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俳優・前田旺志郎、死ぬ気で頑張って合格した大学。仕事は4カ月間休み「毎日塾に行って勉強していました」

子役として活動したのち、2007年、兄・航基さんとまえだまえだを結成し、小学生にして「M-1グランプリ」や『エンタの神様』(日本テレビ系)にも出演した前田旺志郎さん。

中学2年生のときに、地元・大阪で高校生活を送るか、上京して高校に通いながら芸能界の仕事を続けるか選択を迫られ、高校入学と同時に上京。映画『疾風ロンド』(吉田照幸監督)やドラマ『カルテット』(TBS系)、『命売ります』(BSジャパン※現:BSテレ東)などさまざまな作品に出演。高校卒業後、慶應義塾大学に進学し、学業と仕事を両立することに。

 

◆オーディションでは緊張していたが…

旺志郎さんは、兄・航基さんとともに主演を務めた映画『奇跡』の是枝裕和監督と、2015年に公開された映画『海街diary』で再び仕事をすることに。

『海街diary』は、15年前に家を出て行った父の死で異母妹となる14歳の少女・すず(広瀬すず)と対面した3姉妹(綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆)が、身よりのなくなってしまったすずに鎌倉で一緒に暮らすことを提案し、姉妹の共同生活を通して家族の絆を描いた映画。旺志郎さんは、すずの同級生である風太役で出演。

「撮影は中2の頃だったので、まだ大阪にいたときでした。あれもオーディションだったんです。是枝組は、毎年忘年会をしていて呼んでもらっていたので、監督に会ってはいたんですけど、仕事という意味では久々でした。

たしか、監督が『オーディションにおいで』って言ってくれて行くことになったと思います。監督としては距離が空いてからオーディションで会ったので、何か変な緊張がありましたね。独特の緊張感でした」

-オーディションはどんな感じだったのですか-

「サッカー部の役だったので、何人かいてサッカーの練習をしたのと、そのあと(広瀬)すずちゃんと2人のシーンを是枝監督が見るという感じでした。

2人でのシーンを始める前に、監督が『元気?』って声をかけてくれて『はい、元気です』というようなやり取りがあって、そこで一気に肩の荷がおりたというか。それまでめっちゃ緊張していたんですけど、『いつもの是枝監督だ』って緊張が解けました」

-風太役に決まったと聞いたときは?-

「『やったー』って思いました。すごくうれしかったです」

-撮影はいかがでした-

「すごく楽しかったです。『奇跡』の頃に比べたら、そのあといくつかお芝居の仕事をさせてもらっていたので、仕事という意識ではまだなかったにしても、お芝居というものをちょっと考えはじめていたというか。

是枝監督が言ったことをそのままではなくて、自分が1回咀嚼(そしゃく)して噛み砕いてからセリフを言うという感じになっていたので、そこがちょっと変わったなというのは覚えています。感覚の違いというか、『奇跡』の当時は本当に何もわからなかったので、ちょっとお芝居するようになったかなと」

-広瀬すずさんを自転車の後ろに乗せて、満開の桜のトンネルを走るシーンがとてもすてきで印象的でした-

「ありがとうございます。あのシーンはすごく褒められることが多いです。桜がきれいでめっちゃいいシーンですよね」

-お二人の雰囲気もとても自然で美しいシーンでした-

「そうですね。でも、あのシーンは何回も撮り直したんです。自転車で坂を上りきって、そのまま坂を下りるというシーンなんですけど、当時の僕の脚力と体力では二人乗りで上り坂を上るというのがきつくて、上りきれなくて(笑)。途中で『ごめん、降りて』って降りてもらうことになったり」

-あの坂道はひとりでも上るのが大変そうですよね-

「そうなんですよ。しかも普通のママチャリだったので、上まで行けるか行けないかというのを、何回もやり直しました」

-苦労の甲斐があってとても美しいシーンでした-

「めっちゃきれいでしたね。体力的にはかなりきつかったですけど、良かったなあって思いました。是枝監督とまた仕事ができて本当にうれしかったです」

 

◆単独初主演映画で難役に挑戦「重いなあって…」

2017年、旺志郎さんは『レミングスの夏』(五藤利弘監督)で映画初主演を飾る。この映画は、6年前の小学2年生の夏、事件に巻き込まれて殺害された少女の仲間たち「レミングス」の5人が中学生になって復讐計画を実行する様を描いたもの。旺志郎さんは、「レミングス」のリーダー・ナギ役を演じた。

