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小島藤子、貴重な経験になった壮絶な芝居。相手をヒールで踏み、トマトを投げつけ…最初は「ごめんなさい、ごめんなさい」

2005年、小学校6年生のときにスカウトされて中学校1年生からモデル活動を始め、2008年に『キミ犯人じゃないよね?』(テレビ朝日系)で女優デビューした小島藤子さん。

『小公女セイラ』(TBS系)の真里亜役で注目を集め、連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)、映画『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』(猪股隆一監督)、主演映画『馬の骨』(桐生コウジ監督)など多くの映画、ドラマに出演。

現在、初主演舞台『明けない夜明け』が上演中の小島藤子さんにインタビュー。

 

◆雑誌のモデルとして活動をスタート

東京で生まれ育った小島さんは、小さい頃はおとなしくてあまりしゃべらない子どもだったという。小学校6年生のときにスカウトされて芸能界デビューすることに。

-スカウトされたときのことは覚えていますか-

「全然。親と一緒にレンタルビデオ店にアニメを借りに行っていたときで、親がお話を聞いていたので私は何も聞いていなかったんです。それから何カ月かしてから、家でガソゴソしていたら名刺が出てきて、レンタルビデオ店で会ったお姉さんが芸能事務所をやっていてという話を聞きました。

レンタルビデオ店ではたいして親からの説明がなかったので、『お父さんが知らないお姉さんとしゃべっている』って思っていました。話しかけていたのが結構きれいなお姉さまだったので、『何かちょっと怪しいところを見ちゃった』という感じで(笑)」

-その女性が芸能事務所の方でスカウトだったと聞いたときはどうでした?-

「そもそも『芸能って何だ?』という感じだったので、モデルさんとか女優さんが一括(ひとくく)りになっていると思ってなかったんです。私の中で芸能活動というのはモデルさんというイメージが強くて。最初は『何かモデルさんってカッコいい』ぐらいの気持ちで入ったという感じでした」

2006年、13歳のときに雑誌『ニコ☆プチ』(新潮社)の創刊号でモデルデビューとなり、その後、『ラブベリー』(徳間書店)にて出演することに。

-ポージングとか笑顔はすぐにできました?-

「何もできなかったです(笑)。子どもだったので、周りの大人の人に目線とかポーズを教えてもらって何とかという感じでした」

-モデルとして登場している雑誌をご覧になったときはどうでした?-

「笑いました(笑)。『何かすごいキメた顔をしているなあ』って。ちょっと恥ずかしかったです」

-学校のお友だちには何か言われたりしました?-

「言われました。私はずっと東京で生活しているので、小さい頃からそういう情報が入ってくるのがめちゃめちゃ多くて、すぐに話は回りますね。『あいつ出ているぜ』みたいな感じで(笑)。

芸能活動をしている子たちも多かったですし、親御さんがスタッフさんをやっていたりとか、そういう関係者だったりという子も結構いましたね」

モデルとして活動を始めた小島さんは、2007年、『おはスタ』(テレビ東京系)の“おはガール”として1年間レギュラー出演することに。

-『おはスタ』は、オーディションですか?-

「はい。オーディションでした。『おはスタ』は、私も小さい頃から見ていたので知っていたんですけど、生放送だし、やれる自信がなかったんです。

だから、最初にオーディションのことを言われたときは『受けたくない』と言って受けなかったんですけど、結局は、オーディションを受けることになって。一応自分なりには一生懸命やったんですけど、多分落ちるだろうなって思っていたら、偶然受かってしまって(笑)。

私は、他の2人と比べてできないことがすごく多かったんです。ダンスとか歌をやったんですけど何もできなくて。でも、『3人いるから、1人ぐらいそういうタイプがいても成り立つんじゃないか』というので受かったらしくて(笑)。だから3人の中では1番できない子でした」

-入ってから大変だったでしょうね-

「苦労しました。1年間大変でした。中学生のときだったので学校もありましたし。朝、生放送で3日に1回行っていたので、楽しいより先に『眠い』とか、『大変』みたいなのがそのときは多かったですね」

-1年間続けているうちに慣れというか変化の実感は?-

「それが全然慣れなくて。それこそいまだに私は生放送も苦手だし、カンペを読むのもすごい下手なんですよ(笑)。1年間やっていても成長しないこともあって。でも、『おはスタ』をやったおかげで度胸はついたなというのは、最近になって思いました」

