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トヨタ不運もWRC2クラスで勝田貴元が1位!【WRC:ラリー・スウェーデンDAY3結果】

現地時間の2月17日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦「ラリー・スウェーデン」のデイ3(SS9~SS16)が行われた。

©TOYOTA GAZOO Racing

3日目のラリー・スウェーデン、前日に引き続き全面雪道のスノーラリーだが、2日目夜から3日目朝に掛けての降雪はなく、マイナス2度からマイナス5度ほどの冷え込みがどの程度路面に影響を与えているかを考慮することがドライバーたちにとっての攻略ポイントとなった。

朝7時54分にスタートするSS9の走行順番は、前日順位の逆順。つまり、この日13台出走確認されたWRC最高峰クラスでは、プライベーターとして出場したヘニング・ソルベルグ(フォード)を先頭に、セバスチャン・オジェ(フォード)、エルフィン・エバンス(フォード)と続き、最後尾スタートはティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)となる。

スノーラリーにおいては少し後ろの順番の方がタイムを出しやすいので、必然的に後から出走するドライバーの方が有利な展開となる。

こうして始まったラリー・スウェーデンのデイ3。

SS9からSS16までの各ステージトップを獲得したのは、SS9/オット・タナック(トヨタ)、SS10/タナック(トヨタ)、SS11/ヌービル(ヒュンダイ)、SS12/クレイグ・ブリーン(シトロエン)、SS13/ヌービル(ヒュンダイ)、SS14/ヌービル(ヒュンダイ)、SS15/タナック(トヨタ)、SS16/ヌービル(ヒュンダイ)。

トヨタのタナックが3本、ヒュンダイのヌービルが4本、そしてシトロエンのブリーンが1本であった。

この日も速さを見せたのは、ヒュンダイの3台とシトロエンのブリーンだ。ステージ最速こそ獲得していないが、ヒュンダイのアンドレアス・ミケルセンとヘイデン・パッドンは、8本のSSのうちトップ5に入る走りをそれぞれ5本と3本、ブリーンはSS12のステージトップ含め6本決めた。

結果、この日の総合順位は、1位ヌービル(ヒュンダイ)、2位ブリーン(シトロエン/1位から22秒7遅れ)、3位ミケルセン(ヒュンダイ/同32秒0遅れ)、4位パッドン(ヒュンダイ/同48秒6遅れ)、5位マッズ・オストベルグ(シトロエン/同56秒8遅れ)となり、引き続きヒュンダイの3台が速さを見せ、そこにシトロエンのブリーンが食い込んだ。

北欧ドライバーが圧倒的に強いラリー・スウェーデンにおいて、トップがベルギー人、2位がアイルランド人というフレッシュな顔ぶれとなった

©WRC

トップのヌービルだが、じつはラリー・スウェーデンの名所ジャンプポイントであるコリンズクレストで、あやうく横転かと周囲がビックリするジャンプをしていた。

しかし、本人としてはとくに問題なかったようだ。「(SS14は)あとで映像を見たよ。でも、実際のところ車内からはとくに問題を感じていなかった。ちょっと横になってるなぁって程度でね。まあ、写真や映像向きな素材が提供できて良かったよ(笑)。マシンは本当に良い調子で、チームには感謝している。明日もこの調子で行きたいね。僕はこの週末とくにプレッシャーを感じることもなかった。ずっとマシンがいい感じなんだ」と、今季初勝利に向けて大いなる自信を見せた。

2位のブリーンは、「2位というのは本当に嬉しいよ。もちろんプレッシャーもあるけど、このラリーを楽しんでいる。初めて僕が表彰台に上がったのは、2016年のラリー・フィンランドで、ここは2度目の表彰台のチャンスがある。今年は表彰台を何度も経験できるよう頑張りたいね」と、シトロエンチーム加入3年目で覚醒した感を見せた。

 

◆勝田貴元、デイ3終えWRC2クラス1位!

©TOYOTA GAZOO Racing

トヨタの3台は、エサペッカ・ラッピが6位(トップから1分5秒8遅れ)、ヤリ‐マティ・ラトバラが7位(同2分3秒3遅れ)、そして4本もステージトップを獲得したはずのタナックは9位(同3分41秒3遅れ)に落ち込んでしまった。

この日、不運に見舞われたのはタナックだ。SS13を走行中、先にスタートしていたシトロエンのクリス・ミークがミスで雪に突っ込んだのだが、そこでマシンパワーを失い、その後ハザードランプをつけてスロー走行することとなった。そこへ後ろからやってきたタナックがミークの右側から抜こうとしたのだが、雪道で道幅が狭くなっており、マシンが接触してしまい、タナックはコースアウトしてしまったのだ。

その後コース復帰したが、SS13はステージトップのヌービルから2分5秒8も遅れてしまい、総合順位もSS12時点の8位(トップから1分18秒8遅れ)からSS13時点で9位(同3分24秒6遅れ)と、追い上げるチャンスを失ってしまった。

走行を終えたタナックはWRC公式テレビからの質問に、「状況は単純だった。SS13の序盤、先に走っていたはずのミーク(シトロエン)がスロー走行していた。たしかに道は狭くて抜きにくい場所だったけど、ミークは左に寄っていて、抜いてほしいポイントだと感じたんだ。ただ、ミークが左に寄ったとき、轍にマシンがはまりそうになってしまい、ミークはコースにマシンを戻した。そのタイミングで僕が横にいたので接触してコースアウトしてしまったんだ。マシン状態は、午前中はいい感じだった。午後は少し苦しんだけど、昨日よりは良かった。明日も頑張って、チャンピオンシップと次のラリー・メキシコに繋げたいと思う」と、不運を受け止めつつも、長いチャンピオンシップを見据えた戦いをしていることを強調した。

トヨタには厳しい状況だが、じつはWRCのひとつ下のクラスWRC2(※2013年からスタートしたクラス)においてビッグニュースが飛び込みそうだ。

©WRC

というのも、トヨタが若手ラリードライバー育成に力を入れている「TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム」の育成ドライバーとして、トミ・マキネン・レーシングからWRC2に参戦している日本人ドライバーの勝田貴元(24歳)が、デイ3を終えてWRC2クラス1位、総合も12位につけているのだ。

WRC2で優勝すれば、彼自身もそうだが日本人ドライバーとしても初優勝となる。WRC2の優勝は、近い将来WRCへステップアップする大きなアピールになるはずだ。(※WRC2では日本人ドライバーの優勝はないが、WRC2の前に2012年まで存在したPWRCプロダクションカー世界ラリー選手権では2005年と2007年に日本人ドライバーの新井敏弘が年間王者を獲得している)

©WRC

ラリー・スウェーデンの最終日は、SS17からSS19が行われる。SS17のスタート時間は午前7時50分(日本時間は午後3時50分)を予定している。WRCだけでなく、WRC2での日本人初優勝の可能性にも注目したい。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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