていました。役者・須賀健太を一緒に作ってくれた人なので、同化した感覚というのかな。だからやっぱりすごく理解してくれています」
-割と早い時期から主役をやるようになりましたが、驚いたりしていませんでした?-
「運だなあと思いますね。『人にやさしく』というドラマがレギュラーで、しかも、セリフがあんなにいっぱいある役というのは初めてだったんです。それまではずっとエキストラでしたから」
-オーディションは受けたのですか?-
「はい。エキストラをやりながらオーディションを受けていましたが、オーディションが全然受からなくて…。
本当に一般人の感覚で、全く業界のことを知らずに入ったので、どこかで何かしら仕事はあるものだと思っていたというか、そんなにオーディションを受けなくてもある程度は出演できると思っていて、こんなにオーディションも受からないし、出られないし、ようやく行ってもエキストラとかで…。
一日ずっと待って、少し出たけど、それも使われなかったということが、普通にあることだったりするので、親はもうやめようかと思っていたらしいんですよ。そうしたらちょうど『人にやさしく』が受かって。
でも、そこからはもう親としては急に大変になりすぎて、もう、大変だと思う時間もなかったらしいですね、最初は」
-次から次へとセリフもおぼえなくてはいけないですしね-
「覚えさせないといけないですし、ご飯も作って、撮影現場に連れて行って、一緒にずっと待って、帰って…。やっぱり僕よりも大変だったと思います。今になってようやくその大変さをわかった感じがします」
-子ども心にもオーディションに落ちたことはわかっていました?-
「もともとの性格が負けず嫌いなので、4歳でも同世代の小さい子たちがいっぱい集まって、選ぶ選ばれないみたいなことをやっている感覚はあったので、ずっと悔しい思いはしていました」
◆子役時代は出るだけでうれしかったけど、今は…
※須賀健太プロフィール
1994年10月19日生まれ。23歳。東京都江戸川区出身。4歳で芸能界デビュー。2005年、10歳のときに出演した映画『ALWAYS 三丁目の夕日』に出演、映画は大ヒットを記録してシリーズ化され『ALWAYS続・三丁目の夕日』(07年)、『ALWAYS 三丁目の夕日’64』(12年)にも出演。
成長期だった須賀さんは、1作目から2作目の撮影までの2年間で18cm、3作目までの7年間で40cmも身長が伸びて、スタッフを慌てさせたということも。映画初主演となった『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』(06年)では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画『釣りキチ三平』、映画『シマウマ』、現在放送中のドラマ『隣の家族は青く見える』など数多くの映画、ドラマ、舞台に出演。若手実力派として注目の存在。
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-映画『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』で初主演。一番最初に自分の名前があるわけですが、それを見たときはどうでした?-
「とてもうれしかったですね。それは今でも本当にうれしいです。
小さいときはうれしいということだけで動けていたんですが、今はすごく責任感だったり、作品に関するモチベーションもあったりして、いろいろな感情を持って作品に向き合っています。作品を背負うということに関しては、年々思いが強くなっています。
本当に単純に“一番最初に名前がある。うれしい”とか、“作品にたくさん出ている”とか、そういうことだけで仕事ができていたというのは、小さい頃の特権なのかなと思いますね」
-ある程度大人になってくると、今度はお客さんがどれだけ観てくれるのかとか、色々考えるでしょうしね-
「そうなんです。今でももうそうなってきていますし、舞台あいさつだったり、プロモーションということに関しても、どう作品を知ってもらうかということも、考えるようになりましたし。
今はすごくSNSが発達していたりもするので、宣伝したりするのは自分でもやりやすくはなっています。小さいときはそういうことも考えずにやれていたなあって(笑)」
-それはいくつぐらいまでですか?-
「いつぐらいかな?子役のイメージというのがあったからか、高校時代は仕事が少なくなって、そこまで多くは仕事をしていなかったんです。