-映画やドラマなどの番宣で生番組に出演されることもありますものね-

「そうですね、そんなに多くはないですけど、そういうときに『おはスタ』をやっていたおかげでちょっとは気持ちが楽なのかなっていうのはありますね」

-事務所に入られてすぐにいろいろなお仕事をされていますが、その頃は将来女優さんにという考えはあったのですか?-

「それはなかったです。モデルさんに憧れがあったので。『モデルさんをやりたい』というのが、学生時代はすごく強かったです。

でも、CMのオーディションだったり、ドラマとか映画のオーディションでお芝居を人に見せるみたいな機会が増えていって。気づいたらモデルさんのオーディションより、演技のオーディションが増えていたみたいなところから入ったので、いろいろ予期せぬ事態だったというのはありますね」

※小島藤子プロフィル
1993年12月16日生まれ。東京都出身。『ニコ☆プチ』など雑誌のモデル、『おはスタ』の“おはガール”を経て、2008年、『キミ犯人じゃないよね?』で女優デビュー。『小公女セイラ』、連続テレビ小説『ひよっこ』、大河ドラマ『花燃ゆ』(NHK)、映画『ランウェイ☆ビート』(大谷健太郎監督)、映画『青空エール』(三木孝浩監督)、『映画 としまえん』(高橋浩監督)、舞台『漆黒天-始の語り-』など多くの作品に出演。2023年7月14日(金)から20日(木)まで初主演舞台『明けない夜明け』が東京芸術劇場シアターウエストで上演中。

 

◆テレビドラマで女優デビュー

2008年、小島さんは、『キミ犯人じゃないよね?』で女優デビューする。これは抜群の記憶力をもつ、ちょっと変わった推理小説家志望のさくら(貫地谷しほり)と新米刑事(要潤)がコンビを組んで事件を解決していく様を描いたドラマ。小島さんは、さくらの妹・かえでを演じた。

「事務所の先輩で主人公の貫地谷しほりさんの妹役で、1話でワンシーンとかに出てくるみたいな感じでした。うちの事務所は、『現場で覚えて学びなさい』という感じで。とくに、貫地谷しほりさんという事務所の先輩がいらっしゃったので、『学んできなさい』という感じで現場に出されたので何も知らなくて。

しほりさんと要(潤)さんの横でずっと本番直前まで“割り本”(その日に行われる撮影のシーンが抜粋して書いてあるもの)を放さないで持っていたりしたので、しほりさんに『割り本は、本番では読んじゃダメなんだよ』って教えてもらったり(笑)。本当にそういうレベルから始めたんです」

-最初の放送をテレビでご覧になったときはいかがでした?-

「ちょっとびっくりしました。自分だけが観ているのではなくて、今観ているものを他の家でも放送しているんだと思ったら不思議な感じがしました。『これがテレビに出るということなんだ』みたいな(笑)」

-ご家族には何か言われました?-

「言われました。あまり一緒に観たりすることはないんですけど、母は、『何か下手だね』みたいな感じで笑っていました(笑)。はっきりしているタイプなので、『やっぱり上手くはないよね』って」

-言われたときはどうでした?-

「『何でそんなこと言うの?』ぐらいで、まだ悔しいという思いはなかったですね。『そうだよね』みたいな感じで(笑)」

-その翌年には『おっぱいバレー』で映画デビューされました。しっかり者のキャラで-

「はい。委員長みたいなキャラでしっかりしていました。そういうキャラが多いですね」

-初めての映画の撮影はいかがでした?-

「出演者が同年代の中学生ぐらいの子たちばかりだったので、楽しかったです。九州のほうに1、2カ月間ロケで泊まりだったので合宿みたいな感じでした。

撮影の合間にプロデューサーさんが遊園地に連れて行ってくれたりして、すごく楽しかったです。何か結構思い出作りをしていることが多かったですね(笑)。最近はあまりそういうこともできないから、すごくいい時代だったなという感じがします」

 

◆いじめ役が話題に

2009年、小島さんは『小公女セイラ』に武田真里亜役で出演。主人公・セイラ(志田未来)をいじめるシーンが話題に。

「『おっぱいバレー』が終わった後にオーディションを受けて決まったんですけど、まさか真里亜役になるとは思ってなかったので驚きました。もっと違う生徒役かなと思っていたので。『レギュラーで入れたらいいな』ぐらいの気持ちだったので『大丈夫かな?』って(笑)。