-台本を読んだときは、どう思われました?-

「重いなあという印象がすごく強かったです。ナギという役は結構暗かったので、撮影中もずっと思っていました。

『あの復讐心は忘れちゃいけない。つらかった過去は忘れちゃいけない』という想いに対する執念が、あのメンバーのどの役よりも強かったので、それをずっと考えているのが大変だったのはすごく覚えています」

-撮影の合間などはどんな感じでした?-

「現場は結構みんなワチャワチャしていました。僕と桃果さんが最年長で、小学生の子もいたので」

-みんなをまとめなきゃいけないみたいな感じですか-

「でも、自分のことでいっぱいいっぱいだったので、主演だからどうこうなんて考えたことはなかったです」

-撮影が終わったときはどうでした?-

「あの撮影が終わったときには、すごくホッとしました。撮影中から大変だなあとは思っていたんですけど、終わったあと『ここまで重くなっていたんだ』って感じるほど解放感がありました」

-初主演映画を経験したことで、意識に変化はありましたか?-

「とくにはなかったです。主演って聞いたときは『おーっ!』って思いましたけど、実際にやってみたら、そこまで主演というのを担(にな)いきれなかったのもあるかもしれません。

主演らしさといってもいろいろあると思うんですけど、僕は自分のことで精いっぱいで、何かできたかというと、自分自身ではとくに何もしていないので」

-主演だとエンドロールや台本に自分の名前が最初に出ているわけですが-

「それはやっぱりうれしいですけど、すべての役どころとそこまで大差ない感じがします。みんながいての作品なので」

 

◆仕事以外での出会いを求めて大学に

映画やテレビの仕事をしながら芸能コースがある高校に通っていた旺志郎さん。高校では周りも同じような仕事をしている人たちだったため、仕事以外での出会いがなくなってしまうのは怖いと思っていたという。

-慶應義塾大学に進学されましたが、最初から決めていたのですか-

「そうですね。行きたいと思っていました。頑張ろうって。一般受験じゃないので、一般受験の人たちに比べたらと思っちゃいますけど、でも自分なりに頑張りました。

高3になってもまだこの仕事を一生続けていくとは思っていなかったので、いろんな分野を学べる学部に進学して、何かほかにおもしろいこととか、やりたいことに出会えたらそれをやるというのもいいなと思って」

-合格したと聞いたときは?-

「メチャメチャうれしかったです。慶應の自己推薦入試は、僕のときは一期と二期、2回の入試があって、一次選考が書類審査で二次選考が面接でした。

僕は、一期では書類で落ちちゃったんです。面接にすら行けなくて、もう絶望でした。『どうしよう?』って。友だちにも『俺、慶應に行くから』って言っていたのに一次で落ちたので、学校に行くのも恥ずかしくて恥ずかしくて(笑)。

『うわーっ、大口叩(たた)きすぎた』と思って。でも、まだ二期があるからと切り替えて、そこからですね。本当に死ぬ気で頑張りました」

-その間お仕事は?-

「お休みにしてもらって、4カ月間は毎日塾に行って勉強していました」

-二期の試験で受かって慶應ボーイに-

「はい。何とか受かりました。入れて本当に良かったと思います」

念願叶って慶應ボーイとなった旺志郎さん。大学生活と仕事で多忙な日々を送ることに。

次回は、コロナ禍での大学生活、『女神の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)、『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)などの撮影エピソード、2023年7月29日(金)に公開される主演短編映画『二十才の夜』(平田雄己監督)も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:佐藤健行(HAPP’S)
スタイリスト:小宮山芽以

©2023『20祭』事務局

※短編映画『二十才の夜』
2023年7月29日(土)~8月4日(金)
池袋シネマ・ロサにてレイトショー!
製作配給:オフィス桐生
監督:平田雄己
出演:前田旺志郎 遠藤健慎 福永拓海 綾乃彩

設立20周年を迎えたオフィス桐生が開催した20にちなみ20づくしのシナリオコンペの受賞作4本を映画化した「20祭」の1本。高校時代に同じバスケ部だった齊藤(福永拓海)が亡くなり、葬式に参列した青嶋(前田旺志郎)は、その帰り道、同級生の佐々木(遠藤健慎)とともに母校の体育館に忍び込み1on1のバスケをすることに。そして、死の直前の齊藤の話題になり…。

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