その時期に気持ちとして変わっていったというのはあるかもしれないですね。仕事したいけどできないみたいななかで変わって行く感じというか…。改めて仕事が好きなんだなって思いましたし、だったらどうするのが良いのかなというのも考えましたね。
そこで変わっていったのかなと思います」
-子どもから大人になるちょうど微妙な時期というのは、みなさん苦しむ時期ではありますね-
「そうですね。自分がこれから先、役者じゃない仕事をするとしたら、何をするのかなとかも考えたりもしましたし…。
でも、やっぱりこれ以上やりたいことだったり、こんなに楽しいことは他にないなとすごく思ったんですよね。だから、高校時代に、たとえ仕事が減ったりとか、なかったとしても、役者を続けていこうと思いました」
-学校時代はどんな感じだったんですか-
「うちは親も学校に関しては厳しくて、早退とか遅刻でもいいから、ちゃんと行くというのは決めていたので、本当に1時間でも行ってました。それは今思うと、一番良かったなあと思っています。感覚として全然、芸能界にいる感覚みたいなものはなかったですね」
-周りも一般の学生と同じように接してくれました?-
「そうですね。それを意図してやってくれていたのかはわからないですけど、周りは本当にいいやつばかりで、全然変わらず、『あ、見たよ』というぐらいでした」
-卒業した今でも付き合いはあります?-
「あります。もともと友だちが多いほうではないですが、彼らとは会ったりしています。
それこそみんな去年就職したんですけど、就職してから『お前、すごいことしていたんだなあ』って言われました、飲んだときに。みんなも働き始めて、働くことがどういうことかわかったみたいで。みんなが働いて一緒に飲みに行くというのは、なんだかソワソワしました(笑)」
◆須賀健太、イメージを壊す猟奇殺人鬼に
-かなり冒険的な仕事もされていて、映画『シマウマ』(15年)の猟奇殺人鬼役は衝撃的でした。まるで別人-
「ありがとうございます(笑)初めての悪役でした」
-色々なことを試してみようという時期なのかなと思いました。ものすごく残虐で恐ろしかったです-
「そうですね。でも本当に今、おっしゃっていただけたような気持ちになってくれたらいいなあと思って『シマウマ』はやっていました。やはり、どうしても元気な役だったり、良い子というのが、イメージとしてあって…。
役者というのは、役のイメージがあるのはいいんですけど、役者本人のイメージが固まりすぎちゃうと、イメージに近い役が多くなってしまったりすることがあると思うので、それを壊したかったんですよね。
だから、そのあとにも、意図してそういった作品をあの時期は選んでいたかもしれないですね。殺人鬼とか」
-それにしても映画『シマウマ』は強烈でした。メイクもすごかったですし-
「そうですね。(笑)総合芸術だなあって思いました。役者は役作りをして、メイクさんだったり、衣装さんだったり、監督だったり…。ビジュアル面でも助けてもらったところがすごくありました。
そういう手助けはやはり、日々、作品ごとにスタッフさんがしてくれるので、それがあってこそ、イメージを壊せるのかなと思います」
-『シマウマ』のように残虐な役を演じている期間は、どんな感じなんですか?-
「そうですね。わりと僕は、自分では切り替えられるほうだと思っていて、カットがかかると普通に戻れると思っていたんですけど、ここ何年か引きずるようになってきたみたいで、周りの友だちとかに聞くと、この時期は雰囲気がちょっと違って怖かったとかいうのは聞きますね」
-それはやはり大人になったということなのでしょうかね-
「どうなんでしょう?わからないですけど(笑)まあ、役との向き合い方が変わってきているのかなと思います」
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キュートな笑顔は幼い頃のままだが、役者として食べていくという固い決意が伝わってくる。次回後編では、24日(土)に公開される主演映画『サイモン&タダタカシ』の撮影裏話、心身ともにボロボロになったという映画『スイートプールサイド』での驚きの役作りを紹介。(津島令子)
※映画『シマウマ』
“絶対に読んではいけない漫画”と話題になった人気コミックを映画化。
依頼者の恨みや憎しみなど世間の常識では解消できない問題を残虐なあらゆる方法で晴らす回収屋となった竜夫(竜星涼)が、裏社会で活躍していく姿を描く。
須賀さんは竜夫の高校時代の同級生で、いじめられっ子だったが、奇抜なメイクで残虐な殺人を嬉々として行う猟奇殺人鬼を演じている。