遠藤保仁が語る、Jリーグで“一番すごい”と感じた選手。「真似すらしなかった。無理だと思っていたから」
テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、Jリーグ30周年を記念し、遠藤保仁と中村憲剛の対談を放送。
日本サッカー界を代表する2人がJリーグを語り尽くした。
テレ朝POSTでは対談の模様を全6回に分けて紹介。今回は、遠藤が「Jリーグで一番すごいと感じた選手」「26年のプロ生活の中で最も印象深い出来事」を語る。
◆「兄貴と戦えたのは一生残る」
中村:「26年のキャリアなのでひとつに絞るのは難しいかもしれないですけど、ヤットさんの中で一番心に残っているのってどんな出来事ですか?」
遠藤:「一番衝撃だったのはチームがなくなったこと。しかも1年目で」
1998年、プロ1年目に所属していた横浜フリューゲルスが経営難のため消滅。同じ横浜市がホームタウンの横浜マリノスに吸収合併されることに。Jリーグ開幕からわずか5年でクラブがなくなるという衝撃的な出来事だった。
遠藤:「たまに言われるんですよ。“フリューゲルスの最後の1人”って。確かにそうだなって」
中村:「それほどインパクトがあった出来事でしたよね」
遠藤:「あとは兄弟対決できたことかな」
中村:「お兄さんと」
遠藤:「うん。あれは嬉しかったね。周りの人たちも楽しみにしていたし、親はちょっと複雑な部分もあったと思うけど、俺は嬉しさしかなかった。(ポジションも)一緒で、マッチアップするから、試合中は『負けねえぞ』みたいに言っていたけど、公式戦で憧れだった兄貴と戦えたのは一生残るかな」
◆「俺が俺と対戦したかった」
遠藤といえば、これまで多くの超一流プレーヤーたちとしのぎを削ってきた。
同級生で日本が誇る天才と称された小野伸二、ピクシーの愛称で親しまれたストイコビッチ、フリーキックのJ1最多ゴール記録を持つ中村俊輔、世界を魅了するファンタジスタ・元スペイン代表イニエスタなど。
そこで中村は、究極の質問をぶつけてみた。
中村:「この26年の中で一番すごかった選手って誰ですか?」
遠藤:「Jリーグで?」
中村:「とりあえずJリーグで」
遠藤:「Jリーグで一番すごいと思ったのは…遠藤保仁でいいんじゃない?」
中村:「確かにそうなんですけど(笑)。遠藤保仁を超える人間はいなかったですか?」
遠藤:「俺が俺と対戦したかった。(自分は)どんな感じなんだろうっていう」
中村:「嫌なやつです。対戦した人間からすると、嫌な選手でしたよ」
遠藤:「だろうね。俺もそう思う」
遠藤:「でも最初に衝撃を受けたのは山口素弘さん。(プロに)入ってすぐ、こんなにうまいんだと思ったね」
中村:「うまかったですよね」
遠藤:「うまかったし頭もよかった。初めての練習で『うまっ』と思っちゃった」
中村:「ヤットさんってあまりそういう風に思わないですよね」
遠藤:「基本はね」
中村:「やっぱりそこは自分が負けたくないという気持ち?」
遠藤:「うん。でも『この人スゴッ。ボール取れない』みたいな」
遠藤:「あとは、三浦淳宏さんのフリーキック。『こんな縦回転蹴られる人いるんだ』って。練習中から見ていたので」
中村:「ヤットさんも縦回転のフリーキックは蹴られますよね。それは(三浦さんの)見てから(蹴られるようになった?)」
遠藤:「その時は真似すらしなかった。無理だと思っていたから。なんて言うんだろう…インステップを横にして蹴るイメージで蹴っていたので、無理だなって思ってた。けど蹴り方を変えればできたね」
中村:「後々蹴っていましたもんね」
遠藤:「当時、その2人はチームメイトっていうのもあって、キャンプが始まった時に全然違うって思ったね」
◇
遠藤保仁×中村憲剛対談、次回は「2人のライバル関係」「似て非なるパスの違い」について迫る。
※番組情報:『GET SPORTS』
毎週日曜 深夜1:25より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)