今までやってきたなかでセリフ量が一番多かったので、そもそもしゃべれるのかなとか、セリフを覚えられるのかなとか不安でした。

あと、志田未来ちゃんは同世代ですけど、私は小さい頃から見ていたので、そこに並んでお芝居をするということがすごく不安だという思いはありました」

-いじめのシーンが印象的でした-

「そうですよね。その前の『おっぱいバレー』が、ロケ地で遊んだりして和気あいあいで楽しかったので、『小公女セイラ』は結構大変でした。

女の子同士で楽しかったんですけど、やっぱり役が役だったので。私がちゃんとお芝居ができないとストーリー自体が成り立たない役なので、本当にありがたかったんですけど、気を張らなきゃいけないことも多かったです」

-志田さんに水をかけたり、結構すごいシーンがありましたね-

「はい、いろいろやりました。すごかったですね。その後、『青空エール』という映画で未来ちゃんとまたご一緒させていただく機会があったんですけど、2人で『よく考えたらあのドラマ(小公女セイラ)すごいことをしていたよね』って話をしていました(笑)」

-志田さんとは、今年『勝利の法廷式』(読売テレビ製作・日本テレビ系)でも共演されていましたね-

「そうなんですよ。今年たまたまご一緒させていただく機会があって。節々にそういうことがあるので、すごくうれしいです。尊敬している方なので」

-いじめのシーンなどは、きちんとコミュニケーションが取れていないと難しいですよね-

「そうですね。でも、未来ちゃんご本人も『全然いいから来て』というタイプの方だったので、わりとやりやすかったです。最初はさすがに『どうしよう?』って思いましたけど(笑)。

最初にいじめるシーンが、確かヒールで未来ちゃんの手を踏むシーンだったんです。『おーっ、すごいなあ』って思ったんですけど、私はほぼ素人に近かったので、やっぱり実際にやらないとリアルさが伝わらないというか、そこまでの技術もないし。

未来ちゃんに『実際にやっていいよ』みたいなことを言われたので、本当にやったりしていました。氷を服の中にバーッと入れたりとか、生のトマトを投げつけるとか…結構いろいろやりましたね」

-そういうシーンを撮影したときはどうでした? ものすごい疲労感を感じたりは?-

「最初はそうでした。連ドラだったので、最初のいじめのシーンのときは、『ごめんなさい。ごめんなさい』って言っていたんですけど、後半になったら、他の生徒役の子たちとも関係性ができているので、いじめのシーンを撮り終わった後、みんなで笑っていました(笑)」

-真里亜役を経験したことで、ご自身の中で変化はありました?-

「はい。あの役のおかげで、人とお芝居をするというのは、相手と真剣に向き合わなきゃいけないことなんだという自覚が出ました」

-そのとき、女優さんとしてやっていこうという意識は?-

「それはまだなかったです。『小公女セイラ』をやっているときは、監督にめちゃめちゃ怒られたんです。いろいろできていなかったので、今考えると怒られて当然だなと思うんですけど、怒られることに対して、『何でこんなに怒られるんだろう?』とか思ったりもしました。

でも、やっぱり私がちゃんとしないと、いいドラマにならないので、怒ってもらったおかげでいいお芝居もできたから、今はあのドラマを経験することができて本当に良かったと思っています」

真里亜役で注目を集めた小島さんは、映画『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』、映画『ランウェイ☆ビート』、連続テレビ小説『ひよっこ』などに出演することに。次回は、撮影エピソード&撮影裏話も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:木村真弓

※舞台『明けない夜明け』
2023年7月14日(金)~7月20日(木)
東京芸術劇場シアターウエスト
主催:演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ)
作・演出:小野健太郎
出演:小島藤子 吉本実憂 誠子(尼神インター) 小野健太郎 奥田努ほか

小島さんは主人公となる三姉妹の次女・恵役。三女・茉菜役に吉本実憂さん、長女・愛役は「尼神インター」の誠子さん。母親が父親を殺すという事件を起こし、幼くして被害者の子であり、加害者の子になってしまった三姉妹がそれぞれ成長し、大人になってからの姿を描く。